ねこねここねこ

鳩たちの一家

    鳩たちの一家

 父親が子供にスープを飲ましている
 奥さんは鳩のように
 となりの椅子で羽根を休めている
 ステーキが運ばれてくる
 それからハンバーグも
 ウェイトレスが何かいい
 父親が鳩の声でクックッとこたえている
 要するに、親密な鳥の一家って寸法さ
 ふたつ離れたテーブルに
 ぼくが座っているのも知らないで
 ずぅーっとむかし、このおとこは不良少年で
 いきなり、ぼくの左の耳を殴ったのだ
 耳の穴から血が流れたが
 いまでも耳鳴りが止まないことと
 あえていえば、喧嘩の極意だ
 いって理由をきいてやりたいが
 馬鹿野郎とこころで思う
 小鳩でも育てていやがれ

 さて、耳鳴りは席をたとう
 森の出口で勘定をはらい
 馬鹿野郎、頑張れよと思ってやろう
 このくそったれめが

 くそったれだよ、おまえもおれも
 鳩の言葉でぼくはつぶやく
 クオクオクオと
 何故かいく分こころ弾んで



馬鹿野郎、くそったれめと 作者は書くが、自分の耳を殴った不良少年が
家庭を持ち、家族で食事をしている場面を見て 温かく見つめている。
口汚く罵る言葉が ふたつ続くが、ほのぼのとした愛情が伝わってこないだろうか。
はっきりと、「何故かいく分こころ弾んで」と書いている。
守るべき家庭があるのが、私には羨ましい。



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