「サザエさん一家」の銅像を使わせていただきました。先頃、都税事務所がこの
銅像に約59万円の固定資産税を課し、設置者である地元商店街が困惑していると
いうニュースが話題になったからです。磯野家の年収は定かではありませんが、
波平さんとマスオさんは商社マン、住まいは首都圏の閑静な住宅街の一戸建てと
いうことで、それなりに裕福な家族であると判断させていただきました。
年収1000万円と言えば、一昔前までは勝ち組の響きがありました。しかし、現
在はそうとも言えません。税や社会保障費の負担増で、これからほぼすべての世
帯の可処分所得が減少しますが、とりわけ負担が大きいのが年収1000万円前後の
層。大和総研の調べによれば、2016年の可処分所得は、5年前と比べ60万円強減る
見通しです。児童手当の所得制限が典型ですが、この層は周囲から裕福と見られ
ているため、声高に負担増を批判できず、狙い撃ちされている側面があります。
しかし、このまま「取りやすいところから取る」という政策を続けてよいので
しょうか。周囲からは羨望のまなざしで見られているこの層ですら、将来不安で
節約に走るようでは、アベノミクスの成長戦略も先行きが怪しくなってきます。
ちなみに、「寅さん像」や「ゲゲゲの鬼太郎像」は非課税とのこと。つまり、
課税か非課税かは事実上、役所の裁量一つで決まっているわけです。これでは波
平さんとマスオさんも、おちおち近所の居酒屋で一杯というわけにもいきません。
(日経ビジネス編集長 山川 龍雄)