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2017.04.05
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カテゴリ: 探訪 [再録]

金堂  教待堂側からの眺めです。                          [探訪時期:2013年12月]


大門(仁王門)への参道



鐘楼 「三井の晩鐘」の張り紙 があります。
「三井の晩鐘」は近江八景の一つです。

この鐘は 「日本三名鐘」の一つ に数えられています。 あとの二つとは京都の神護寺鐘と宇治の平等院鐘 だそうです。この名鐘にも特徴があり、 三井寺の鐘は「音」、神護寺鐘は「銘」、平等院鐘は「姿(形)」 が賞賛されているとか。

そして、平成8年7月には、環境庁より 「日本の音風景百選」 に認定されています。

この浮世絵は 歌川広重が描いた「三井晩鐘」 です (ウィキペディアから借用)

私は一部分しか知りませんが『鉄道唱歌』(大和田建樹作詞、多梅稚・上眞行作曲)に、この三井の鐘が歌い込まれているのですね。
 堅田におつる雁がねの たえまに響く三井の鐘 
 夕くれさむき唐崎の 松には雨のかかるらん      (鐘全般について:資料1)


金堂の建物は南側が正面 です。正面側に「金堂」の駒札が立っています。

三井寺の歴史年表を参照すると、文禄4年(1595)11月に豊臣秀吉が「三井寺に闕所の命を下し、堂塔を破壊、寺領を没収する」ということを行っているのです。そしてその翌年でしょうか、「四月 三井寺金堂、延暦寺に移築されて西塔釈迦堂となる」のです。
秀吉による朝鮮出兵、いわゆる「文禄の役」(1593年和議)、文禄3年(1594)伏見城完成のあった直後の時期です。秀吉は慶長3年(1598)に没します。

なぜ、秀吉はこんな時期に三井寺を闕所にしたのでしょう。「闕所 (けっしょ) 」というのは境内堂舎さらには所有する所領を没収する処罰のことです。三井寺には最大のピンチの到来です。
なぜ、そんな事態になったのか? 実のところはよくわからないそうです。一応記録に残る説明があります。三井寺掲載の「戦国武将と三井寺」シリーズ、「その(2)豊臣秀吉」のページに、「三井寺の最大ピンチ」として説明されています。
こちらからご一読ください。

秀吉の正室だった北政所がその翌年(1599)、今度は三井寺の金堂を再建するということになるのです。三井寺の存在、寺領を回復させたのは誰だったのでしょう?
「三井寺の最大ピンチ」の説明によると、北政所と聖護院門主・道澄が尽力し、秀吉の死の前日に闕所の処分解除にこぎつけたようです。つまり1598年8月ということになります。


                     金堂の前にある 「堂前灯籠」
駒札にはいわくありげな伝承が記されています。

金堂内を拝見しましたが、堂内撮影禁止でした。拝見した仏像が数多く、ゆっくりメモをしている時間まではなく、記憶も定かでありません。
金堂のご本尊は弥勒仏だそうですが、絶対秘仏であり誰も見た人がいないそうです。手許にある本にはこの弥勒仏そのものについての項目がありません。見た人が居なければ、国宝・重文などの評価もできませんし、掲載もできないからでしょうね。
ちなみに、園城寺の項目で一覧になっているのは次の通りです。 (資料3)

国宝:智証大師坐像(御廟大師)、智証大師坐像(御骨大師)、新羅明神坐像
重文:千手観音立像、護法善神立像、黄不動立像、吉祥天立像、十一面観音立像、
   訶梨帝母椅像、愛染明王坐像、不動明王坐像、智証大師坐像、如意輪観音坐像


脇道にそれますが・・・・・
この日(2013.12.7・土)、金堂前の庭園部分で映画のロケが行われていました。

後日ウォーキング仲間のEメールによれば、2014年の4月に放映予定のNHK「銀二貫」の撮影風景でした。

          金堂を南西側から見上げたところです。


金堂の西側には 「閼伽井屋」 があります。 駒札
通称で「三井寺」と呼ばれる由縁がこの閼伽井の霊泉にあるのです。
天智・天武・持統の三帝がここの水を産湯に用いたということが「三井」のゆわれだとか。「御井」が「三井」に転じたようです。また、この閼伽井の泉には 九頭龍神の伝説 があるそうです。三井寺のサイトに、 「三井の霊泉と九頭龍神」という伝説解説があります。こちらからご覧ください。

閼伽井屋の建物には龍の彫刻が施されていて、こんな説明札が掛けられています。


 格子の間から閼伽井を撮ってみました。


閼伽井屋の建物の北側は、小さいスペースですが、 「閼伽井石庭」 が作られています。


金堂の左側面と閼伽井屋の間を通り、この石庭を回り込んで少し坂道を上ると、 「弁慶鐘」を展示するお堂(霊鐘堂) があります。

入口から眺めた弁慶鐘と内部に入って改めて撮った写真。これが 「弁慶の引き摺り鐘」 です。

鐘の傍には、『近江名所図会』からの絵が展示されています。 山門の衆徒が三井寺の鐘を奪って、無動寺谷になげ落とした ということがあったのでしょう。山門・寺門の抗争の一コマだったのでしょうね。


弁慶鐘の背後には、 「弁慶の汁鍋」という巨大な鋳物鍋 が置かれています。

同じく『近江名所図会』に紹介された絵が展示されています。
武蔵坊弁慶が大鐘を奪い取った代わりに所持していた大鍋を残していったという伝承 はおもしろいですね。まるで物々交換のようで・・・。誰かがおもしろおかしく話を作ったのでしょうか。

                      霊鐘堂を南側から眺めたところ。

この蟇股の間から厚板の先端が何枚も階段状に重ねられた形で突き出しています。
こんな奇妙なのは、ここで初めて見ました。時間が無くて、お堂に居た係の人に尋ねることができませんでした。

                      屋根の鬼瓦の表情もおもしろい!

「弁慶の引き摺り鐘」の伝説解説は、こちらからお読みください。


こんなおみくじの掲示が・・・・おみくじもいろいろあるんですね。

三井寺のホームページにある「境内案内」はこちらからご覧ください。

つづく

参照資料
1) 近江八景  :ウィキペディア 
日本三名鐘  :「コトバンク」 
日本の梵鐘「日本三名鐘」  :「(株)カリヨン・センター」 
三井の晩鐘・大津市園城寺町   :「滋賀文化のススメ」
鉄道唱歌  :ウィキペディア 
2) 三井寺  ホームページ 
3)『図説 仏像巡礼事典 新訂版』 久野健[編]  山川出版社 p200-201

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
日本の梵鐘「日本三名鐘」:「(株)カリヨン・センター」
大津市「三井寺(園城寺)」
宇治市「平等院」
残したい日本の音風景100選  環境省水・大気環境局 大気生活環境室 :「環境省」
           トップページ
武蔵坊弁慶  :ウィキペディア 
武蔵坊弁慶生誕の地・たなべ  :「田辺探訪」 
比叡山延暦寺西塔釈迦堂  :「比叡山延暦寺(全19頁)」 
左甚五郎  :ウィキペディア
    「閼伽井屋の龍」の写真が出ています。 
道澄  :ウィキペディア 
聖護院道澄  :「weblio辞書」 
道澄  :「コトバンク」 
聖護院  :「コトバンク」
聖護院門跡 本山修験宗総本山  ホームページ 
 智証大師円珍と関わりがあったのですね。
 コトバンクの説明とここのページ 「聖護院について」 を読んで、なるほど!と。 
聖護院  :ウィキペディア

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Last updated  2017.04.06 22:22:38
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