マスコミでは言えないこと。

マスコミでは言えないこと。

Apr 7, 2006
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テーマ: ニュース(100354)
「下層社会」の足立区の住民、ミヤワキです。

 今、足立区内では…特に、行政に関わる人の間では、

「下層社会」

 の話で大騒ぎしております。

 これは今月号の「文芸春秋」でノンフィクション作家、佐野眞一さんの「下層社会」と題するルポで、まぁ貧しくて可哀相な足立区民は格差社会の落とし子だとするクソミソないわれようをしたことによるものです。

 全国的にも大きな反響を呼んでいるようで、

「足立区民は貧しいそうなので鉛筆を送りましょう」

 という心温まるお申し出もいただいているようです。
 どんな形で、事実誤認であっても善意にはニッコリ笑ってありがとうが言える人でありたいモノです。

 佐野さんの「企画」の発端は朝日新聞に載った

「就学援助率42%」

 という記事が発端で、兎にも角にも無理矢理にでも

「可哀相で貧乏な足立区民」

 というゴールに向かう記事で進められています。
 そして、最後の結び…オチが

「下流社会ならぬ下層社会」

 となってチャンチャン♪です。

 就学援助率というのは学費や給食費などの一部を補助して貰う制度の利用率で、100人の生徒中42人が何らかの援助をして貰っているということです。

 佐野さんの論調によれば、

「補助を貰わなければ子供も育てられないような足立区民」

 ということです。

 そしてここをスタートに、「下層社会足立区民」を紐解いて行くわけですが、まぁ「企画」があって「結論」へと向かいますので、そこに「思い」があるのは当然のことです。

 記事というのはそういう「商品」です。

 缶コーヒーにもエスプレッソや無糖、そして

「マックスコーヒー(関東ローカルのネタですいません)」
http://www.tone.ccbc.co.jp/products/page_02.html


 のようなご当地コーヒーもあります。

 その商品に対して一つ一つを反論するのもエレガントではありませんが、記事が恣意的・・・筆者の落としどころのために書かれているちょうど良いサンプルとして紹介します。

 かなり一方的な角度からの取材結果を積み重ねていき、いよいよ

「下層社会」

 と結ぶ、オチへと向かう前に佐野さんは荒川土手に腰掛けてと、軽いセンチメンタリズムを持ち出して、作者の感じた悲しい感情を読者に重ねるための演出を始めました。

 そこにはホームレスの男性が云々。

 腰を下ろした土手は墨田区と隣接すると。

 高速道路が手に届くようなところにある。

 これらを総合すると、佐野さんが物思いに耽ったのは、首都高速6号向島線のしたあたりの荒川土手しかありません。

 墨田区に隣接するのはあの金八先生のロケ地で有名な、旧足立二中の近辺しかありません。

 ホームレスの青テントと高速道路はどちらがわでもありますが、総合的に判断するとここしかないのです。

■グーグルマップで地図を確認
http://maps.google.co.jp/maps?sc=1&hl=ja&output=html&q=堀切駅


 そして、いよいよオチ。

 まぁ分かりやすいのは「お上=悪、庶民=被害者」の図式です。

 そこでこの場所から北を見ると

「そびえ立つ足立区区庁舎とその廻りにうずくまる庶民」

 が見えると括ります(要約しています)。

 ・・・見えません。

 首都高速川口線が邪魔して、見えても「そびえ立つ」なんて表現がでてくるほどではありません。

「そびえ立つ」のはライブドア堀江さんの現住所「東京拘置所」です。

 確かに立派な足立区役所庁舎ですが、今、叩くなら

「あだち産業芸術プラザ」

 のほうが、遙かに旬です。
 なにせ「産業」と「芸術」をミックスする「チャンプルー」ぶり。

 経済効率と創作活動って・・・どうなんでしょう。

 ここの最上階に「天空劇場」と称する劇場(ホール)を用意したのですが、北千住駅前の「シアター1010(千と十でせんじゅ)」が赤字をだしているのに、まだ劇場を作ります。

「Theハコモノ行政」

 です。
 ここは昔の足立区役所があった場所で、元々は「ホテル」を作る計画がありました。

「誰が利用するんだ」

 こんな素朴な区民の声が、この計画の白紙撤回をスローガンにしていた「共産党区長」を産み出しました。

 ホテルは撤回されましたが、再選を目指した「革新政権」はいとも簡単に敗れ、自民党与党に戻り手を変え品をかえで「プラザ」となったのです。

 そして裏がとれていないのですが、こちらの建築と運営に関してもかなりいい加減な事情があるという情報が入っております。

 叩くならこっちを叩かなきゃ。佐野さん。

 これは記事の中でも触れていますが、実は朝日新聞のネタモトは

「赤旗新聞」

 です。
 これもちょっと取材すれば分かることですが、革新政権が生まれるほど、足立区の共産党は元気です。

 現、与党に茶々を入れるのは得意技です。
 しかも短い間でも「天下取った」訳ですから思いもひとしおです。

 恣意的なネタを元に、意図的に取材をする。
 ま、そういう「商品」ですから悪いとは言いませんがね。

「情報を加工する商品」がどう作られるかを物語る貴重なサンプルともいえます。

 モチロン、区役所関係者や地元の政治屋さんは憤慨しています。

 ただ、親しくしている区議さんなどは

「どんな形でも注目された今がチャンスだよね」

 と、ポジティブな「下層社会」の区議さんもいることは、下層社会の住民として心強い限りです。

 佐野さんの記事の中で、

「女も安い足立区」

 という下りがあり、主婦買春の実態を「竹ノ塚駅」で取材していますが、ここはちょっと浅すぎます。 主婦買春が地元で客を取ることは殆どありません。

 地元で聞く噂はとなりのK口市、沿線のM原団地などから越境してくるといいます。

 もの凄くレアケースで足立区の主婦はみんな買春しているような印象を与える記事は…。 実際、インタビューに答えている女性も「元足立区民」ですが、「現川口市民」です。

 記事でも報道でもこういった「ほころび」をどう見つけるかが、重要で、イコール情報読解力につながります。

 足立区の風景を「オールウェイズ3丁目の夕日」となぞらえていますが、果たしてどの町を指していっているのか見当がつきません。

 千住の駅周辺は再開発が追いつかず、昔ながらの街並みが残っていますが、千住以外の多くの場所は

 環状七号線、日光街道(国道4号線)、放射11号線、補助道100号線、首都高速川口線

 等々、と大型道路を通すために区画整理が次々と進み昔ながらの街並みは殆どありません。

 そして「ドコにいっても団地と学校に行き当たる」と触れています。

 これは「言い得て妙」。その通りです。
 足立区は都営団地と公団住宅と学校がやたら沢山あります。

 だとすると「3丁目の夕日の風景」と論理的矛盾が発生します。

 が、意図と目的の前には些細なことなのでしょう。 意図と目的の前には物事はできるだけ「単純化」したほうが、読者の理解が得られます。

 高校で「マンガの数学の教科者」が検定に受かったと報道されました。

 今、土曜日に発行している「伸びる会社は知っている」でも

「漫画的手法」

 について取り上げていますが、もはや多くの国民がマンガの洗礼をうけている希有なる民族日本人にとって、マンガは共通言語ともなっており、これをホームページや広告に使わない手はないのですが、果たして教科書までマンガに必要があるでしょうか?

■マンガ編最終コーナー 伸びる会社は知っている
http://www.as-mode.com/faxmagazine/index.html


 マンガはデフォルメという誇張を軸に、状況を単純にしていくことにより主眼やテーマを浮き彫りにしていきます。

 そこで求められるのは「分かり易さ」です。

「複雑なマンガ」も増えていますが、基本は

「ネーム(台詞)は少なく」

 です。状況を長々とキャラクターに「喋らせる」のではなく、描写や動きなどで一目瞭然にすることが基本のキの字です。

 このために必要なのがデフォルメと単純化です。

 マンガ教科書。全面的に悪いとは言いません。

 しかし、危険があります。
 それは漫画的手法による分かり易さに

「分かった気になっただけ」

 という落とし穴です。
 そして、更に言うなら

「読解力がない高校生がいること自体が問題」

 なのです。
 高校はですからね。

 社会にでてもっとも必要な能力と断言しても構わないのが「読解力」です。

 何かを学ぶ際にも必須な能力です。

 これらを疎かにする危険のある単純化されたマンガの教科書を必要という声がある異常事態こそ危険なのです。

 とはいえ、読解力が下がったお陰で得する人たちがいます。

 言わずもがななお役人さまと政治屋さん。
 ちょっと小難しい役人言葉でルールを決めれば、それにノーという人の絶対数が減りますからね。

 そして、もう一つの既得権益者「メディア側」も得します。

 佐野さんの記事のような「単純な構図」の企画で読者が充分喜ぶわけですから。

「下層社会」に住む、足立区民のミヤワキからするとまるでマンガのような記事ですが…話題になっていますからね。

 昔なら「一笑に付した」話です。

 また、単純が大好きな週刊誌がこれに飛びつきました。

 週刊ポストの

「東京23区 ここまで来ている各社社会」

 こちらは「格差」がテーマですが、足立区はこき下ろされています。

 これも意図と企画でお化粧されています。

 記事の中で「竹ノ塚駅前の中華料理屋で300円のラーメンがあった」と、とにかく「貧しい足立区民」としたいようですが、さにあらず。

 ここは「タカノ」というお店で、ラーメンと餃子のセットで500円という商品戦略をとっており、また、ランキングでは

「チェーン店は除く」

 となっているのですが、タカノは足立区、葛飾区に4~5店とはいえ、小さなチェーン店です。

 まぁ集計の取り方がズサンで、ちょっとでも統計学をかじった人なら鼻で笑うことでしょう。

 統計は100のサンプルで誤差3%前後だったと記憶していますが、サンプル数1では統計と呼べないんですが、これをポストでは

「物価調査ランキング」

 としております。プッ、失礼、吹き出しました。

 同じくポストに

「メルセデスベンツ保有台数ランキング」

 がありました。「ベンツ=豊かさ」という発想にも笑っていまいますが、最下位は荒川区。

 でも、荒川区は道幅の狭いところも多く、クルマにとって便利ではありませんが、その一方、

JR山手線の田端、西日暮里、日暮里、宇都宮線・高崎線の尾久駅、都電荒川線、東京メトロ日比谷線

 などなどと、大変に交通機関が豊富な便利な土地柄です。
 ある意味

「ベンツなんていらない」

 のです。
 ですからその真逆に公共交通機関の未発達な「下層社会足立区」のベンツ保有率は

「23区中11位」

 です。中央区(13位)よりも千代田区(19位)よりも上位にランクされています。

 モチロン、中央区や千代田区も足立区より交通の便がいいことは付け加えておきます。

 情報を加工して商品にする人・・・私もその端くれにエントリーしている訳ですが。

 自らのクビを絞めることになりますが、もう一方、踏み込んで情報とお付き合いすると、

「単純化の罠」

 が見えてきます。





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Last updated  Apr 7, 2006 01:03:48 PM
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匿名希望@ 足立区の雰囲気 なんだかよくわかりませんでしたが、今の…
アンチ自民党@ Re:日本中が集団ヒステリーに陥っている(09/14) 今の自民党を見てもまだ同じ評価なのかい…
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