ねこねここねこ

午後の太陽

   午後の太陽

食卓に
こぼれた日び
あやまちも 故意もくりかえされる
午後の太陽の影に 私はいる

口も腸もかわいて
私は
かりとられた麦の束ににてきた

吸うものがなんであれ
すべては 死とかかわりがあり
吐くときはみじかい声を出す
「大切なのは 生きていることだ」

忘れはてて
笑っているくらしを
変質といいきる資格は誰にもないだろう

日々の食卓、日常の中で繰り返される事柄。
午後の太陽の影…年月が過ぎるのを見送るように生活してきて
ある程度の年齢に差し掛かってしまったことを含めて
自分の心が毅然と理想を追い求めていた頃の 前向きな姿勢を
失っていることの暗喩だろうか。

刈り取られた麦の束。
潤いをなくし、乾いて硬直した心身の比喩だろうか?

吸うもの、吐くとき…呼吸、経験として自分に取り込んできた諸々の事柄。
生きているということは、死に向かうということだ。
つまるところ、「大切なのは生きていることだ」

何か疲れた雰囲気を漂わせた詩。

 忘れはてて
 笑っているくらしを
 変質といいきる資格は誰にもないだろう

開き直りのようにも受け止められないことはないが、一抹の優しさを
感じさせる最後の段落。
自分への厳しさと他者に向ける目の優しさを、常に感じさせる K氏の詩です。


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