遊心六中記

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2022.12.28
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カテゴリ: 観照
=== 2022.12.5 ===

                   
10時過ぎに、南東方向の空を 撮りました。
南の空
南西方向の空

==== 2022.12.7 ===

            8時15分頃の南東方向の空 です。
南の空
南西方向の空

=== 2022.12.8 ====

8時頃に撮った南東方向の空 です。
南方向の空

14時過ぎの南の空
西方向の空

南の空
16時前の東方向の空
    南の空  

さて、 雲がたりをつづけます
手許には、『古今和歌集』の文庫本(資料1)があります。
この 古今和歌集の中には、雲を詠み込んだ歌がどれくらいあるのでしょうか。
ページを繰ってみました。私が拾い出せたのは 短歌31首と長歌1首 です。
それらを抽出して列挙しご紹介します。

春くれば雁かへるなり白雲の道ゆきぶりにことやってまし  凡河内躬恒 30

桜花さきにけらしなあしひきの山のかひより見ゆる白雲  59

夏の夜はまだよひながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ  深養父 166

白雲にはねうちかはしとぶかりのかずさへ見ゆる秋のよの月  よみ人しらず 191

久方の雲のうへにて見る菊はあまつほしとぞあやまたれける  としゆきの朝臣 269

冬ながら空より花のちりくるは雲のあなたは春にやあるらむ きよはらのふかやぶ 330

山高み雲ゐに見ゆるさくら花心の行きてをらぬ日ぞなき  凡河内躬恒 358

限りなき雲井のよそにわかるとも人を心におくらさむやは  367

をしからむこひしきものを白雲のたちなむのちはなに心地せむ  きのつらゆき 371

雲井にもかよふ心のおくれねばわかると人に見ゆばかりなり  ふかやぶ 378

白雲のこなたかなたに立ちわかれ心をぬさとくだく旅かな  よしみねのひでをか 379

白雲のやへにかさなるをちにてもおもはむ人に心へだつな  つらゆき 380

あしきひの山たちはなれ行く雲のやどりさだめぬ世にこそありけれ をののしげかげ 430

郭公(ほととぎす)みねの雲にやまじりにしありとはきけど見るよしもなき 平あつゆき 447

あしひきの山べにをれば白雲のいかにせよとか晴るる時なき  461

逢ふことは雲ゐはるかになる神のおとにききつつこひ渡るかな  つらゆき 482

夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつそらなる人をこふとて   484

風ふけば峰にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か  ただみね 601

雲もなくなぎたる朝の我なれやいとはれてのみ世をばへぬらむ  きのとものり 753

葦辺より雲井をさして行く雁のいやとほざかるわが身かなしも  819

たれ見よと花咲けるらむ白雲のたつのとはやくなりにしものを  856

あまつかぜ雲のかよひぢ吹きとぢよをとめのすがたしばしとどめむ 
                           よしみねのむねさだ 872

あまの川雲のみをにてはやければひかりどどめず月ぞながるる  よみ人しらず 882

おほぞらを照りゆく月しきよければ雲かくせどもひかりけなくに  あま敬信 885

風ふけど所もさらぬ白雲はよをへておつる水にぞありける  みつね 929

みやこ人いかがととはば山たかみ晴れぬくもゐにわぶとこたへよ をののさだき 937

白雲のたえずたなびく峰にだにすめばすみぬる世にこそありけれ これたかのみこ 945

あしたづのひとりおくれてなく声は雲のうえまできこえつがなむ  大江千里 998

雲はれぬ浅間の山のあさましや人の心を見てこそやまめ  なかき 1050

うきめをばよそめとのみぞのがれゆく雲のあはだつ山のふもとに  あやもち 1105

さわぎなき雲の林に入りぬればいとど憂き世のいとはるるかな  惟喬親王 1131

なお、巻第十九「雑躰」に収録された長歌には、一箇所だけ雲が詠み込まれています。
その箇所だけ部分的に引用します。
雨雲の はるる時なく 富士の嶺の ・・・・  1001

このように並べてみますと、古今和歌集でも雲そのものを叙景として詠んだ歌がありますが、それよりも 雲を比喩的に使って己の思いを詠み込むという歌が多いように思います 。それと、 雲は「白雲」あるいは「雲」という表記、それと百人一首ででてきた「雲居」と同じ意味と思われる「雲ゐ」「雲井」という表記があります 。長歌に唯一「 雨雲 」が出てきます。

=== 2022.12.11 ===


9時半頃に撮った東の空 です。
南東方向の空

南の空


雲がたりのつづきです
手許にある『古今和歌集』は文庫本1冊です。校注として脚注と補注が付されていますが、歌意の解説・訳文はありません。引用できるソースがありませんので、 注釈を頼りに私的に歌意を理解していこうかと思います 。門外漢による説明の試みですので誤解もあることでしょう。その節にはご教示いただけると幸いです。

まず、第372首にふれておきましょう
この歌は「百人一首」の第12首、 僧正遍昭 (816~890)作として有名です。
『古今和歌集』には「 よしみねのむねさだ 」と明記されています。 良岑宗貞は俗名 です。醍醐天皇の勅命により最初の勅撰和歌集として『古今和歌集』が成立したのが905(延喜5)年です。 (資料2)
僧正遍昭は『古今和歌集』成立前に没しています。一方、僧正遍昭は、849年に蔵人頭、翌年従五位上に至ったのですが、この850年に天皇の崩御に遇い、比叡山で出家したそうです。34歳での出家です。仁明天皇に厚遇されていたそうで、「この歌も若き官人として豊明節会に望んだおりの詠であろう」と。 (資料3)  俗名での作歌者表記がそれを示しているようです。

さて、雲を詠み込んだ最初の歌は、
春くれば雁かへるなり白雲の道ゆきぶりにことやってまし   凡河内躬恒 30

この歌には、 「雁のこゑを聞きて、越へまかりける人を思ひてよめる」という詞書 が付いています。
越は越前・越中・越後を意味しますので、北陸道の地域です。
  (春がくれば、雁は白雲の中にある道を、北の方に帰っていくのだろうな。
   北へ向かう途中でわが友と行き合うことがあれば伝言をしてほしいものだなあ)
「まし」は『明解古語辞典新版』 (三省堂) によれば、仮定を表す助動詞です。
「ことやってまし」には脚注があり「伝言してくれるだろうか。してほしいと願う心。雁に手紙を結び故郷へ便りをした蘇武の故事による(漢書)」 (資料1) とあります。
作者の凡河内躬恒は、作歌にあたり、漢書の知識を持っていてそれを背景に詠んでいるということになりますね。当時の素養のある人は歌を聞いた時にそのような背景を共有して歌を味わったということでしょうか。 上記の( )内は私的な解釈です。

凡河内躬恒は、『古今和歌集』の撰者四人のうちの一人です。あとは紀友則、紀貫之、壬生忠岑の三人。 凡河内躬恒は「官位は低かったが、歌合わせなどで活躍し、機知に溢れた歌を詠んだ」 (資料2) そうです。
『古今和歌集』を読み進めていきますと、採録された歌の殆は「みつね」と作歌者名が表記され、1カ所だけ「凡河内みつね」という表記に気づきました。

この辺りで、一区切りといたします。

つづく

参照資料
1)『古今和歌集』 窪田章一郎校注 角川ソフィア文庫 
2)『クリイアカラー 国語便覧』 監修:青木・武久・坪内・浜本 数研出版 p78-79
3)『百人一首』 全訳注 有吉保 講談社学術文庫 p60-63

補遺
古今和歌集 ​  :ウィキペディア
紀友則 ​    :ウィキペディア
紀貫之 ​    :ウィキペディア
凡河内躬恒  ​ :ウィキペディア
壬生忠岑 ​   :ウィキペディア
遍昭 ​     :ウィキペディア

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こちらの一覧表から関連記事をご覧いただけるとうれしいです。
    ​ ベランダから見た雲の変化と雲がたり 掲載記事一覧表





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Last updated  2023.01.09 11:44:43
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