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9VAe-iPhne/iPad版animation制作無料ソフト9VAe山田企画事務所はanimation制作無料ソフト9VAeの普及に協力しています。http://9vae.com/ja/ 9VAeきゅうべえアニメ研究所よりの提供資料です。ダウンロードサイト情報です。9VAe-iPhne/iPad版(9VAeDangla)ダウンロードhttps://apps.apple.com/jp/app/9vae-iphone/id1482450143 9VAeでグリーンバック動画を作成してiMovieに合成する方法https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/01/20/064450 プレゼン用動画素材の作成https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/02/03/144517 トレス動画は9VAeきゅうべえで作ると簡単https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/02/05/152910
February 15, 2020
山田企画事務所ペンネーム 飛鳥京香の小説コンテンツページ■山田企画事務所・飛鳥京香・小説集です。どうぞご覧ください!●YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと?https://ncode.syosetu.com/n1703dc/-----------------------------------------------●BK私の中の彼へー青き騎士ー異星の生命体《アイス》と人の戦争で、少女暗殺組織ローズバットの沙織は、共生装甲機体・零号を操る独立装甲歩兵・翔と恋に落ちる。沙織には過酷な運命が待っていた。彼女は人類を新たな旅へ導く。 https://ncode.syosetu.com/n5222dc/-----------------------------------------------●TC東京地下道1949■ 1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は? https://ncode.syosetu.com/n1603de/-----------------------------------------------●TD「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」 故郷、神立山の伝説は、僕、日待明にあらたなる人生の選択を迫る。彼女は何者であったのか?私は地球人でなく観察者として地球の長い歴史に関与したことをしる。https://ncode.syosetu.com/n9669cz/-----------------------------------------------●RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。https://ncode.syosetu.com/n2492db/-----------------------------------------------●KIアイランド■暗殺者の島■ かって存在したエルドラド、サンチェス島で、地球連邦軍暗殺チーム「レインツリー」に属する暗殺者2人の対決。https://ncode.syosetu.com/n3928db/-----------------------------------------------●YK夢王たちの饗宴--ドラッグウォーの跡でー(麻薬戦争の跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高のドリームマスター,夢王は、だれなのか? なぜ、この世界はできたのか? https://ncode.syosetu.com/n7285dc/-----------------------------------------------●CP封印惑星 封印された地球で情報収集端子であるユニーコーン・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する。予兆である。 https://ncode.syosetu.com/n1512de/-----------------------------------------------●AFアリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー宇宙連邦の監視機構の元で、腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる。https://ncode.syosetu.com/n6825dd/-----------------------------------------------●KZガーディアンルポ03「洪水」 廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓う。 https://ncode.syosetu.com/n1503de-----------------------------------------------●UK宇宙から還りし王■初めて新宇宙への門「タンホイザーゲイト」から帰還した男ネイサンは、今、ゼルシア国自然保護区、ラシュモア山で王国を建設。みづから発する言葉で、人類を次の高みへと進化させようとする。https://ncode.syosetu.com/n1598de/-----------------------------------------------●RUN遙かなる絆-ランナー● 地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から話は始まる。連邦軍「サイボーグ公社」に属するロードランナー,ヘルム。マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。https://ncode.syosetu.com/n1867de/-----------------------------------------------●「支配者たち」(ハーモナイザー01)世界樹ハーモナイザーの支配する宇宙での、2人の宇宙飛行士の物語。これは現実か夢なのか「もちろん、あの人は私の夢の一部分よ。でも、私も、あの人の夢の一部なんだわ」https://ncode.syosetu.com/n1894de/-----------------------------------------------●「クアイアーボーイズ」地球は絶滅の縁にあり。敵ROW」は、生命体ミサイルを発射。意思を持つ「生物体機雷」が人類戦士として。敵とであった彼はいかに。https://ncode.syosetu.com/n0015da/-----------------------------------------------
August 12, 2019
YouTube.com■山田企画事務所の3000種類のYouTube動画チャンネル山田企画事務所の動画整理■YouTube.com■チャンネルアドレスを短縮しました。3000種類の YouTube動画が入っております。ご覧ください。山田企画事務所のYouTube動画のチャンネルです。ーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/Ydd16m漫画の描き方 などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/CqyT9Q大阪・近江八幡・伝統的町並み風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/5jomdsメカムシ教室(クラフトアート)京都・大阪風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/V3atM4近江八幡・兵庫県武田尾温泉・兵庫県伊丹市風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/8B7dCJ金沢城・松山城風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/zyNTfS滋賀県高島市。琵琶湖風景などのYouTube動画
August 12, 2019
知り合いのフォボンピクチャーズ(西宮映像)の山本監督より。映画「MOVIES Mr.フキョー VS 映画たち」上映お知らせです。http://n-film.net http://n-film.net/movie.html6月16日(土)に●「OSシネマズ 神戸ハーバーランド」映画館「MOVIES Mr.フキョー VS 映画たち」が上映。●「OSシネマズ 神戸ハーバーランド」(※6月16日(土)●「スクリーン10」にて18時20分より上映)https://www.jollios.net/cgi-bin/pc/site/det.cgi?tsc=21120下記が上映の詳細。1月の宝塚上映から、再編集したバージョン。https://kobe-movie.doorkeeper.jp/events/75639●上映後にクリエイターの紹介コーナーがあり。事前チェックがありますが、映画製作をされている方は予告編を流して頂けます。若いクリエイターを応援し、クリエイターの交流の場にしたいということですので、映画製作者以外でもクリエイターさんであれば、短い時間ですがPRして頂きたいとのことです!●CG製作、パルクール、特殊メイク、イベント開催などクリエイターさんであれば大丈夫です。●今後、神戸国際映画祭を行うためのプレイベントです。●映画館の場所が神戸ポートタワーの近くにある●「umie(ウミエ)」●というショッピングモール内。「神戸ハーバーランドumie」http://umie.jp/
June 10, 2018
源義経黄金伝説■第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所明治元年(1868年)よりさかのぼる事、690年前 源義経黄金伝説■第2回http://ncode.syosetu.com/n1703dc/2/1180年(治承4年)四国白峰。老僧が荒れ果てた神社の鳥居の前に佇んでいる。鳥居から見える四国瀬戸の荒海はひゅひゅうと音を立てて荒れすさんでいる。「ようやく参りましたぞ、崇徳上皇様、しかし、この荒れよう、いかにかならぬものか。上皇様、上皇様、どうかお姿をお見せくださいませ。西行が、佐藤義清が参りましたぞ」西行は大声で叫んでいる。ここは四国の山中である。が、社殿は静まり返っている。その静けさが、何とも恐ろしい。「いかがなされました。何かご不満がおありになられるのか」「ふ……」どこからともなく、うめき声が、あたりの静寂を破る。突然、風が強くなってくる。空が急激に曇り始め、やがてポツリと西行の頬を雨脚が濡らした。「遅いわ、西行よ。朕を、何年待たせるのじゃ。さような奴輩が多いがゆえ、京都に災いの種を、いろいろ蒔いてやったわ。四つの宮、後白河もいやいや腰をあげたであろう。俺が恐ろしいはずじゃ。う、悔しや。もっとあやつ、、、、後白河法皇を苦しめてやるぞ」その声は恨みに満ち満ちている。「崇徳上皇様、お待ちくだされい。民には、何の咎もございませぬ。どうか、他の人々に災いを与えるのはお止めくだされい」「ふふう、何を言う。日本の民が苦しめば、あやつも苦しむ。もっともっと苦しめばよい。俺の恨みはいかでも晴れぬは」「お聞きください、崇徳上皇様。では上皇様のための都を新たに作るという策は、いかがでございますか」声が急に途切れる。「何、西行よ、お前、何かたくらんでおるのか。いやいや、お主は策士じゃ。何かよからぬことをたくらんでいるに違いない」意を決して、西行が顔をあげた。「崇徳上皇様、奥州でございます」「何、あの国奥州に」「そうでございます。この国の第二の都を。それならば中国にも前例がございましょう」「何、平泉を、第二の京に。そして朕を祭ると、、そういうことか、西行」「さようでございます」西行は、顔を紅潮させていた。「西行、たばかるでないぞ。わかったぞ。朕は、少しばかり様子をみる事としょう。がしかし、再度謀れば、未来永劫、朕はこの国に、祟るぞ」風雨は、急に止み、天に太陽が姿を現す。汗がしたたり落ちている西行の顔は、まぶたが閉ざされている。体が瘧のようにぶるぶると震えている。腰は、地に落ちている。「これでよろしゅうございますか、兄君、崇徳上皇様に告げましたぞ。後白河法皇様。はてさて、しかしながら、恐ろしい約束事を…。この私が西行が、佐藤義清が、いかにしてか、平泉を第二の京にしなければなりませぬなあ…」ひとりごちている西行は、心中穏やかではない。西行は四国白峰にある崇徳上皇の塚にいる。崇徳上皇は保元の乱で破れ、弟、後白河上皇に流されたのだ。(続く)2010改訂
January 1, 2017
光陽社さんのアート年賀状 2017年酉年(とりどし)光陽社さんのアート年賀状2017年-酉年(とりどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2017/
December 5, 2016
光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2016/作家の作品は、以下を御覧ください。mangakadata.net年賀状の協力作家の作品見本です。年賀状番号1671 1672 suzuki 鈴木純子http://suzuki-junko.com/ 鈴木純子鈴木純子mangakadata.net年賀状番号1656 1668 oishi 大石容子http://mangakadata.net/oishi/index.html# 大石容子大石容子mangakadata.net年賀状番号1639 1685 1686 kitagaki北垣 絵美 http://mangakadata.net/kitagaki/index.html# 北垣 絵美北垣 絵美mangakadata.net年賀状番号1666 1667 shougaki 正垣有紀http://mangakadata.net/shogaki/index.html# 正垣有紀正垣有紀mangakadata.net年賀状番号1654 1673 1674 morinaga 森永先生山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。http://www.yamada-kikaku.com/ ▲『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ ■ユーチューブ■youtube.com●how to draw manga● ●http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 -------------------------------------------------------
December 2, 2015
マンガ家になる塾http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html●マンガ業界がかなり厳しい業界であると認識して受講下さい。●マンガ原稿をすぐ拝見!●編集部へ持ち込みの原稿を添削指導!1か月分の会費です。ただしマンガ家先生のスケジュール調整があり。基本の課題は、かならづしも1回の授業からの課題でなくても構いません。山田企画事務所のHPにテキストは入れています。http://www.yamada-kikaku.com/lesson.html ●1回だけの受講、飛び飛びの受講も可能。参加者の紙原稿(漫画データ)への赤ペン添削●参加の方の個人に合わせ課題も。
November 25, 2015
Windows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.comhttps://youtu.be/Kl7IeVhxwIIWindows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.com How to make movie and upload to YouTube ? Windows ! アニメ作成フリーソフト 動画変換! YouTube に ! Windows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.com How to make movie and upload to YouTube ? Windows ! アニメ作成フリーソフト 動画変換! YouTube に !
November 2, 2015
My youtube VIDEO List, http://www.pinterest.com/yamadakikaku/My youtube VIDEO List, entrance to How to draw manga etc、my pinterest http://www.pinterest.com/yamadakikaku/山田企画事務所のyoutube 動画LIST になっています。漫画の描き方や日本の美景の 動画の入り口の 写真集です。御覧ください。
July 26, 2015
!山田企画事務所ピンタレストーすべてyoutube動画にリンクしてます!http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいyamadakikaku 山田企画・山田博一の写真帳を御覧ください・http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧ください
July 10, 2015
http://www.tv-osaka.co.jp/event/eventtool/名 称イベントツールウエストジャパン2015会 期2015年5月28日(木)~29日(金) 10:00~17:00会 場 大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATC O's南B2F)主 催テレビ大阪 アジア太平洋トレードセンター後援経済産業省 近畿経済産業局、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、(公財)大阪観光局、公益財団法人関西・大阪21世紀協会、一般社団法人日本イベントプロデュース協会関西本部、 NPO法人ジャパンイベントネットワーク、日本イベント業務管理士協会、一般社団法人日本イベント産業振興協会 (順不同)ーーーーーーーー入 場 料 無料 (招待制・事前登録制)目標来場者数5,000人ーーーーーーーーテレビ大阪では今年も、アジア太平洋トレードセンターとの共同開催による「イベントツールウエストジャパン2015」を5月28日(木)~29日(金)に大阪南港のATCホールにて開催します。本展は、イベントや販促関連のツールやコンテンツを所有する企業が出展。企業の販促、関・自治体・行政機関・各種イベント主催団体など、販促やイベント関連のツールをお探しのユーザーをお招きし、出展者とのビジネスマッチングの場としてご好評頂いております。4回目の開催となる今年は、多数の関連企業が出展し、ご来場の皆さまに質の高いプレゼンテーションを展開します。開催時にはぜひ本展へお越しくださいますようお願い申し上げます。ーーーーーーーーお問い合わせイベントツールウエストジャパン運営事務局(テレビ大阪 事業局内) 担当 :酒井・仲野〒540-8519 大阪市中央区大手前1-2-18TEL : 06-6947-1912FAX : 06-6947-1941E-mail : eventtool@tv-osaka.jpーーーーーーーー山田企画事務所・山田博一は、後援団体の日本イベント業務管理士協会/広報委員として告知しています。http://www.jedis.org/member/memberlist/517-940808.html日本イベント業務管理士協会http://www.jedis.org/ーーーーーーーー
April 28, 2015
大石容子の作品http://oishi-youko.com/山田企画事務所 の協力作家大石容子の作品をまとめてみました。大石容子アートギャラリーマンガイラスト依頼見本にご利用下さい。oishi-youko.com大石容子アートギャラリー
November 22, 2014
山田企画事務所・山田のpinterest写真集ーyou tube動画にリンクしてます。●●pinterest●●pinterest●●http://pinterest.com/yamadakikaku/ ●
August 3, 2014
涼し気なる琵琶湖の波音 you tube 映像です。●you tube event-art seminerイベント案内 ●you tube Scenery in japan01風景写真●you tube 風景写真Scenery in japan02 ●you tube 風景写真Scenery in japan03●you tube 風景写真Scenery in japan04 pinterest風景写真集 you tube 映像です。画像をクリックして御覧ください。涼し気なる琵琶湖の波音22涼し気なる琵琶湖の波音21涼し気なる琵琶湖の波音20涼し気なる琵琶湖の波音12涼し気なる琵琶湖の波音11涼し気なる琵琶湖の波音10涼し気なる琵琶湖の波音09涼し気なる琵琶湖の波音08涼し気なる琵琶湖の波音07涼し気なる琵琶湖の波音06涼し気なる琵琶湖の波音05涼し気なる琵琶湖の波音04涼し気なる琵琶湖の波音03涼し気なる琵琶湖の波音02涼し気なる琵琶湖の波音01
July 27, 2014
主催:伊丹市立産業・情報センター、伊丹商工会議所 共催:日本イベント業務管理者協会関西地域本部のコンテンツセミナー予定です。コンテンツセミナー告知ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー1.-クリエイターをめざす人の心得を学ぼう-クリエイター基礎セミナー(入門編)http://www.meditam.org/seminar/20110723/index.html映像・漫画・アニメなどのコンテンツ産業にかかわる、各種企業へのプレゼンテーション能力が必要な学生や若手クリエイターの方々を対象に、コンテンツ産業はじめ企業等への企画提案・PRするために必要となるアイデア発想法・新人教育の方法を、フリーの若手イラストレーターの仕事を参考事例として講義します。開催日時 ◆平成24年6月23日(土)14:00~16:30講 師◆1.「企画・アイデア発想法(映像・アニメ・小説・携帯電話コンテンツ等の企画)」 メディアクリエイター・夢人塔代表 浅尾典彦氏伊丹クリエイターセミナー講師浅尾先生、自著(青心社)を説明。 (去年2011年撮影)2012年のセミナー実施日をお間違いなく。◆2.「イラストレーターの仕事(イラストの描き方、代理店・デザイン会社へのアプローチ方法)」 北垣絵美氏イラストレーター・kitagaki_emi北垣 絵美/作品プレゼン料 金 ◆無料会 場 ◆伊丹商工プラザ4階会議・研修室A定 員 ◆先着80名対 象 ◆コンテンツクリエイターを目指す学生/就職を希望する若手クリエイター等主催:伊丹市立産業・情報センター、伊丹商工会議所 共催:日本イベント業務管理者協会関西地域本部http://www.jedis.org/concept.htmlhttp://plaza.rakuten.co.jp/jediskansai/協力:山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/《お申込み》 伊丹市立産業・情報センター〒664-0895 兵庫県伊丹市宮ノ前2-2-2TEL 072-773-5007 URL http://www.meditam.org/FAX 072-778-6262 Mail postmaster@meditam.orghttp://www.meditam.org/access/index.htmlーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
June 16, 2012
■イシのヒト■第5回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training第5回巡礼ポレフは、トゥーンから遠くはなれたハル星系のゲルダ星から来ていた。この星にくるまで、「石の男」の所樹里に来るまで、どれくらいの金銀をためただろう。ポレフは、生まれてこの方、この星にくるためのみに金をためていたのかもしれない。星間船の乗船賃はこのころでも安くはなかった。一般庶民の手におえるものではなかった。そんな思いをしてたどり着いたこの星で、巡礼のポレフはあり得ざるものを見た。それをみつけた。「信じられない。こんなことがあってもいいのか」石の男を信仰の対象としてきたポレフにとってまさに晴天の霹靂だった。 石の男のまなじりがひかっているのだ。「見てみろ、石の男が泣いている」同時に各地の巡礼たちから驚きの声があがっていた。 祭司アルクも石の男が涙を流すのを眺めていた。アルクは今日は非番だった。 祭司のアルクは、典型的な樹里の男の顔をしていた。鼻梁は高く、ほりの深いかおだちだった。まるで哲学者の顔だった。髪は黒で、祭司にきめられた通り短く切り揃えていた。目はマリーンブルーだった。すんだ目で遠くを見ているようだった。身長180CM。やせ型だった。適度の筋肉がついていて、動きは軽やかだった。「ねえ、おとうさん、石の男はなんてかわいそうな顔をして入るの」アルクのかたわらにいたミニヨンがいった。ミニヨンはアルクの自慢の娘だった。長い金髪は豊饒を思わせ、いままさに少女から、娘に移行する女のあやうさを見る者にかんじさせる。母ドルミはしばらく前に、はやり病でなくなっていた。 父と娘は同じような白い絹のチュニックを着ていた。祭司とその家族にゆるされている服装である。『娘よ、私の悲しみがわかるのかね』ミニヨンの心底に声が響いた。 心底とは、精神の内部、心の内部をいう。「えっ、いったいあなたはだれ、私の心理バリアーを容易に破れるわけはないわ」 祭司の一族は特に心理バリアーが強固だといわれている。他人に自分の心のうちを読まれないようにしている。『私にとっては容易な事だ』 私に話し掛けてくる男はだれなのだろう。特殊な能力をもつ外惑星にいる人間か、ミニヨンは、たずねながらまわりを見渡す。「あなたは、どこにいるの」『君の目の前だ』ミニヨンはまわりをみわたすが、巡礼の人ばかりで、それらしき人はみえない。どの人も優れた能力をもつ巡礼とは見えない。「いったい、あなたは」『私は石の男だ』 驚きがミニヨンの心に走った。 「えっ、石の男ですって、信じられない」『事実、君に話し掛けているだろう。君はなんという名前なのだ』「私はミニヨンよ」ミニヨンは思わず自分の名前を答えていた。なぜなんだろう。この気持ちは。『そうか、ミニヨンよ、私の心底にこい』心底ですって、ばかなことはいわないで、何故、あなたの心底に。大体、石の男に心底なんてあるのかしら。 ここ樹里の人々は訓練すれば、他人の心底にいく事ができる。もぐりこんだ本人の心は「分心」となり、その場所、「心底」にいる。その場所で、分心は本人と同じようにものを見、言葉を発するのだ。しかし、その分心が、他人の心底にいっている間、分心の本体は何も見えず。考えずその場所にいる。この体は幽体と呼ばれる。『君はアルナににているな』「アルナって」『私の古い知り合いだ。君が私の心底にくるのがいやなら、私からいこう』「何ですって」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
October 5, 2011
■イシのヒト(1989年作品)■第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training第4回 男は石の壁で眠りについていた。いつから眠りについているのか。それはこの樹里の人々もしらなかった。男はこの石の壁にうちつけられたようにみえた。 「石の壁」はこの町樹里をとりかこんでいた。いやむしろ、樹里がこの岩場をくりぬいた中にあったといっていいだろう。樹里の人々はこの岩場を守るべく生きている人々であった。 「石の壁」は高さ20Mでこの樹里をとりかこんでいた。まるで、「石の壁」が樹里の城壁の様だった。長さは1KMもあるだろう。この「石の壁」を構成する成分は、この星のものではなかった。壁の表面には、なにやら文字の様な模様が刻み込まれていた。がこの文字はいまだ解読されていなかった。石はなめらかな肌色をしていた。 この岩場はこの星トゥーンの中心にあり、宇宙の各地から、この「石の壁」を目指して来る巡礼団がくりだされていた。トゥーン星はキルハツ星系の第3惑星である。 「石の男」は総ての人々の救いの象徴であった。石の男はこの壁のちょうど中心部の地上15Mの位置にあり、身長2M。顔ははっきりみえない。時間が、この男の顔を削り落としたかのようだった。この男の真下の地面に神殿が設けられていた。 このトゥーン星のマルツ平原では、この石の壁が巨大な存在であった。 樹里のまわり100KMには他の村落はなかった。樹里はトゥーン星でも外の世界からきりはなされたひとつの世界なのだ。トゥーン星は農耕を中心とする産業形態を持っていた。 多くの人々がこの壁を訪れたが、目的は「石の男」だった。 樹里はいわば、この男に対する宗教の霊場であった。「帰りたい、故郷に」リアノンは言った。 我が僚友リアノン。この時期の生と死をともにしてきた。リアノンは消えかかっている。リアノン、消えないでくれ。我が友。船、船が壊れる 彼の故郷への道がいかなるものであるのか、想像を絶していた。 またか。石の男は、自分が、自分の夢の中にいることはわかっていた。この夢はとてもリアルだ。 石の男のたっている周囲は、累々たる死体の山だった。この戦いで私とともに戦い、滅んで行った男たち。 聖戦。 機械神は我々に、聖砲をつかった。次々消えて行く人々。消え行く町町。機械神の軍隊の姿はみえなかった。この戦いにどんな意味があったのだろう。 石の男は総てを思い起こす。 アルナ。映像記憶が蘇ってくる。ある女性の姿が、そうだ。 石の男は涙していた。仲間の死体を星の世界に返してやりたい。あの青き空間に漂わせてやりたい。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
October 4, 2011
イシのヒト(1989年作品)■第1章 詩人 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training第3回青い光が満ち溢れている。亜空間だった。星の光はない。旧宇宙はなくなって久しかった。 この亜空間を漂うひとつの飛翔体があった。虚船。この飛翔体がどんな材料で出来上がっているのか誰もしらなかった。数しれぬ意識体がその船の中に詰め込まれていた。眠っていた意識体のうち、幾つかが目覚める。 そのひとつが隣の意識体に尋ねる。意識体同士がふれあっていた。『おい、そこにいるもの、いるのだろう、お前だ。すまん、教えてくれぬか、いったい私はなにものなのだ』 聞かれた相手もそれが、なにかを聞いているは理解できた。しかし、それに対してどう反応していいのか、なかなかわからなかった。いったい、しゃべるという行為を、どう自分の体で処理していいのかわからなかったのだ。やがて、話し方がわかる。その質問に答えることができた。『わからないんだ。俺には、記憶がまったくない。お前こそ、何かしらんのか』 つまりは、ふたりとも何も覚えていなかった。次々と他の意識体が目覚めていた。この虚船の中でたくさんの意識体が、いまだめざめめずにうごめいていた。一定の時間がすぎた。総ての意識体がめざめていた。彼らはそれぞれ、自分が何者であるか考え始める。 ある時、皆が、叫んでいた。『我々はどこにいくのだ。そしてだれなのだ』 いまのところ、だれもわからなかった。だれも答えようがなかった。いまのところ。 虚船のうえで時が流れた。時はこの船のうえでのみ、流れていた。多くの意識体は学習していた。自分達が何であるかを。が仲間割れがおこった。意見をことにする人々がでてきた。彼らはたがいに仲間をつくる。やがて、この船からいくつかの意識体が弾き出されていた。この破棄された者たちは、この亜空間で作業を始める。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
October 3, 2011
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com■イシのヒト(1989年作品)■山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」●動画manga_training第1章 詩人 第2回詩人ひとりの機械神官がのべた。「お前が信じないのもむりはない。我々もいまだに、しんじられんわけだが。我々の予測機械がそれを予言したのだ。我々の滅びの時間をな」我々だと、その中には私たち人間も含まれているのか、それとも。 詩人は思わず尋ねる。「滅びの時間ですと」「そうだ、それで我々は君をこの神殿に招いたのだ」「なぜ私を、私をどうしょうというのです」「君に新世界を作る材料になってもらおうというわけだ」ひっかけて私から情報をとるつもりか、それとも私をパニックに陥れようというのか。 機械神から告げられたおもわぬ言葉に、詩人はたじろいだ。「私がキーマンですと、冗談もやすみやすみに」 が、詩人はあることにきずく。「ははっ、そうか、そういうことか、私をうまくだまして、追放刑にしょうというわけですか」「我々の論理機構は、このような非常時に冗談をいわない」機械神の言葉は、まさに機械的だった。 機械神官のひとりが、あわてていた。機械神をうながす。「神よ、我々は、その男を、はやく処理しなければなりません」「そうだな、我々にそう時間は残されていない」「処理だと」何か手術を私に施すつもりか。「手荒い処理だがゆるせよ」機械神官の一人がいった。もう一人の機械神官が何かを手にして詩人の方にちかずいてきた。「何を 」詩人の体に電撃がはしった。詩人は、機械神殿で倒れている。神殿地下にある研究室から、詩人の上に、処理機械が、飛んで来ていた。 詩人は神殿の地下に連れて行かれた。地下も機械で張り巡らされている。詩人の体はカプセルにいれられていた。「はやく、神の歌を頭に埋め込むのだ」神官がいった。「わかりました」処理機械は答える。「さて、この詩人のユニットが、いつ、どこにあらわれるかだ」神は悩む。「彼の体に種子を埋めておきますか」処理機械がいう。「時間がくれば、発芽します」「彼は、次の世界でのみずからの役割の大きさに、驚くだろう」神がつぶやく。「それこそ、神の慈悲というものでしょう」神官の一人が言った。「これが聖作機械B22です」処理機械はいった。「このように、聖作はすすんでおります。どうぞご覧下さい」 神の前に突然CRTが出現する、そのCRTに、ある種の機械がうつった。「これが」「聖砲です」「これで星々を収めるわけか。で船の移動機構は」「はい、事故にそなえてサブブレインを2つ聖作してあります」「それがいいかもしれん。このごろの移動機構はあてにならんからな」「おそれいります」処理機械がいった。 この機械神の世界で、星々が次々と消滅していた。 詩人を失った反政府組織は、この動きに観察者をおくりこんでいた。ある時、反政府組織のメンバーが一室に集まっていた。観察者が報告していた。「船が作られているらしい」「どんな船だ」「我々のみたこともないような船だ」「その目的は何だろう」「今の段階ではわからん。とてつもないプロジェクトがすすんでいるようだ」 やがて、予告通り、世界は収斂した。この世界の星々は完全に消えた。 この空間は今はない。 この世界を旧宇宙とよぶ。(続く)■イシのヒト(1989年作品)■第1章 詩人 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
October 2, 2011
■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」http://www.yamada-kikaku.com/■石の民(1989年作品)■第1章 詩人 神殿はこの世界の中心地であった。この世界は光あふるる世界であった。この世界は機械が支配し、生物は機械に従っていた。いつからこうなのか、誰もしらない。機械神が機械の支配者であり、この世界の神であり、創造者であった。彼は自ら作り上げた予測機械で、この世を支配していた。 機械神殿の予測機械はおそるべき予測を記録していた。機械神官の一人がそれを見る。「いったい、これは」晴天の霹靂だった。このデータは早急に機械神に伝えられた。「このデータはまちがいないのだな」「はい」「対策を講じなければならん。この事いっさい他言無用だ」神は絶対者であった。 神は神官に命じた。言葉巧なる者を選べ。その男を安全弁と昭。論理機構は一人の男のデータをはじきだしていた。「神様よ、この男が選ばれたのですが、この男は危険なのです」「どの様に危険なのだ」「反政府分子なのです」「が論理機構が、この世界で言葉巧みなるいものとして選んだ男なのだな」「この世界で一番巧み名のでしょう」神は少し考慮していた。 北の詩人は追いかけられていた。 北の詩人は思う。機械神の支配に対する抵抗運動についての話しあいが終わったところだった。あの仲間の中に裏切り者がいたのか。だれが、私のことを管理機構に告発したのか。詩人を始めとする悲機械人、つまり、生物は機械人の元で苛酷な支配を受けているのだった。 詩人は長い汚れたコートに深くくるまり、帽子をかぶり、コートの奥からしょぼついた目をのぞかしていた。仲間のアボオイのところに逃げ込もう、あそこなら。道をいそぐ。が、この道路はいきどまりだった。 追跡機は直径2Mくらいのシルバーメタリックの球体で飛来してくる。この追跡機Z2タイプは、その追跡物の体臭を手掛かりにおってくる生物体タイプだった。 Z2はその追跡物の匂いをつかまえていた。その獲物は恐怖に囚われているらしい。アドレナリンがにおう。生体の追跡物は必ずにおいを残す。Z2にはその恐怖の度合いが計算できていた。Z2の機械の内部に歓喜の感情がおこっていた。 追跡機は、まぎれもなく北の詩人をめざしていた。Z2は北の詩人の前に回り込み、中央部の胴体部分からデジタルアイを突出させた。デジタルアイはその追跡物を恐怖に陥らせる。「北の詩人だな」そいつは冷たい機械音でいった。「人違いじゃないですか」詩人は無駄な抵抗をしていた。せめての抵抗であった。機械人め。が追跡機Z2の方が一枚上手だった。「君が北の詩人本人であることはわかっている。管理機構に君の画像を電送し、チェックした。我々の主人のところに来てもらおう」「一体私をどこへ」「決まっているだろう。機械神のところだ」 詩人が連れて行かれたのは、機械神殿の中だ。機械神殿、この世界のすべてを支配する所。謁見の間だった。チリひとつおちていないクリーンな雰囲気と外観、この内装はまるで北の詩人がふつりあいであることを示していた。機械神が機械神官を2機つれて、詩人の前に姿をあらわした。 機械神官はヒューマノイドタイプ。背面から後光がさしている。機械神は黒いのめりとした64面体だ。高さは50mはある。その物体が浮遊していた。「詩人よ、顔を上げたまえ、神の前だが今日は特別に許そう」機械神官がいった。 この世界に住む生物体で実際の目で機械神を目の前にできるものは数少ない。詩人もテレビの映像で神の姿を目にはしていたが、実際に目の前にすると、尾ぞけがふるった。この巨大なるものと我々は戦おうとしているのか。詩人は自らの体の矮小さを感じた。ひざががくがく震えた。恐怖心が体じゅうをかけまわっていた。 機械神は突然しゃべりはじめた。「詩人よ、君におおいなる役割を与えよう。君自身、想像もしなかった大きな役割だ」機械神の声は大きく、心にうちこむくいのとうに詩人に響いた。詩人は畏怖に気を失いそうになる。「機械神、私はちいさき者、ただの吟遊詩人にすぎません。ただただ、あなたさまの前ではふるえるだけでございます。私にそんな大役がはたせましょうや」詩人はようやく、これだけの言葉をはきだしていた。自分自身でも声がかすれているのがわかった。詩人は機械神のそんな言葉に驚いていた。ねらいはどこにあるのだ。言葉の裏には何があるのだ。「詩人とやら、隠すでない。君が私達、機械神に対する反政府組織の指導者であることは調べがついている。だからこそ、私は君にある役割をはたしてもらいたいのだ」 なぜ、神が我々の事を知ったのか。管理機構は組織をどの程度まで把握しているのだ。さて、この機械神は何を私に命令しようというのだ。詩人は思う。「考えているな。詩人よ、どうすればこの窮地を脱出できるかをな。しかし詩人よ、誰もおのが運命から逃れる事はできはせぬ」機械神の体のそこここにスポット光があてられている。神秘さが、増していた。「詩人よ、おまえが自らの運命から逃れられないように、我々もまた、自らの運命から逃れることはできぬ」 次の一言が、詩人を驚かせた。「詩人よ、我々の世界は滅びる。収斂するのだ」この神は私を驚かそうとしているのか。「はて、いなことを。機械神の御言葉ともおもえませんが」詩人の心には猜疑心が芽生えている。 ひとりの機械神官がのべた。「お前が信じないのもむりはない。我々もいまだに、しんじられんわけだが。我々の予測機械がそれを予言したのだ。我々の滅びの時間をな」我々だと、その中には私たち人間も含まれているのか、それとも。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
October 1, 2011
アニメーション教室めざせ未来のCGクリエイター!! ●受講料 無料●定員 12名(先着)==================================================CGアニメーション教室めざせ未来のCGクリエイター!!●受講料 無料●定員 12名(先着)伊丹市立産業・情報センター(兵庫県)のセミナーhttp://www.meditam.org/seminar/20100814/index.html--------------------------------------------------CGアニメーション教室めざせ未来のCGクリエイター!!●受講料 無料●定員 12名(先着)伊丹市立産業・情報センター(兵庫県)のセミナー小学校高学年のみなさん。パソコンをつかってアニメーションをつくりませんか。EVAアニメータスクールというソフトウェアをつかってアニメーションが簡単につくれます。めざせ未来のCGクリエイター!!-------------------------------------------■2010年8月14日土曜日■13:00~14:30●会 場 伊丹市立産業・情報センター(伊丹商エプラザ内) 5階 情報セミナー室●受講料 無料●定 員 12名(先着)●対 象 中学生・小学校4~6年生 ※保護者の方1名同伴可能です。●講 師 高倉正樹氏(アニメーションソフトウェア開発者)-------------------------------------------<お申込み方法>FAX/電話/来館にてお申込みください。受講票はお渡ししませんので、当日直接会場へおこしください。主催者の都合により内容を変更、または開催を中止する場合がございます。※ご記入いただいた個人情報は、主催者からの各種連絡・情報提供のために使用し、 それ以外の目的では使用いたしません。氏名(必須)ふりがな学年小学校 年生電話番号(必須)( )FAX( )-------------------------------------------●問い合わせ先 伊丹市立産業・情報センター 電話○72-773-5007 FAXO72-778-6262 伊丹市宮ノ前2-2-2 イ尹丹商エプラザ内【主催】伊丹市立産業・情報センター【共催】日本イベント業務管理者協会 関西地域本部 NPO法人アクト情報交流【企画】山田企画事務所--------------------------------------------------山
August 8, 2010
2007年9月8日ITコンテンツクリエイター養成セミナー [ ■山田企画事務所宣伝■ ] ちょっと本業の広告をします。■セミナータイトルITコンテンツクリエイター養成セミナーーーーーーーーーー■開催日程 平成19年11月30日(金)■開催場所 伊丹市商工会議所(兵庫県)6Fマルチメディアホール■受講料 3,000円(昼食代含む)■主催 伊丹市・伊丹商工会議所■協力 伊丹産業振興シニアアドバイザー ■後援 近畿経済産業局 日本イベント業務管理者協会 関西地域本部ーーーーーーーーー■開催目的ーーーーーーーーークリエイターの作品(コンテンツ)作成の方法論。クリエイターが作る作品(コンテンツ)の活用の現状、作品売り込み(プレゼンテーション)に必要な知識や、ネットワーク構築に必要な礼儀(ビジネスマナー)を講義し、●クリエイターの営業力等のスキルアップや起業支援を行います●ーーーーーーーーー■開催内容ーーーーーーーーー1.コンテンツ産業の現状【15】 山田博一氏(SA・山田企画事務所) 10:00~2.シニアITクリエイターによるインターネット基礎知識【45】 山本俊夫氏(SA・メディア工房Studio Oak) 10:15~3.携帯コンテンツ配信の現況【45】金田哲郎氏(株式会社京都テクノシステム取締役・NTTドコモ関西協賛MCTP コンテンツ元副代表) 11:00~4.ランチミーティング【75】講師・受講生 11:45~5.出版コンテンツの転換法について【45】青木治道氏(出版社 青心社 代表取締役) 13:00~6.映像コンテンツの現状とプロデュースについて【75】浅尾典彦氏(SA/夢人塔代表/映像プロデューサー) 13:45~7.プレゼン営業力向上講座【30】 岡崎津任子氏(Office空間装飾) 15:00~8.プレゼン実践実習【90】松井敏行氏(毎日新聞大阪開発株式会社企画部プロデューサー)山田博一氏(SA・山田企画事務所)間藤芳樹氏(イベント業務管理者協会副会長 株式会社マッシュ代表取締役) 15:30~ーーーーーーーーー●注●伊丹市・伊丹商工会議所の公式文章に、セミナー内容に企画協力している山田企画事務所が、文章を加えてます。9月中旬に公式ホームページ、関連地方自治体等に、告知印刷物・ポスターなど掲出されます。http://www.meditam.org/index2.html
September 17, 2007
■「漫画家なるとも塾」始めます。■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウエッブ上で、書けない事もありますので、事務所を開放して、漫画家になりたい方の相談をお受けいたします。お気軽に訪問下さい。■会場A●大阪市野崎町1-22日宝扇町ビル305(FAX06-6311-7323)■会場B 伊丹市立産業・情報センター〒664-0895 兵庫県伊丹市宮ノ前2-2-2 伊丹商工プラザ内5階シニアアドバイザーコーナーURL:http://www.meditam.org/におります。あらかじめ、連絡を下さい。=========================================ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■漫画原稿を見ます16ページ24ページで作品を作ってきてください。関西在住の漫画家が見ます。(通信教育もはじめます)■キャラクターの方はできるだけ沢山お持ち下さい。■プレゼン営業の仕方をお教えします。■漫画家としてのライフプラン・マネージメント法をお教えしますーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●関西の漫画専門学校・大学の体験学習の後に来てくださいね。11時以降から何時でもオーケーです。また、メールなどにてあらかじめ予約をお願いします。事務所にいない時間帯が多いので、予約下さい。(出版社を紹介する相談は不可能ですので、あらかじめご了承下さい)----------■山田企画事務所(FAX020-4665-6859)■yamada@yamada-kikaku.com●広告・ネット・イベントにマンガ・アニメを!をテーマに●マンガエージェンシーとして企画営業活動を。山田企画事務所(伊丹商工会議所会員・伊丹産業振興シニアアドバイザー・日本漫画家協会会員・日本アニメーション協会会員・経済産業省認定イベント業務管理者)●http://www.yamada-kikaku.com/●大阪市野崎町1-22日宝扇町ビル305ーーーーーーーーーー
September 16, 2007
イシのヒト■第21回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第21回■ 第5章 アルナミニヨン、すまん、あんたのおとうさんは助けてやれなかった。ええい、詩人め、早く歌え。 北の詩人は必死で思い起こそうとする。がなかなか思い出せない。あの時、機械神が、そうだ。 はるかな昔、機械神が処理した石の歌が詩人の頭に蘇ってきた。神殿の地下で処理機構が、詩人の頭に組み込んだ歌。 詩人の口からその言葉が、関をきったように、なだれでてきていた。 詩人の言葉が船に溢れる。 船が輝きを増す。やがて、おおいなる光が船をつつんだ。光二は言葉もなく、それをみている。おっさんやったじゃないか。でも遅いぜ。光二は自分のからだを見る。残っていない。 こころの中のアインがつぶやいていた『やがて、時の海がみちて、新しき世界が 』 船は大きく膨らみ、ばらばらにとびちった。船の部品のひとつひとつが人間の体に変化する。石の民だった。青き大地、つまり亜空間で分離した船の石の民のからだは、吸い寄せられるように、樹里の世界に落下していく。光二の意識は石の民と共にあった。急に青い空間を突き抜けていた。落ちる。そんな感覚が光二を襲った。見た事のある風景が光二の目に飛び込んできた。樹里だ、石の壁だ。 樹里の里の人々も半分に消えかかった体で、石の民が落下してくるのをみていた。祭司長マニはつぶやいた。『時の海がみちて、 石の壁に書かれていたとうりだ』 落ちてきた石の民の体は石の壁に密着する。まるでジグソーパズルのように、その位置が決まっているようだった。やがて、石の壁は、総ての石の民で満ちていた。 石の壁はしばらくすると膨張した。光二の体もその中にあった。光二の聖砲が発光したのだ。 石の壁は、機械神によって聖作された宇宙創造ベースだった。石の民とは旧世界、つまり旧宇宙の星ぼしの意識、記憶だった。 機械神はこの旧宇宙が収斂するとわかった時、星ぼしの記憶を星砲、もしくは聖砲をつかい、高度集積化した。星を、まずは人間の大きさ、すなわち、星の総体意識をもつ石の民、それから石に、さらに船の素材として、さらには記憶をもつ生物的高度情報集積素子(バイオチップ)として。 一人の石の民がその星の記憶、歴史だった。 光二は自分が石の壁に密着した時、あの北の詩人にちかずいているような気がした。 アインはアイン星であり、リアノンはリアノン星であった。 『石の男』ムリムは『死せるものの船』のサブコンピューターであった。『女王アルナ』もサブコンピューターのひとつだった。機械神が選んだ移動機構であった。二人は行き先を巡って争ったのだ。 機械神が北の詩人に与えた役割は、宇宙創造の神になることだった。機械神は、新しき神として、当時の反対勢力の北の詩人をえらんだのだった。 死せるものの船は、実は詩人の体そのものだった。が詩人はその事をしらない。亜空間の中、ただ、詩人の体がカプセルに入り、たゆとうていたのだ。体には石が埋め込まれていた。 詩人の頭が記憶筒になっていた。石の壁は詩人の頭の記憶脳が現れたものだった。 詩人の体には石が付着している。 その石のひとつひとつが星。 しかし、新宇宙が胎動したいま、そんな事は忘れ去られようとしていた。 光二は、いやもと光二であったものは理解した。 我々は新しき世界にいるんだと。石の民一人一人はいわば集積回路、つまりIC、多量の旧世界の情報を与えられた人達なのだと。 石の壁自体がICを埋め込まれた基盤なのだと。 石の壁が、旧世界の記憶を受け継ぎ、新世界を生むべく送り出された記憶のベースなのだと。『死せるものの船』は新世界を生むべく送り出された記憶の船なのだと。 北の詩人の歌は命令コードである。 詩人の歌がうたわれる時、スイッチは押され、新宇宙は始動しはじめる。 アインの意識は広がり、アイン星を形づくる。 光二は理解し、伴侶であるアリサーミニヨンの手をとった。 そして。かれらは新宇宙の新しき星の上を歩み始めた。SF小説■石の民■(1989年作品)(完)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 21, 2007
イシのヒト■第20回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第20回■ 第5章 アルナアルナはミニヨンAに続けた。「この石の棺を手にいれたことで、私のこの船の支配は完全になる。この石の棺が私たちの行き先を決めてくれる」アルナはミニヨンAの方を見ているようだった。「さて、ミニヨン、おまえにお願いがあるの、おまえのその体を私に差し出しなさい。かわりにおまえは永遠の生命を手にいれる事ができる。そしてこの船を支配できる。この船は世界なの、いえ、もっと巨大なものだわ。私の心の宿主になってくれればねえ。この総ての世界の支配者よ。私の体の半分は機械だもの」「宿主ですって、なぜ、あなたのような人の宿主なんかに」「ミニヨンと、有沙の構成因子はすべて私から生まれているよ」「なんですって、どうしてそのようなうそがいえるの」「おまえの体が、その世界の人とはことなっていたでしょう」ミニヨンと有沙の意識がそれを認めた。「それが、あなたと関係あるとでもいうの」「私ははるかなる昔、ムリムと戦った時、ムリムのからだに私の細胞を埋め込んでおいたの。その細胞が成長したのがお前よ、いわば、私が母なのよ。お前は私の分身」「信じられないわ」「事実なの、だから、私の所まで、容易に呼び寄せることができたの」「それに、石の男ムリムがなぜ、ミニヨンを自分の心底にとりいれたか、わかる」「まさか」「そう、そのまさかなのよ。ミニヨンの意識は覚えているはずだわ。ムリムは私のイメージで、ミニヨンをとりいれた。私アルナにそっくりだったから」「それと、私の体を差し出せとはどういう関係があるの」「あなたは若く成長した。生命がみなぎっている。お前の体力が欲しい。この船の力を増大するためにもね」「勝手をいわないで。たしかに、あなたは私のマザーかもしれない。今の今までほっておかれて。母だから、体をよこせと食むしがおすぎるわ」「あなたになんか、私の体をあげるものですか、死んでもいやよ」ミニヨンAは叫んでいた。「この小娘、人が下手にでれば、つけあがって。私はお前の母なるものよ。お前の意志など、この船では関係ないことをみせてあげる」「みせてもらいましょう。あなたの力とやらをね」Bグループの有沙のしゃべり方だった。「お前がいうことをきかないのなら、いやでもきかせてみましょう。これは使いたくなかったけれど」アルナの手に何かが出現していた。「それはひょっとして」「いま叫んだのは、有沙の意識ね。そう、聖なる守り神。聖砲。これは剣の形をとる事もできる」女王アルナは聖なる剣をミニヨンAにむけた。ミニヨンAは女王の姿を見る事ができた。光はその剣から来ていたのだ。どきっとした。光のなかのアルナは老女だった。 しばらくして、『死せるものの船』にアルクと光二が出現する。「ようこそ、この船に」女が待ち構えていた。舞台の上に石棺がおかれている。そのまわり、遠くを石の民が取り囲んでいる。「ミニヨンAか」光二は喜んでいた。「光二、いくらいってもむだよ。今の私はミニヨンでも、有沙でもない。この石の民を司る女王よ」ミニヨンAの顔をしたそいつはいった。「光二、いま、君のすべきことは彼女を倒すことだ」アルクは冷たく言う。「光二、今が君の戦う時だ」「彼女を倒す。どうやって。あんたは助けてくれないのか、アルク、俺一人でか」「彼女をたおさなけば、時が満ちない。新世界が生まれない」アルクは叫んでいる。「新世界だと、俺には関係ない。俺が世界で一番愛しているのは有沙だ。俺はこの姉の顔をした彼女をたおすことなどできないぜ」光二はアルクと一緒のここに来た事を後悔した。「光二、お前は選ばれたのだ。石の壁に書かれているのだ。お前の名前が」「なんだったって」「はるか昔から、予言されているのだ。お前が戦わなければ、この世界が 」急にアルクはだまる。「アルク、どうしたんだ」光二はアルクを見る。「こ、光二、わ、私のか、体を 」アルクの足先が消えていた。「アルク、どういう 」光二の体に寒気が襲ってきた。こいつはどうすれば。とんでもないことに、なっちまった。「ほほ、石の男が消えたいま、私が世界の中心なのよ」「世界の中心だって、この世界はお前が作ったってわけか」「でも、お前の属している世界は石の男ムリムが作ったもの。いずれお前もあの男のようになる。ムリムが消えたのだから」「お前はいったい、ムリムとは」「この船で私と彼ムリムが戦っていた。主導権をめぐってね」「主導権だって」「私たちふたりは移動機構。この船の頭脳なのよ」言葉とともに、するどいアルナの剣先が襲ってきた。「私は女王アルナ。光二とか、いったね、お前は血祭にあげてやる。私が生まれ変わった印としてね」「生まれ変わった」「そう、私はミニヨンAの体をとりこんだ」「ミニヨンの体を、それじゃ、有沙の意識も」「そういう事になる。さあ、お前も私の手にかかって死ぬ」「なぜだよう、おばさん」「きがついていないようだけれど、おまえの心底には、石の民アインがいるのさ、ムリムの友達のね。アインは私にそむいた石の民。私が一番手にかけたい男」「なぜだ。かれはムリムの手先として、この船を破壊した」「そんなこと、俺には関係ねえ、その体ミニヨンAを返しなよ」「下郎、この私アルナの聖剣をおうけ。私に殺されることを名誉と思いなさい。私は創造者。だから私はお前たちを自由にする権利がある」「なにをしやがる。このおばんめ。お前が女王であっても、創造された人間を殺す権利なんかみとめない。俺は光二。フッコウベース、Bグループの光二だ、だれが進んで殺されるかよ。聖剣だかなんだかしらないが、むちゃはやめな。俺は戦うぜ、自分のため、そして有沙のためにな」そういう光二は、ふらついて、たおれそうになる。「ど、どうしたんだ、おれの体は」光二の心に恐怖が走る。「お前は『石の男』ムリムが作った世界の住民なんだよ、あのアルクと同じようにね。さあ、覚悟はいいかい」姉の顔をした女王アルナは、鋭い剣を光二の体にむけた。『光二、お前も聖砲をもっている』光二の心に声がした。アインだ。そうだ、聖砲はどこだ、光二はポケットからそれをだした。祭司の剣が動く。光二はかろうじて横にころがる。が、剣からでた光線が光二のほほをはう。「光二、は、早くしろ」アルクが声をかける。 アルクの足は完全になくなっている。「うわっ」光二の指が第2関節までなくなっていた。「どう、つかうんだ、これは」アルクにたずねるが、アルクもしらない。アインのおっさん、教えてくれよ。俺は使い方をしらないんだ。「さあ、観念おし」アルナが、ゆっくり剣をかまえた。光二は指輪を真ん前に差し出していた。「なぜ、お前がそれを、それは有沙がもっていたはず」アルナの顔色が変わっていた。「さあ、はやく、それを、およこし、そうすれば、命は助けてやる」アルナの態度が急に変わっていた。「だめだ、こ、光二」アルクが苦しそうにいう。「そ、それを、渡したら、終わりだ」アルクはこちらをみながら倒れる。「えーい、はやく、およこし」無理やりアルナは光二の指に手をかけた。その時、別の声がした。「アルナよ、もうよせ」「その声は、まさか」「そう、ムリムだ、アルナ、私の最後のお願いだ」「ムリム、あなたは消えたのでは」「が、残留思考が、この聖砲に残っている。世界をつくろう。アルナよ、私と一緒になるのだ。この船の果てしない旅など、もう無用だ。この聖砲により、一緒になれ。君と私はただの移動機構にすぎない。行き先は彼が、北の詩人が知っている。時は満ちた。アルナよ、私の手にいだかれよ」「ムリム、そうはいかない」「アルナ、ゆるせ」 光二の指輪の先から光が走った。 目の前にいた女王アルナが消えていた。光二はアルナが最後に「ムリム、あなた」と叫んだのを聞いたような気がした。 光二が勝ったのだ。怪我の功名だ。いままで、黙ってみていた石の民がどよめく。「アルナが消えた」が光二は泣き叫んでいる。「ああ、ミニヨン、ミニヨンが消えちまった」アルクのおっさんよ、俺はミニヨンを消しちまった。光二はアルクの所へいき、アルクの体をいだく。「アルクのおっさん、ひどいことになっちまった。光二は涙がとまらない。が、光二のからだもどんどん消えて行く。「アルク、どうすれば」光二はたずねる。が、アルクのからだは、もう半分になっている。しゃべれない。『光二、はやく石の棺を開けろ』アインの声だ。『石の棺が問題なのだ』「そ、そうだ、どこだ」目指す棺は、石舞台のうえに飾られている。石の民が光二をとどめようとする。 光二は、聖砲をむけて相手を牽制する。そこへ、すりよっていった。もう光二も立ちあがれなくなっていた。 くそう、力まかせに、石の棺を開く。急に光があふれた。中には男が眠っている。「おい、おい、男だぜ」光二は気が抜けたような感じがする。聖なる棺に男が一人かよ。光二はその男の体にさわろうとした。一瞬、男の目がひらかれた。光二の目とその男の目があった。なんて、むさいおっさんなんだ、光二は思った。こいつが本当に世界を救えるのか。「ときがみちたのか」男は、そうひとりごちた。光二は答えようがない。俺は何もしらん。するだけのことはした。詩人だった。彼は光二の顔をにらんだ。なまいきそうな奴め、あまり、時代は変わっておらんな。こんな若造が活躍する時代なのか。いやはや。詩人は溜め息をつく。「私に歌えというのだな」いやいや言っている。だれもあんたの歌声など聞きたくもない。が光二も、もうしゃべれない。光二が、なにかをいう前に、その男は中央の石舞台にたっていた。 このおっさんが主人公か、舞台だけはきれいに用意されているぜ。誰ものこっちゃいない。光二の体ももう半分になっていた。が最後まで見届けてやるぜ、ここまでして、死んじまうとは、俺も不運さ。Vグループのやつらを、あの時殺しておくべきだった。特に、アキヨシと登をな。 詩人を前に敬う様に、石の民はしりぞく。 おっさん、はやく歌えよ。おれの体が残っているうちに。しかし、あの恰好はなんだ、帽子に、なげいコートときたものだ。俺の最後の見納めがあの姿かよ。光二は急に有沙の顔を見たくなった。アリサ、最後はアネキお前さんの指輪でたすかった。でも俺はアネキの体を吹き飛ばしてしまった。許してくれよ。でも。もうすぐ、アネキのそばへ、いける。光二はアルクの方をみた。アルクの体はもうない。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 20, 2007
イシのヒト■第19回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第19回■ 第5章 アルナ ミニヨンAは目覚めた。「私はなぜここに」ミニヨンAは台の上に寝かされていた。ミニヨンAのまわりには、多数の人々が集まっていた。人々は灰色のボロギレをまとい、顔も覆面でかくしている。独特の雰囲気がある。不思議な事に話し声が聞こえてこない。その静けさの中、急に声がした。「死せるものの船へようこそ」ミニヨンAはその声の方向を向く。女がひとりいた。隣にいる男が覆面を脱ぐ。大吾だつた。「ここはどこなの」ミニヨンAは尋ねる。「いったでしょう、『死せるものの船』だと、我々は青き空間の中をとんでいる」女が答える。「私はなぜ、ここに」「おまえはこの石棺とともに運ばれて来たのだ」大吾がいった。「石棺と」ミニヨンAがいぶかしげに尋ねた。「そうよ、この大吾は、私がこの石棺を回収させるために、遣わしたのよ」「あなたはだれなの。あなたの声は聞いたことがある」「そのはずよ。あなたの心を育てたのはこの私だもの。私はこの『死せるものの船』を率いる女王アルナよ、また、石の民も率いている。お前の樹里にいた「石の男」は、私が追放した。私アルナと石の男は争っていた」「石の男を、何のために」「この船の行き先について、私と彼は意見をことにしていた」アルナは続けた。「意見が異なるだけで、彼を追放したの」女王アルナの体を、はっきりとミニヨンAは見ることができなかった。女王はなぜか泣いているように見えた。 7色の光を放ち、その光が強すぎるのだろう。その輪郭をはっきりつかむことができないのだ。「アルナ、君がなぜ、私を」「ムリム、この石の民を守るためよ」「そのために、この私を追放しようというのか」「私は義務として、あなたを追放しなけけばならない。双子のようなあなたと私。でも私はあなたよりこの船と石の民をとります」「アルナ、君はあとで後悔することになる。とりかえしのつかない事をしたってな」ムリムと仲間を乗せた補助艇は青き大地の中へ送り出されていった。 アルナは自分の構成因子を種子として、この補助艇に吹き込んでいた。彼、ムリムはひょっとして、自分たちの世界を作るかもしれない。その時は、私の種子たちが、それを知らせてくれるでしょう。 ムリムを追放してしばらくした時、突然、船に爆発が起こった。「アルナ、大変です。聖砲と石棺が消えています」石の民の一人が報告した。「まさか、ムリムが」アルナは驚きの声をあげた。「どうやら、そのようです。おまけに、ムリムの同調者もこの船に残っている様です」「その同調者をさがしなさい。そしてムリムたちおを追跡しなさい。大吾、石棺を取り戻してきなさい」「わかいました。アルナ」「石棺をみつけたら、連絡しなさい。あなたをすくいあげます」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 19, 2007
イシのヒト■第18回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第18回■ 第4章 ミニヨンVグループのアジトはフッコウドームの中央より東側にあった。このあたりは廃品工場跡だ。 ミニヨンAと光二の意識はそれを見ている。 ミニヨンAが光二をこの世界に連れてきた。先に光二を実体化させた。Vグループの集会室だ。光二が実体化した一瞬は、キッズの誰も声がでない。誰かが恐ろしげに言う。姿なきものにいうように「光二、おまえ、死んだんじゃなかったのか」「残念ながら、ピンピンしてるぜ」「それで、おれになにか用か、Vグループに所属したいとでもいうのかい」「こきやがれ、登」「光二、おまえのあねきの死に様ってなかったな」登はあざけるように言う。「くそ、登、おまえが」「そう、俺が後ろで糸をひいていたのよ」「後ろで」ということはだれかが。「光二。おまえは本当にカンのにぶい奴だな。このごろ、Bグループがきまってヤバイ橋を渡っていたのはなぜだと思うんだ」「 」まさかという気持ちが光二の心にめばえていた。「おい、隠れていないで。でてこいよ」登は暗がりにむかって言った。陰から一人の男がでてくる。「やはり、おまえか」アキヨシだった。光二の指がぎゆっとにぎりしめられている。「なぜ、おまえが」「あんたはよ、俺を優遇してくれなかったろう。登さんはちがうぜ」すねたようにアキヨシは言う。「そうだ。俺はアキヨシにおまえのしょばを約束してやった。おまえをやっつけてくれればとな」「アキヨシ、なぜ姉きをころしたんだ」光二の顔は紅潮している。「本当はおまえさんをやるつもりだったんだ。それをあの有沙がじゃまをしたんだ」「ということは姉きは俺の身代わりになったってことか」「それに俺は有沙にほれていた。があいつはひじてつを俺にくらわしたんだよ」アキヨシが言った。「アキヨシ、貴様」光二はアキヨシに詰め寄る。「まて、それで光二、このVグループになに用があったきたんだ」光二は目的を思い出す。アキヨシの言葉で興奮して忘れるところだった。「大吾のかついでいる石棺を渡してほしい」「石棺だと、なにをいいだすかと思ったら。おい、みんな聞いたか石棺だとよ」笑いが空洞にこだましていた。「おまえの死体でも、いれるのか」「登、それにVグループのみんな、聞いてくれ。俺はこのフッコウドームの事などどうでもいいんだ」光二は言う。「ほほう、このドームで番をはっていたおまえがこのドームの支配がどうでもいいだと」登が返した。「泣かせてくれるぜ」「お涙ちょうだいします」Vグループがやじを飛ばす。「俺をおこらすな、俺は今、世界を背負っているんだ」光二は真剣な表情だった。「おい、きいたかよ、世界を背負ってるだと」「巨大な力が俺を動かしているんだ」「その巨大な力とやらを見せてもらおうじゃないか」「俺たちの相手をしてもらおうか」「待って」今度は、突然ミニヨンAが現れた。「こ、こいつはどうだ」登は言葉がでない。「し、信じられん」アキヨシの目は飛び出しそうだ。「幽霊じゃないだろうな」「私は生きているわ。でも私はあなたたちが考えている有沙ではないの。私達にとって、今ほしいものは大吾の石棺。そのなかに眠れるものが世界を左右するのだから」「世界を左右する」Vグループの一人が笑った。「おまえたち、ふたりとも、頭がどうか、したのじゃないか」「まあ、そんなに大事なものならおまえたちに渡すわけにはいかん。我々が利用させてもらおう」登がいった。「やめろ、登、おまえたちの手にはおえん」「何だって、笑わすなよ。おい、大吾はどこにいるんだ」登は大吾を探す。「さっきまでここにいたんですが」「さっき、でていったようです。でも、石棺は背負っていませんでした」「まあ、いいや、石棺さえあれば」「おっと、ふたりとも動くなよ。こっちをみな」3人のVグループの男たちが武器を構えている。光二と有沙は身動きできない。Vグループの連中が石棺をさがす。「大吾の野郎、どこに石棺をおいたんだ」「あっ、ありました、こんなところに」アジトの裏にある洞窟の中にそれは安置されていた。「まて、それを開けるのは」登は光二の方を見て、にやりと笑う。「有沙にやってもらおうじゃないか、何がはいっているかわからんからな」「やめろ、登、彼女に危険をおかさすな」光二の顔は怒りで一杯だった。なんと汚い奴なんだ。「おまえは命令できる立場には今いないぞ、光二、それにおふたかたは世界を背負っているんだろう。こんなことくらい」登はミニヨンAの方を向く。「有沙、このトンネルにはいってもらおうか」ミニヨンAは武器を持った男に命令されて、そのトンネルへはいっていく。なにか危険な臭いを光二は感じた。 洞窟に安置されている石棺をミニヨンAが開けようとする。一瞬後、トンネルが大音響と共にくずれる。「有沙、ミニヨンA」光二は叫んでいた。「今度こそ、おだぶつだな」登が冷たく言う。「登、貴様」「光二、ここの主導権は俺がもっている」 突然、その場所に光が満ちた。「うあっ」全員が倒れている。意識をうしなっていた。アルクが登場していた。「アルク、来るのが遅すぎる。有沙、いやミニヨンAが下じきだ」「光二、だいじようぶさ」アルクの顔色はわるかった。マニの話しを聞いていたからだ。「なぜ、それがわかる」「彼女は死せるものの船にいるさ」「何故、わかる」「彼女は我々の敵かもしれん」「なんだって」アルクの以外な言葉に光二はびっくりした、一体どうなっているんだ。「マニと話したんだが、彼女は知り過ぎている」アルクの目には絶望の光すら見える。「まあ、どうせ、はっきりする。我々もそこに行く」「えっ、俺も行くのか」「当然だ」「すまないが、その前に、アルク、時間をくれないか」「何をするつもりだ」「いや、こいつら、とくにアキヨシと登にお礼をしたいんだ」「バカモノ、いまは世界がどうかなろうとしている時だ、そんなやつら、勝手に消えるさ」「でも、アルク」「いくぞ、光二」未練がましくしい光二を連れてアルクはアジトから去った。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 18, 2007
イシのヒト■第17回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第17回■ 第4章 ミニヨン石の壁から,石の男が消えてしまった。巡礼たちが騒ぎだす。巡礼の目の前で信仰の対象だった石の男が消え去った。 ガントはおおあわてだ。彼ら光二とアルクが石の男の心にはいってだいぶの時間がすぎていた。間違いだった、彼らをいかすのではなかった。反省していた、これで、私もアルクと同じように、ああ、いやだ、かんがえただけでも恐ろしい。あの儀式、それに妻のモリはどうなるのだ、家族は、私の店は、私の美しい着物は。 樹里の祭司たちは大騒ぎだ。その石の壁の前でガントが棒立ちしている姿が際立っていた。「ガント、何がおこったんだ」祭司長マニだった。ガントは祭司長マニの驚きに答えて、つい本当の事を告げてしまう。「祭司長さまお許しください。実はアルクがもどってきていたのです」「なんだと、アルクが」「アルクが一人の若者ともどってきたのです」「それで」「石の男の心に沈んだようです」「おまえはそれをとめなかったのか」「とめようがなかったのです。それにアルクは、この若者が聖砲をもっているといったのです。これがすべてを解決すると」「何、聖砲だと、本当にそういったのだな、ガント」「そ、そうです」ガントは祭司長の顔が一瞬変わったのを見た。祭司長はひとりごちた。「時が満ちたのかもしれん」何の前触れもなく、男たちと女がかえってきた。巡礼たちが声をあげた。信仰の対象である「石の男」が消えたことは、この世界の消滅を意味するのかもしれなかった。そして、続いて男たちが出現したのだ。 時代が変化しつつあるという実感が巡礼たちの心に芽生えていた。その恐怖が人々の心に伝染していく。「よく、帰ってきた、アルク」マニは両手をアルクの両肩においた。「それでは、通信機の声はあなただったのですか」「そうだ、だれかが、この世界からでていって、聖砲をもって帰ってくることは石の壁に書かれていた。石の壁の文字を読めるのは私だけだったのだ」やがて祭司長マニは決心したようだった。「アルク、もう我々は後戻りできん。君はこの若者の導師となり、すべての出来事を掌れ。我々は手助けをしょう。石の男が消滅した以上、石の壁を復興させなければならん。そのためには北の詩人が必要だ」「北の詩人はどうやら、私達のいた世界にいるようよ」ミニヨンが光二に告げる。「俺のいた世界だって」「そう、おまけにVグループが秘密をにぎっているようね」ミニヨンは皆が驚いているのにもかかわらず、次々と事実を述べていく。「アルク、ミニヨンはどうしたのだ」マニが不思議なものを見るように訪ねた。「彼女は変身したといっているのです」「この中では、私が一番、石の民に近いところにいるわ」ミニヨンが皆を無視してしゃべり続ける。「マニさま、お許しください。どうも、もとのミニヨンにはなかなか戻りそうもありません」アルクは冷や汗をかいている。「いや、北の詩人の事を彼女は知っていた。北の詩人も石の壁に書かれていた」マニはしばらく考えている。「若者よ」マニは言う。「俺は光二という」「光二、君はフッコウドームにもどって貰おう。むろん、ミニヨンと一緒に」マニは言った。「マニ、すでに彼女はミニヨンではありません。別の存在です」アルクは言った。「それに、俺の姉さん有沙の記憶ももっているんだ」光二はいった。「どう呼べば良いのかね、君」マニが言った。「ミニヨンAとでも呼んでください」ミニヨンの顔をした女がいった。「さあ、わかった。君たちは早くフッコウドームとやらへ行け。『北の詩人』を必ず手に入れろ。世界はせれにかかっている」そのあとアルクの方を向く。「予定が変わった。アルク、君はここに残るのだ」「なぜです、マニ」「君には石の男の心の中で何がおこったのか説明してもらおう」「なぜ、私が」「ほら、この巡礼たちに説明してやろう、そうしなければ、皆が不安だろうて」「それに私もです」真っ青な顔のガントだった。「でも、Vグループと戦うのだろう」光二はかたわらにいるミニヨンAを見た。「君がミニヨンAの事を心配するのはわかる。が一緒にいきたまえ」マニが命令した。「そう、私には力がある」ミニヨンAは、光二に向かっていった。確かに石の男を消滅させたのも、聖砲の使い方を知っていたにも、このミニヨンAだった。くそ、今度はいいところをみせねば、光二はあせっていた。「いい、光二、北の詩人は大吾の石棺のなかよ」「なぜ、それが、あんたにわかるんだ」「いったでしょ、私は一番石の民に近いのだって」ミニヨンは当然の事のようにいう。「大吾って」「ワンダリングキッズよ。石棺をかついでいるから、見ればすぐわかるでしょう」「よし、まかせておきな」光二は空元気を出していた。 光二とミニヨンAは消えた。 二人が消えたあと、マニはアルクに言った。「アルク、死んでくれるかね。世界のために」「何ですって」「我々は皆滅ぶ。我々は滅ぶが、新世界で再生できる」アルクは言葉もなかった。「総てはあの石の壁に書かれているのだ。だから、アルクよ、君はこの石の壁に書かれている様に、動いてくれ」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 17, 2007
イシのヒト■第16回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第16回■ 第4章 ミニヨン『光二とやら、聞きたまえ。私は石の民の一人なのだ。石の民は世界を創造できる。この世界をつくったのは私だ。石の民一人一人がそれぞれ世界をつくれる。 私ムリムだけが、ある事情があり、この「石の壁」に残っていたのだ。我々ははたしてどこからきたのかわかりはせん。ただ石の民の過去の記憶をもつ伝説の人がこの壁の前に現れた時、我々はいくべき所と過去をしることになる』光二にはチンプンカンプンだった。『我々の記憶は告げている。この人の名前は北の詩人と』石の男は告げた。 光二は考える。今自分がここにいる、ここは石の男の心底だ。じゃ、今、考えている俺自身は何者なのだ。不思議な体験だった。『光二、君が望むのなら、君を石の民にしてやろう。君は、君の世界をつくれる。神となれるのだ。私に協力したまえ』『石の男、光二にまで、干渉するな。ミニヨンをかえせ。そうしなければ、聖砲を使うぞ』アルクは言った。『が、アルク、光二、君達はその聖砲をつかえるのかね。また聖砲のもつ意味合いを』 確かに聖砲の使い方はわからない、アルクは痛い所をつかれた。『光二、かまわん、聖砲を使え』『でも、アルクのおっさんよ、俺はしらんぜ』『この期に及んで、何をいう、光二』『だから、俺はいったろう、しらないって』『ははは、ばかものめ。我々のみがその聖砲の意味をしっている』 とうさん、とうさん、私はもとの世界へ戻りたい。とうさん、助けに来て。ミニヨンは石の男の心底で毎日なきくれていた。なぜ、私が、この石の男の心底で、それに、石の男は私をアルナと呼ぶのだろう。アルナっていったいだれなの。ミニヨンの前に光が現れた。ミニヨンは恐怖で一杯になる。また何か、悪いことが私の身におこるのだ。なぜ、私だけが。「ミニヨン、怖いか」女の声だった。「あなたは」「ミニヨン、おいで」「どこへ」「この私の光のなかへ。そうすれば、お前はこの石の男の心底から逃げられるのよ」ミニヨンは光の中に入っていた。光の中にはミニヨンと同じ顔をした女の子たちで一杯だった。この声は聞いたことがある。少女のころからの。ミニヨンは意識を失っていた。 アルクと光二の前に、突然、別の分心が現れる。ミニヨンだった。『ミニヨン』アルクは叫ぶ。『ミニヨン、なぜ、私の心の牢から脱出できたのだ』石の男ムリムが叫んでいた。 ミニヨンは光二の分身にかけよると、くすり指にある指輪を引き抜く。『あっ、何を』光二の叫びにはかまわず、ミニヨンはその指輪を石の男に向ける。『まさか、お前は 、いかん』 それが、石の男の最後の言葉だった。石の男の姿は指輪からはっする光りの中で消滅していた。『ミニヨン』『姉さん』二人は思わず駆け寄る。『ミニヨン、大丈夫だったか』アルクが叫ぶ。『姉さん、生きていたのか』続けて光二が叫ぶ。アルクがむっとして、光二にどなる。『光二、待ちたまえ、ここではっきりさせておこう、この子は私の娘ミニヨンだ。君の姉さん有沙ではない』『姉さん、姉さんなんだろう』光二はアルクの言葉を無視してミニヨンにはなしかけていた。『私、私はだれでもない。新しい生命よ』彼女は言った。以外な答えだった。しばらく、二人は声もでない。『どうしたんだ。ミニヨン』アルクは戸惑っている。『光二、アルク、私はミニヨンでも有沙でもない。進化した存在となった。ある人と石の民に会うためにね』『何をいっているのだ。ミニヨン』アルクはゆっくりと話す。『アルク、私は幼いころから、変わった子といわれていたでしょう』ミニヨンの顔をした彼女はアルクに尋ねた。 そういえば、アルクは思い出す。『そのころから、私は進化していたの。まったく、ミニヨンから異なる別のものへとね。そして、私は石の男の心底で私は変身を遂げた。まったく別の生き物としてね。だから 、ミニヨンの外観はそうでもまったく別のものなの。さて、光二、私、有沙は変化した。あなたは私がホースから落ちるところを見ていたわね。不思議な落ち方をしたでしょう。有沙として私はある時期から変化していたの。別世界のものが私を呼んでいたの。誰かが私をホースから突き落としたのは事実だわ。でも、その一瞬先に私の心の中に叫ぶものがあったの。《有沙、そのホースから、飛び下りなさい》とね。その声は有無をいわさなかったわ。私はホースから落ちて、ドーム世界で死に、この石の男の世界で蘇ったの。だから、私はミニヨンであり、有沙でもあるの』『石の民はどこにいるのだ』『死せる者の船にいるわ』『死せる者の船だと』『石の男もそこから、やってきたの。すべてはその船からはじまったのよ。私は石の男の中で変身した時、それがわかったの』(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 16, 2007
イシのヒト■第15回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第15回■ 第4章 ミニヨン『わっ、ここはいったい』『ここが、石の男の『心底』だ』光二のイメージとはかなり違う。灰色の霧がもやっている感じだった。二人のところに一陣の風が吹く。二人の前に男が立っていた。『アルクか、しょうこりもなく帰ってきたのか。アルク、いくら私のところへ来ても、ミニヨンを返すわけにはいかんぞ』石の男はアルクを認めると笑ったようだった。『今度こそ、ミニヨンを返してもらう』アルクがはりきっている。 石の男は、アルクのそばにいる光二に気がついた。『アルク、その男はだれだ』『石の男、よく聞け、この若者は聖砲をもっている。私が世界のはてまでいって探してきたのだ』『なに、聖砲だと』この若者が聖砲をもっている。ひょっとして。がなぜ、アルクが聖砲の事をしっているのだ。ひょっとして[死せるものの船]になにかがあったのかもしれん。一度この若者にかまをかけてみるか。石の男は、光二にいぶかしげに尋ねる。『君は石の民ではないのか』『石の民、いったい、なんだ。それは。俺はVグループの光二だ、フッコウドームじゃちょっとは知られた名前だ。そんなことより、ミニヨンをわたしな』 こいつは飛び切りのバカかもしれん、石の男は思った。が念には念をいれて。 光二には答えず、急に石の男は光二の心にしずんでいた。光二は樹里の人々とは異なり心理バリヤーなどはならってはいない。 なんだ、こいつの心の中は、ぐちゃぐちゃじゃないか。光二の心の中は原色のかたまりだった。それに有沙の思いでがいっぱいだった。これはミニヨンか、いや少し、違うようだが、何か別のものが、驚くことがあった。 光二の心のなかに、別の男の意識が隠されていた。『お待ちしておりました。ムリム。私を助けにきてくださったのですか』この心はアインという。石の男はよく知っていた。『ああ、やはり、君か、アイン』『そうです、あいつに追放されてこのありさまです。この光二とかいう男の心に閉じ込められているのです』石の男ムリムの仲間、石の民アインの心が、光二の心底に閉じ込められていた。『この若者は石の民ではないのだな』ムリムがたずねる。『そうです。あいつが私をとじこめる檻にしたのです』『ところで、君は聖砲について知っているかね』『はあ。どうもこの男がもっているようなのですが、なぜか、わからんのです』『聖砲は我々があそこから追放された時に盗んだのですが』『そうなのだ。なぜ、この男の手に』『まあ、それはいい。さあ速く、この男の心からでるのだ。アイン、ひとりでも味方が欲しいところだ。私を助けてくれ』『が、ムリム、この男の体と私の心は結び付けられているのです』『という事は』『この男も連れていかざるをえないのです』『あの船へ、対決するために』『そうです。聖砲を使って』『よし、とりあえず、アルクを排除するか。そして、この光二とやらを、我々のために働かそう』石の男は自分の心底に戻る。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 15, 2007
イシのヒト■第14回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.comイシのヒト■第14回 ■ 第4章 ミニヨン 光二、アルク。二人は石の壁の前にたっていた。突如現れたこの二人を目ざとく発見したものがいる。祭司仲間のガルナが重い体をゆすりながら、むこうから、走ってきた。「アルク、アルクじゃないか、お前はこの土地に戻ってはならん」「アルク、お前の顔は」ガントはぎょっとした。あの柔和がったアルクの表情が変わっていた。アルクの顔は戦士の顔になっている。驚いたガントは、あとは、小さな声で続けた。「アルク、わかっているだろう。だれもこないうちに、早くここからきえろ。悪い事はいわん」ガントは心配している。「ガント、安心しろ。君には迷惑はかけない。私は娘ミニヨンを助けるためにかえってきたのだ」「どんな方法でミニヨンを助けるつもりだ」「この男だ」ガントは光二を上から下までなめるように見る。「こんなへんな着物をきた奴はみたことがない。おまけにガキじゃないか。こんな奴が石の男に立ち向かうのか」光二は怒る「なんだって、おっさん。俺たちの世界では俺ぐらいのキッズが、ロボットを支配しているのさ。あんたくらいの年ならもう生きていない」「なんだと、なんというガキだ」ガントは怒って、光二にくってかかる。「ガント、私はこの彼の力を借りねばならんのだ。彼は秘密の力をもっている」「へへん、ざまあみろ」「アルク、そんなこといったってな。祭司会議がなんというか」「祭司会議がきずく前に我々は石の男の心底に潜り込んでいるさ」「そんなこといったって、俺の責任になるんだ」ガントは汗をかいている。冷や汗だ。「へへん、肝っ玉のちいせえおっさんだぜ」光二は新しい世界と、これからへの期待と不安で舞い上がっている。「何をいう。このガキめ」ガントは顔を赤らめていた。「光二、黙っていてくれ。いいから、ガント、早く解決すればいいのだから」 二人が言い争いが続く間、光二は『石の男』を見上げていた。その後ろに『石の壁』が続いているのだ。光二は身震いした。光二の世界のルールがここで通用するだろうか。光二はやや逃げ出したい気分だった。といって、光二には、アルクがもっていたフォトに写っているのが有沙だと思っていた。なぜ、この世界の人間が有沙の写真をもっているのだ。どうせ後戻りはできない。そう光二は思った。「姉さん、会いたい」光二はまた左手で指輪をなでていた。たった一人の肉親、有沙。会えるならば、どんな危険でも犯さなければなるまい。話しがまとまりかけていた。「ガント、知らなかったことにしろ」「そりゃあ、こまるよ、アルク」「あっという間に、はいったことにしろ」「がたがたいってるうちに他の人間がくる」光二がいう。「後生だ、ガント」ガントはうなずき、横をむいた。ガントとしては最後の譲歩だろう。「早く。光二」「えっ、どこへ」「決まっているだろう。石の男の心底へだ」「ま、まだ心の準備が」光二のひざがわれそうだった。「いまさら、何をいう、ここまできて」「お前は男じゃないのか」ガントが叫んでいた。今度はガントが光二をばかにする番だった。「このおっさんにいわれると。ようし、早くいこうぜ、アルク」二人は沈んだ。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 14, 2007
イシのヒト■第13回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第13回■ 第3章 光二二人は異なる時間と空間を撥ねていた。 V団のアジトだった。たくさんのキッズがいる。今、ヘッドの登はいないようだった。大吾がいた。大吾は180CMの大男。ワンダリングキッズの一人だった。他のドームのヘッドの紹介状をもって登の所へ来た。登の団にワラジをぬいでいるというわけだ。ある特技でメシを食っている。 このフッコウドームのキッズは、近くにある鉱山で掘り出される貴金属を食いぶちとしていた。この鉱山は平和チームの監督監視下にあるのだが、何人かの作業ロボットが金儲けのため、ひそかに登たちキッズのところへ貴金属をもってきていた。登のVグループと光二のBグループはこのロボットの作業員の裏支配をめぐって争っているのだ。「おい、お前、いい根性しているじゃないか」Vグループのキースが言う。キースは金髪で細面の顔は残酷なイメージを、会う人にあたえる。「ど、どいいうことですか」ロボット作業員Z113が、答えていた。「内緒で、ブツを光二のグループへ流しているときいたぜ」「そ、そんなこと絶対にありません。ロボットは嘘つかない」「じゃ、お前はロボットじゃないな。ロボットじゃなきゃ用がない。おい、大吾、おしおきだぜ。ほかのロボットらもよくみておくんだな」キースが大吾に命令する。キースはこのグループのNo2だ。「や、やめてください。私は悪くない」Z113は目をレッド色にしていた。大吾はZ113のボディをしめあげた。ハイチタンの体がミシときしむ。「わ、わかりました。もう、しません。やめさせてください。光二が悪いのです」「おい、大吾、もういいぜ」が、キースの言葉にかかわらず、大吾の動きはとまらない。「おい。大吾、やめな」キースが青くなる。「大吾」他のキッズも騒ぎ出す。「やめろ、大吾」 瞬間、アジトは機械の破片が吹き荒れていた。ロボットZ113の体が爆発したのだ。「おい、何て奴だ」「うわっ、か、怪物だ」仲間のロボットたちはさんをみだして、アジトから逃げ出した。「やりすぎだぜ、大吾」キースは大吾をなじる。これだから、ワンダリングキッズは困る。組織って奴がわかっていない。「すまん」が、大吾の顔はあやまっているようには見えない。むしろ自分の力を楽しんでいるようにみえた。とにかく、わかりにくい表情なのだ。「おい、大吾、お前、その棺桶どこから見付け出してきたんだ」キースはこの気まずい雰囲気を変えようとする。大吾は背中に石棺を背負ったままなのだ。「ああ、このドームへの途中の道でな」大吾はぶっきらぼうに答える。「じゃまにならないのか」他のキッズが尋ねる。「ああじゃまにならん」大吾が答える。「ほっとけよ、大吾の棺には大切なものがはいっているんだから」興味をもったひとりが大吾に言う「中をみせなよ」「何か、金めのものがはいっているわけか」「いいだろう、みせろよ」棺かつぎの大吾は歯を剥き出して、そいつに怒った。「わ、わかったよ、お前の棺にはちかずかないよ」「おいおい、やめておけよ。大吾の力は今見た所だろう」キースが止めた。が、その日の晩、棺かつぎの大吾のふたを、内緒であけた奴がいる。しかし、首の骨がおられていた。その目は棺桶の中を見て見開かれていたのだ。大吾はこの棺を見付けた以上、早く、元の世界へ帰らねばならなかった。待っている人がいるのだ。大吾はこの石棺を探して、アルクと同じ様に、星を、世界を渡り歩いていた。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 13, 2007
イシのヒト■第12回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第12回■ 第3章 光二「だれだ、おまえは」ローレルが男にきずき、声をあげる。「光二の味方か」「Vグループのキッズじゃないな」「それに平和チームの者でもないな」「なんだ、こいつの格好は」「仮装行列かい」「ここは舞台じゃないんだ。関係のない奴はひっこんでろ」これだけ、ローレルとハーマンがいっても男は無言だ 男は光二の様子を探って入る。「ちっ、気持ちのは悪い奴だぜ。おい、速く。アジトまでかえろうぜ」「そうだな、Bグループの邪魔がはいらないうちに」 二人は気を失っている光二をホースの後ろに乗せて飛び上がろうとしていた。 その時、静かにしていたその男が、目にもとまらむ早さで、Vグループのローレルとハーマンの間に割り込んで、ホースの操縦管を持つ二人の手を、男は両手でおさえていた。「何、何をしやがるんだ。てめえ」「やはり、Bグループのキッズか、おまえは」男は何もいわない。「そうかい、それじゃ、御相手しなきゃな」「悪いことはいわない。私の相手になるな。私はその光二に用があるんだ」男が初めて声をだした。男の顔は、過去が尋常ではなかった事をあらわしている。「光二に用があるだと」二人は顔をみあわす。「ふふっ、残念ながら、我々もこの光二に用がある。俺達が先客だ。ものには順番がある。おっさん、そのくらいの事はわかっているだろうが」「順番だよ、次には光二を渡してやるさ」「ああ、もし生きてういればの話しだがな」二人は笑う「私はそんなに待つ訳にはいかん」男の目は遠くを見るような眼だった。ローレルはこの男のマリーンブルーの眼を見て、ぞっとした。「おまえはドームへの来訪者だな」「俺たちはこのドームでは少しは知られた名前なんだ、Vグループといってな」「我々にさからおうというのは、ここの法律を破っているのと同じさ」「残念ながら、私にも法律がある。そのわたしの法律にしたがって光二をもらっていく」「どうやら、このお客人は俺たちに、喧嘩をうっているようだぜ。どうするハーマン」「それならば、歓待しないってほうはないな、ローレル」「あとで泣いてもだめだぜ」二人は男にとびかかっていく。 数秒後、二人の方が大地にころがっていた。「光二、起きろ」光二の意識が戻ってきた。「うん、いったい、あんたは」 が光二はこの男の顔を見て驚いた。光二の夢に出てくる男だったのだ。光二は倒れている二人をみる。「どうやら、俺を助けてくれたらしいな。礼を言う」光二は大地にころがっているVグループをける。 男は言った。「私がだれだかしらなくてもいい。それより、光二、聖砲をわたしてくれ。私にとって重要なものなのだ」「聖砲だと」やはり、夢と同じ事をいいやがる。「そうだ。私は聖砲を持っている男を探して、いろんな世界を渡ってきたのだ。君がどの世界にいるのかわからなかったのでな」光二は一瞬、時間が泊まっているような気がした。今、この男のいったことは何なのだ。まったく意味がわからない。今度は光二が質問をする番だ。「一度あんたに現実に会えたら、きこうと思っていたんだ。あんたは最近俺の夢に頻繁にでてくる。あんたは、夢の中でも聖砲をさがしている。それはわかった。が俺は聖砲なぞもっちゃいないぞ」男はにやっと笑う。「君は知らないだけさ。君の指にある」「指だって」おもわず光二は左手で、右の指輪を押さえていた。「まさかこの指輪が聖砲というのではないだろうな」「それだ」男は冷淡に言う。「あんた、いったい、誰なんだ。それにいったい、聖砲って」「光二、君はこの事件にかかわるべきではない。これは我々の世界の事件なのだ」「そういう一方的な言い方はないだろう」「君は聞いても、理解できないだろう」「あんたが聖砲という、この指輪は、姉のかたみなんだ。みずしらずのあんたに渡すわけにはいかん。あんたは何者なんだ」「石の壁の祭司だ」「いしのかべ、さいし。どういう意味だ」「だから行っただろう。この事件は君の想像力をはるかにこえている」「お前さんねえ 」光二は少し考えている。「私の名前はアルクだ」「アルク、事情をはなしちゃくれないか。それもできるだけわかりやすく。あんたは俺の命の恩人というわけだ。お礼をしなきゃいけない。俺は人に借りをつくるのがきらいなんだ」「このフォトを見てくれ」アルクは写真を差し出す。「こりゃ、なんだ、えらく古ぼけた写真だなあ」 が光二はこのフォトを見た瞬間、大声をあげていた。「姉さん、これは有沙の写真だ」 アルクもびっくりし、反論する。「違う、私の娘ミニヨンだ」「あんたが間違えているぜ、これは姉さんだ」 光二はアルクのさしだしたフォトを握り締めている。手がふるえていた。いったい、なぜ、この男は有沙の写真を持っているんだ。 そういえば光二は有沙の写真は一枚も持ってはいない。「とにかく、光二よ、私の話を聞いてくれ。私の娘ミニヨンが石の男に心を奪われたのだ」「というと」「石の男の心底に、ミニヨンが取り入れられてしまったのだ」「心底にとらわれる」「人間が心の中にとらわれるって。それに『いしのおとこ』とはなになんだ」「石の男とは我々の信仰の対象なのだ。この男が、我々の世界を作っていると考えられている」「それじゃ、ミニヨンが中にいるのは名誉な事ではないのか」「それと、ミニヨンの件とは異なる。彼女は一人の女の子だ。その子が創造者の心に入るとは、不浄な事なのだ」「俺たちの世界の価値観とは異なるようだな」「そうだ。君は理解できまいが、とにかく、彼女を助けるためには、君のもっている聖砲が必要なんだ」ここでいろいろ言ってもしょうがない。とにかくミニヨンとやらにあってみる事だ。有沙である可能性もなきにしもあらずだ。光二はある決心をした。「OK、あんたの言うことはわかった」「おお、わかってくれたか」「この指輪はあげてもよい。がそのかわり」「そのかわり」男は身構えた。「あんたのいう別の世界に連れて行ってくれ」「それはだめだ」男は不安になる。この若者は何を考えているのだ。「つまり、あんたのいうミニヨンに会いたいのだ」「私の娘ミニヨンに」どういうことだ。ミニヨンに会いたいだと。「そうだ。俺は自分の姉だと考えている。あって納得したいのだ」「たしかに、そのほうが納得できるだろう。ただし、石の男に勝ったらの話しだが。つまり、石の男と戦わねば、ミニヨンにはあえんぞ」よし、うまくいっている。とにかく聖砲が必要なのだ。アルクは思う。「戦いだと、のぞむところだ」光二の血が騒いだ。別の世界で戦えるだと。「光二、私の体につかまれ」この若者の気がかわらないうちにとアルクは思った。我々の世界に連れていってしまえば。どうせ、聖砲さえあれば、何とかなるだろう。「あんたの世界に連れて言ってくれるのか」「そうだ。君もそうすれば、納得するだろう」「それはあんたも同じだろうよ、アルク」そうだ、俺は納得したいのだ。光二は思った。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 12, 2007
イシのヒト■第11回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第11回■ 第3章 光二「おまえが最愛の姉をなくし悲しむのは、いいんだけれどね」あてつけがましく、アキヨシが言う。「なんだよ、アキヨシ、文句でもあるのか」 光二はこのアキヨシがおねえにちょっかいをだしていると聞いていいた。「今、我々Bグループがどうなっているのかわかっているのだろうな」詰問調だ。「アキヨシよ、ヘッドは俺だぜ。俺の言葉が法律なんだ」光二の言葉は怒りをふくんでいる。「わかったよ、おまえがボスだよ」アキヨシはホースをドームの中央に去っていく。 光二はコアで少し考えていたあと、ホースに乗って外にでた。気分をまぎらわすためだ。といって、Bグループの仲間のキッズと顔を合わせる気にはならない。ドームの中を目的なく飛んでいた。ふと気付くと、あの場所だった。光二はそこに降り立つ。 光二が有沙が死んでいた場所にたたずんでいるのを上空から見ている二人がいた。Vグループキッズのハーマンとローレルだった。「あいつがいったとうりだな」背が高いハーマンが言う。「またとない、チャンスじゃないか。あいつはひとりだぜ」にきび面で、だるまのようなローレルがいった。「おまけに考え事をしているぜ」「よーし、いこう、ハーマン」「めにものみせてくれる」ハーマンがほくそえんだ。 光二は急に後ろから捕まれ、上空につりあげられる。光二はあらがう。姉の事を考えていて、注意力がそがれていたのだ。「光二さんよ、我々におとなしく、ついてきてもらおうか」えらく背の高い奴がいっていた。「くそっ。おまえ達は」光二の足元は、地上10mの空気なのだ。「いわずとしれたVグループのキッズよ」「Bグループのヘッド光二を捕まえたと、あっちゃあ、大手柄なわけさ。おっと、光二よ、あまりあばれると、俺たちの手から、地面へ落ちるぜ。ちょうどおまえのあねきみたいにな」にきび面がいう。「くそう、おまえか有沙を殺したのは、」「おいおい、人違いだぜ、俺はおまえのアネキなど、殺しちゃいない」「じゃ、おまえか」高い奴にいう。「知らないぜ、光二、少なくとも、俺たちじゃないぜ」「おい、ちょっとだまらそうか、これほど暴れられると、体をもちにくいからな」ローレルがハーマンに同意を求めた。「そうだな、連れて行きやすくするか」Vグループのキッズは話しあっていた。「やめろ」光二はさけんでいた。ローレルは腰のベルトにはさんであった電撃銃を取り出す。光二の体に当てる。「ぐう」光二は気絶していた。二人は光二を一度地上に降ろす。ローレルとハーマンは、ホースの後ろに光二の体をしばりつけようとしていた。そこに、突然、一人の男が出現していた。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 11, 2007
イシのヒト■第10回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第10回■ 第3章 光二ベースマンの殺戮機械からの光線兵器がまわりの子供たちの体を貫く。体が焼き焦げる匂いがした。生存ステーション・ゼータ。12年前だ。「いたいよ」「助けて」悲鳴と泣き声、叫び声がステーションに満ちていた。「光二、大丈夫」「有沙ねえちゃん、逃げて、僕はもうだめだ」「何をいってるの、光二、しっかりしなさい。マザー、マザーはどこなの」「ここだよ」われた声が聞こえてきた。声帯が壊れたらしい。子供たちが倒れている。みな、光二、有佐と一緒に育ったファミリーだった。アリスA203は体の半分を吹き飛ばされていた。焼き焦げた機材の下敷きになっていた。「光二、有沙、ふたりでおにげ。お前たちだけだよ、生き残ったのは。私はもう動けない。ここは私がなんとか、時間をかせぐ」「だって、マザー、一緒に逃げよう」光二が泣き声で言う。「有佐、はやく、光二を連れて逃げるのよ。光二、有佐のいう事を聞くんだよ。子供たち、私が育てた子供たちで、今まで生き残ってきたのはお前たちだけだ。生き残っておくれ、私アリスA203のためにも。そして、いつか私のことを思い起こしておくれ。さあ、そのためにも逃げて生き延びるのよ」二人は泣く泣く、アリスをおいてそのばを離れた。「光二、後ろをみちゃあだめ」「どうして、おねえちゃん」爆発音が聞こえてきた。が、いかんせん、ふたりは子供だ。高速で移動する殺戮機械が近寄ってくる。「光二、早く」殺戮光線がまわりをないだ。光二は倒れる。「光二」有佐が叫ぶ。光二は、恐怖で体を動かすことができないのだ。有佐は自分の体を光二の体の上に投げ出していた。殺戮機械が光二たちに気がつく。光線がこちらをむく。やられる、光二はそう思った。目を思わずつぶった。が殺戮機械の方が吹き飛んでいた。光二はゆっくり目をあける。「おねえちゃん、いったい」光二は有佐の指にあるものをみた。それがふたりの命を救ったのだ。「おねえちゃん、それは」「私にもわからない、知らないうちにあったの」 有沙は子供の頃から、この指輪を大切にしていた。幼い頃は指が細かったので首から下げていた。大きくなって、光二が指にさしてやった。二人は血のつながりはない。光二は有沙の指にはめながら、キスをした。ふたりはかんきわまっていた。血の契りであつた。「光二、私達がゼータ生存ステーションで生き残ったように、二人はいつも一緒だよ」「わかっているよ。姉さん、俺達はいつも一緒なんだ」 あの時、光二は有沙の死体から指輪を抜き取っていた。騒ぎのあと、すぐ、平和チームがやってきた。光二は参考人として、拘留された。この部隊員が有沙の死体にさわろうとする。光二は叫んでいた。「おねえの死体にさわるんじゃあねえ」平和チーム隊員はこの星の人間ではない。だから、極めて事務的に処理する。バーナーで、彼女の死体を焼き切っていた。姉、有沙の死体が燃え上がる前で、光二は泣き叫んでいた。「おねえー、アリサー」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 10, 2007
イシのヒト■9回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第9回■ 第3章 光二光二は近ごろへんな夢を見る。がこの夢のことは誰にもいえやしない。こんな夢をはなせば、へんな奴といわれるに違いない。 『光二は荒野にたっている。この荒野はどの星の荒野ではない。ある男が急に現れる。その男は光二のみたことのない服装をしている。 そいつは光二の前に近付いて来る。そして言う。「光二、聖砲をくれ」「そうよ、光二」今度は後ろからの声だ。後ろを振り返ろうとする。「だめ、ふりかえっちゃあ」有沙の声だった。光二は後ろを振り返ることがどうしてもできない。なぜなんだ、おねえ、おねえなんだろう』 「おーい光二、いこうぜ」アキヨシの声だった。遠くで響いている。目がさめる。汗でビッショリだった。光二はコアの窓を開く。外にはアキヨシがホースに乗っていた。「光二、まだ、寝ていたのか」 フッコウドームにはいくつかの生存基地(ベース)が作られていた。それは蜂の巣の用に入り組んで作いた。コアとはその1細胞である。1コアに一人がすんでいる。 ホースはこのフッコウドームに使われている乗り物である。小型の円盤である。一人もしくは二人乗りで、大戦前に生存していたと思われる馬からの神経系が見事に機械に移植されていた。乗り手のおもうがままにあやつれるのだ。体長は3M、ピーナツがたをして居て、真ん中にくぼみがあり、そこにまたがることができるのだった。「アキヨシ、悪いが今日、俺はアジトへでかけるのに気乗りがしない」 アキヨシは困った顔をする。「またかよ、ヘッドのおまえがいなければBグループの士気があがらんぜ」「アキヨシ、わるいがな、仲間のキッズにうまくいっておいてくれ」「このあたりのロボットの管理権はVグループにとられてしまうぜ」アキヨシはしつように言う。その言葉は光二の頭に響いている。光二は気がのっていないのだ。光二は思わず右手人差し指の指輪にさわっていた。姉のかたみの指輪。この指輪は、地下の生存ステーション・ゼータにいた時から姉がもっていたものだった。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 9, 2007
イシのヒト■第8回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第8回■ 第3章 光二 第2宇宙サーゴン、ドーム都市。ドームはこの廃墟を思わせるサーゴン星の表面に異様に目立っている。戦雲がさった星に、残ったわずかな構造物のひとつだった。 光二はVグループのキッズの一人を、ホースからたたきおとしていた。乱戦だった。このドームの支配を大きなものにするために。「おねえ」光二はあねの有沙(ありさ)を叫んでいる。Vグループのキッズとの抗争だった。光二が横を見ると、信じられない光景が光二の目に入ってきた。こんな事がありえるのか。まさかこんな事が。信じられない。 有沙がホースからずり落ちて、ゆっくりとまるでスローモションの様に地面に落ちて行くのが光二の目に映っていたのだ。有沙。たったひとりの姉。その姉の体が落下していくのだった。「有沙ーーーー」その光二の声は、ドーム都市に反響するほどだった。地面におちた有沙の体はすこしばかりはねあがり、再び地面でとまった。首が横に曲がり、赤いものがとびちった。光二の生きててくれという願いは、むなしかった。確実に死んだだろう。子供の頃から、死体を、山とみてきた光二にはそれがわかった。「おねえ」光二は地面に突進した。上空では、光二が地上にむかったのを機に、Vグループのキッズがあっというまにいなくなっていた。Vグループのヘッド登が、この機に逃げろとの指示を与えたのだろう。Bグループが待ち伏せていたのだ。Vグループは不利だった。光二はホースをあやつり、地面に降り立つ。いったい誰がおねえをころしたんだ。 光二は動かなくなった有沙の体に泣き崩れ、それから、頭を持ち上げて泣き始めた。仲間のBグループの連中もいなくなっている。気をつかったのか、それともVグループをおいかけていったのか。 光二は17歳。かって生存していたという動物、豹のようなしなやかな体をした精悍な男である。この男が生きている時代がこのように光二を変えてしまったのだろう。まだのびざかりの180CMの体をもちあましていた。だが彼は、このフッコウドームの勢力を2分するBグループキッズのヘッドである。 姉、有沙、20歳。地下保護ステーションで、ロボットマザーの手によって、光二と有沙は姉弟として育てられていた。 地下保護ステーションはこの戦争前、両陣営が地上の組織や諸設備が潰滅した場合、何年かたって地上にもどり、地上を復興するために作り上げた地中ステーションであった。 各ステーションには精子と卵子が冷凍保存され、地上が生物の生存可能になつた場合、子供を生産するようにセットアップされていた。子供の育児には「育児法」によって研修を受けたロボットマザーがあたった。 一人のロボットマザーはおおよそ5ー6人のキッズを育てる。がロボットマザーアリスA203によって育てられ、生き残ったのは光二と有沙だけだった。 この星サーゴンは不幸だった。大戦役後、別の星域から攻撃的な宇宙人ベースマンが飛来してきたことだった。この星を手にいれようといた彼らベースマンは、大量の殺戮マシーンを使い、地下ステーションを捜し当て、地下へ侵入してきた。この星の生物を完全抹殺するために。この時、アリスA203は2人をかばい、傷付いた。この混乱の時以来、二人はアリスA203にあっていない。 後から来た星間連合より派遣の平和維持チームの手によって助けられた二人だった。 アリスA203が混乱で行方不明になった今、光二の肉親といえば有沙だけだったのだ。 フッコウドームは、この星が星間戦役から自力復興するために、星間連合から派遣された平和チームが作り上げたドームである。 地表は星間戦役による汚染から危険に満ち溢れていた。フッコウドームのキッズ平均年令はひくく、約22歳だった。 それ以上の大人は、前の大戦でほとんど死亡していた。地下の保護ステーションに避難していた「子供たち(キッズ)」だけが助かっていたのだ。が、このVグループとBグループとは地下生存ステーションを別にしていた。 それゆえ、別陣営の子供たち(キッズ)とおもわれる。この星を復興しようと考えた平和チームはそんなことを考慮せず、フッコウドームを各地の作り上げ、自由に子供たち(キッズ)をほうりこんでいた。 それゆえ、VグループキッズとBグループキッズの対立のネはふかかった。がフッコウドームを管理する星間平和チームはこの生物の本能である抗争意識を管理する方法を、いまだにみつけださずにいた。いやむしろ、かれらキッズの抗争を観察していたのかもしれない。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 8, 2007
イシのヒト■第7回 石の男 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第7回「アルクだぞ、アルクだぞ」「アルクが来たぞ」見張りの男が大声で叫ぶ。 樹里のメインストリートに叫び声があふれ、期待に満ちた人々が集まり出していた。祭司アルクの追放儀式だった。 アルクは収容所から出される。アルクはこの樹里のメインストリートを無抵抗で歩いていかねばならない。後ろを振り向くこともしゃべることも許されていない。道の両側に立ち並ぶ人々は、アルクがちかずいてくると、アルクに向かって石を投げた。人々は正装をしていた。聖なる石を不浄人アルクに投げる大切な儀式なのだ。道端の石や、この日のために用意してきた石だった。石は聖なるもの、石の壁そのものだった。アルクはこの聖なる石をよけることはゆるされなかった。 不浄なる者アルクが出て行くことによってこの樹里は聖なる場所に戻る。 美しい白いチュニックははぎとられ、代わりに一般市民の着る灰色のローブをきせられていた。そのローブも飛来する石くれでしだいに汚れて行く。 石つぶてはアルクの顔といわず、手足といわず投げ付けられ、もはやアルクは傷だらけだった。傷口からは血が滴り落ちている。樹里のメンストリートを過ぎたアルクの目の前にマルツ平原がひろがっていた。空はどこまっでも晴れわたっていて、アルクの心とは裏腹だった。 まさに不毛の大地だった。これからどうすればいいのか、アルクは絶望していた。 突然そんなアルクの耳のなかに小石がなげこまた。最後の石だった、しかしその石はアルクの耳のなかにとどまる。その小石が何かをしゃべった。「アルク、アルク」どうやら小型の通信機らしい。「まっすぐ進んで人々から見えない所までいけ。それからしゃべれ」アルクは言われたとうり、1kmほど歩き潅木の中にしゃがんだ。「あなたはいったい」「しっ、アルク、だいぶ困っているようだな」「 」答えようがないアルクであつた。「これからどうすればよいかわからないとみえる」この考えは否定しようがない。「そういうあなたは」わらをもすがる思いであった。「よいか、アルク、私の助言にしたがうのだ」声はうむをいわさぬものだった。むろん、アルクはしたがうつもりだった。他に方法がない今ならば。「アルクよ考えようによれば、お前はえらばれたんかもしれん」「選ばれたですと」この人は何をいっているんだ。しかし、ある種の見方かもしれんとアルクは思った。「この世界を変化させる種子が、お前かもしれん」世界を変化させるだと。どういうことだろう。石の男が動き出すというのか、石の壁が壊れるとでもいうのか。この時、アルクの頭にある確信がおこった。「あなたはひょっとして」「だまれ、アルク、私がだれでもよい、今は問題ではない。いいか、アルクよ、お前はこの樹里をでたあと、聖砲をもつ者をさがすのだ」「聖砲ですと」なんなのだ、聖砲とは。アルクはその言葉を聞いた事がなかった。「そうだ、その聖砲がお前を助けてくれるはずだ」「アルク、よく、聞け。この世界はひとつではない。多くの世界が存在するのだ」「それは、トゥーン星以外の星ということですか」「そうではない。この星の集まり、宇宙とは異なる宇宙があるのだ。お前はこの宇宙を飛び出し、聖砲を探せ。お前の運命なのだ」「星の世界を飛ぶ、どうしたら」「心配するな。その儀式をいまから、教えよう」 アルクはマルツ平原に佇み、耳にひっかかっている通信機の声を聞いている。日が沈みかけ、赤い陽光がアルクの体を真っ赤に染め上げていた。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 7, 2007
■イシのヒト■第7回 石の男 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第7回ミニヨンの心底に、すでに石の男の分心が侵入していた。ミニヨンの心底でアルクの分心は叫んでいた。樹里の里に住む者は、それぞれの心に心理バリアーをもっている。そうしないと他人の分身ならむ分心が侵入してくるのだ。子供の頃から、個人個人が心理バリアーを育てるように教育されている。この心理バリアーがこの里のものの証明であった。 怒りが、アルクの分心を一杯にしている。『石の男、やめろ、娘の心をどうするつもりだ』 石の男の分心に対してアルクの分心がさけんでいた。『アルクよ、すでに君の娘ミニヨンは私がもらった』石の男の分心は言う。『なにをいう、石の男、この娘は私の命なのだ』『が、アルクよ、この娘は選ばれたのだ。この世界とは異なる別世界を、体験させてやろう。ミニヨンは私、石の男によって選ばれたのだ。光栄と考えよ』 アルクの分心は怒りで一杯になっていた。『そんな事はのぞんでいない。石の男、私の娘を返して欲しい。私はあなたを敬いこそすれ、にくんだことなぞない。なぜそんな私から私の宝ともいえる娘を盗むのだ。後生だ。石の男』 アルクの分心は石の男の分心に接触しょうとする。がアルクはミニヨンの心底で石の男の分心から激しい刺激を受ける。 うすれゆく意識の中で、アルクは石の男の言葉をきいた。『アルクよ、ミニヨンの心からされ、これからは私が彼女の父親なのだ』「アルク」叫んでいるガントの顔が視野に入っていた。 アルクの意識がもどると、もとの体に戻っていて、大地に倒れていた。アルクのまわりに祭司たちがあつまってた。ミニヨンの体は消えている。石の男が、自分の心のなかにつれさったのだ。 まわりに立っている人々からガルクをみつけたアルクは叫んでいた。「どこにいるんだ、ミニヨンは」ガントは恐る恐る答える。「君の分心がもどってきて体が倒れた時、俺の目の前で消えてしまった。あんなこと初めてだ。すっーと消えてしまったんだ」「なんてことになったのだ、アルク」祭司長マニだった。マニは厳しい顔をしていた。「この里はじまっていらいの惨事だな」マニはこの樹里で一番の高齢者んである。いったい何才か本人も覚えていない。枯れ枝の様に痩せている。顔色は灰色のちかかった。するどい眼光は鳥を思わせた。が、この樹里の実力者はマニだった。「アルクを収容しろ」マニは命令した。「待って下さい。マニさま、これは、これは何かの間違いです」マニはそのアルクには取り合わない。「アルク、ああ、えらいことになってしまった」ガントは神殿の衛視によって引き立てられるアルクを見て青ざめていた。 巡礼たちのざわめきが後に残ったマニの耳に入ってくる。この石の壁の前で一人の少女が消えたのだ。石の男の心底に連れていかれたという。それにその少女は祭司の娘だという。何かの変調ではないか。 祭司マニは石の壁の前に立っていた。壁には不思議な文字が刻み込まれていた。誰も読めないといわれているが。マニはしかしその壁の前で考えているようだった。しばらくして、ひとりごちた。「やはり、時が満ちたのかもしれん」 マニは考えぶかげに、壁の前から去った。 2日後、アルクは祭司会議にかけられていた。この祭司会議は樹里の里にある一番大きな建物が当てられていた。すなわち神殿である。この建物は聴衆でいっぱいだった。こんな機会はめったにない。巡礼を始め人々は、喜びいさんで見にきていた。祭司たちは、蔑みの目でアルクを見ている。 アルクは中央に設けられた被告人席にすわらされていた。自らの運命の変転に驚いていた。なぜ、私が、それにミニヨンが。ミニヨンが消えたのがなぜ、私の罪だというのだ。皆で助けてくれるのが本当ではないか。傍聴席にガントがいうのに気がついた。ガントは真っ青だった。「さてアルクよ、お前は娘に心理バリアーを育てる訓練をさせなかったのか」判事がうむをいわせず、攻撃してくる。「そのようなことはございません。私が自らの手で、幼い頃より、教育いたしました。それほどたやすく心理バリアーをやぶれるはずはないのです」アルクは必死で抗弁する。「が、事実、やぶられたではないか」判事はいう。 アルクは答えようがなかった。ミニヨンの学校の友人マリネが証言していた。「ミニヨンは容易に心理バリアーを開いていました」マリネは下を見たままだった。アルクの方はけっしてみなかった。とにかく不利な証拠ばかりが、仲間の祭司たちによってあつめられていた。結果はわかりきっていた。 陪審員は次々とアルクを非難する。「神聖なる我が世界の祖「石の男」に祭司の娘が囚われるなど前代未聞だわ」「アルク、不浄人め、二度とこの樹里の里に足を踏みいれてはならん」「娘ミニヨンの心をとられるとは、祭司の風上にもおけぬ」 祭司たちの非難の言葉が次々とアルクの頭上を飛び交う。 祭司マニは、裁判長としてこの祭司会議をまとめて命令する。「アルクよ、石の男よりミニヨンを助ける方策をみつけるまではこの里にもどることをゆるさん」マニの言葉には決然としたものがあった。アルクは抗弁する。「マニさま、手掛かりをおわたえください。石の男より我が娘ミニヨンを取り戻す方法を。私は、いや先祖代々このアルク家はこの里に奉仕こそすれ、汚れをあたえるようなことはしておりません。この私になぜ、このような不幸がおとずれたのでございましょう」アルクは祭司長の前で叫んでいた。祭司長は無言だった。神殿が騒がしくなった、会場に罵声が飛ぶ。アルクは収容所に連れていかれる。アルクは両脇をささえる衛視にさからって、後ろに向かって叫ぶ。「マニさま。どうぞ、お教えを」アルクは何度も叫んでいたが、人々は明日の儀式を待つざわめきに掻き消されていた。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 6, 2007
■イシのヒト■第6回 石の男 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第6回 宗教の中心地樹里には、この「石の壁」「石の男」を管理する祭司委員会が存在する。祭司は代々世襲され、祭司職はこの樹里の里ではハイクラスを意味する。 樹里の町中からも、巡礼たちの騒ぎを聞き付けて、多くの人々が走り出てきて、石の男を見あげていた。「たいへんなことになったなあ、アルク」知り合いの、ガルクが汗をふきふき話しかけてきた。ガルクはあせっかきだ、たぶん、店のほうから、騒ぎを聞き付けて駆けてきたのだろう。ガルクの姿をみれば、心配性のようにはみえない。この里の者には珍しくまるまる太っている。アルクと同じくらいの身長だが、体重は2倍はあるだろう。ほおひげとあごひげが、チュニックとよくマッチしていた。「しかし、ガント。この事件で、樹里にくる人々が増えるとすれば、お前の店の収入があがるではないか」 アルクはいやみをいった。ガントは妻のモリに巡礼向けのスーベニアショップをやらせている。 この店の売上が、たいした金額になると、アルクはきいていた。ガントのチュニックは特別じたてといううわさだ。その生地は遠くの商工業都市ヌーンからとりよせているともいわれていた。「我々では手がでない。マニさまに報告しょう」アルクが言った。「そうだ。マニさまがどうするか決めてくださるだろう」ガントが言う。「さあ帰るぞ。ミニヨン」 が、ミニヨンは答えない。ミニヨンの様子がおかしい。彼女の目は「石の男」に向けられている。瞬きひとつしない。「ミニヨン、どうした」ガントものぞきこむ。 さっきから、ミニヨンの心に言葉がみちあふれていた。ミニヨンの分心は石の男の心底に呼び寄せられていた。こんな体験はミニヨンにとって初めてだった。どうしていいのかわからない。『助けて、おとうさん』ミニヨンは心の中でさけんでいた。石の男の分心がミニヨンの心底に侵入していた。『さてミニヨン。私の話しを聞け。私はずーっと昔から、涙をながしていたのだ。私は世界を憂えている。私の話をきけば、君も涙を流すはずだ。なにしろ、君はアルナに似ているのだからな』 アルクはミニヨンが、涙を流しはじめているのにきずく。「ミニヨン、どうしたんだ」アルクの声はミニヨンの心まではとどかない。ミニヨンの目は石の男に釘ずけになっている。アルクはまさかとおもう。まさか、石の男がめざめたのか、そんなことはありえない。が、涙が流れているとすれば、石の男の感情が蘇ったのかもしれない。「いかん、もしかしたら、石の男がミニヨンをとらえたのかもしれない」アルクは叫んでいた。「そ、そんなバカな」ガントが汗をふきだしていた。 アルクの分心は、ミニヨンの心の中に沈みこむ。ミニヨンの心理バリアーが働いていない。人の分心が入り込む時のあの痛みに似た感覚がないのだ。アルクの分心はずぼっとミニヨンの心に入っていった。心の中はどんよりしていた。 アルクは、ミニヨンが子供のころ、心理バリアーの教育、練習のため、ミニヨンの心にはいったことがあるのだが、空色だった。その空色がこんな色に。いったいなにが。しかし、ミニヨンの中には、だれかの分心がいるのだ。「なんということだ」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 5, 2007
■イシのヒト■第5回 石の男 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第5回第2章 石の男巡礼ポレフは、トゥーンから遠くはなれたハル星系のゲルダ星から来ていた。この星にくるまで、「石の男」の所樹里に来るまで、どれくらいの金銀をためただろう。ポレフは、生まれてこの方、この星にくるためのみに金をためていたのかもしれない。星間船の乗船賃はこのころでも安くはなかった。一般庶民の手におえるものではなかった。そんな思いをしてたどり着いたこの星で、巡礼のポレフはあり得ざるものを見た。それをみつけた。「信じられない。こんなことがあってもいいのか」石の男を信仰の対象としてきたポレフにとってまさに晴天の霹靂だった。 石の男のまなじりがひかっているのだ。「見てみろ、石の男が泣いている」同時に各地の巡礼たちから驚きの声があがっていた。 祭司アルクも石の男が涙を流すのを眺めていた。アルクは今日は非番だった。 祭司のアルクは、典型的な樹里の男の顔をしていた。鼻梁は高く、ほりの深いかおだちだった。まるで哲学者の顔だった。髪は黒で、祭司にきめられた通り短く切り揃えていた。目はマリーンブルーだった。すんだ目で遠くを見ているようだった。身長180CM。やせ型だった。適度の筋肉がついていて、動きは軽やかだった。「ねえ、おとうさん、石の男はなんてかわいそうな顔をして入るの」アルクのかたわらにいたミニヨンがいった。ミニヨンはアルクの自慢の娘だった。長い金髪は豊饒を思わせ、いままさに少女から、娘に移行する女のあやうさを見る者にかんじさせる。母ドルミはしばらく前に、はやり病でなくなっていた。 父と娘は同じような白い絹のチュニックを着ていた。祭司とその家族にゆるされている服装である。『娘よ、私の悲しみがわかるのかね』ミニヨンの心底に声が響いた。 心底とは、精神の内部、心の内部をいう。「えっ、いったいあなたはだれ、私の心理バリアーを容易に破れるわけはないわ」 祭司の一族は特に心理バリアーが強固だといわれている。他人に自分の心のうちを読まれないようにしている。『私にとっては容易な事だ』 私に話し掛けてくる男はだれなのだろう。特殊な能力をもつ外惑星にいる人間か、ミニヨンは、たずねながらまわりを見渡す。「あなたは、どこにいるの」『君の目の前だ』ミニヨンはまわりをみわたすが、巡礼の人ばかりで、それらしき人はみえない。どの人も優れた能力をもつ巡礼とは見えない。「いったい、あなたは」『私は石の男だ』 驚きがミニヨンの心に走った。 「えっ、石の男ですって、信じられない」『事実、君に話し掛けているだろう。君はなんという名前なのだ』「私はミニヨンよ」ミニヨンは思わず自分の名前を答えていた。なぜなんだろう。この気持ちは。『そうか、ミニヨンよ、私の心底にこい』心底ですって、ばかなことはいわないで、何故、あなたの心底に。大体、石の男に心底なんてあるのかしら。 ここ樹里の人々は訓練すれば、他人の心底にいく事ができる。もぐりこんだ本人の心は「分心」となり、その場所、「心底」にいる。その場所で、分心は本人と同じようにものを見、言葉を発するのだ。しかし、その分心が、他人の心底にいっている間、分心の本体は何も見えず。考えずその場所にいる。この体は幽体と呼ばれる。『君はアルナににているな』「アルナって」『私の古い知り合いだ。君が私の心底にくるのがいやなら、私からいこう』「何ですって」(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 4, 2007
■イシのヒト(1989年作品)■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第4回第2章 石の男 男は石の壁で眠りについていた。いつから眠りについているのか。それはこの樹里の人々もしらなかった。男はこの石の壁にうちつけられたようにみえた。 「石の壁」はこの町樹里をとりかこんでいた。いやむしろ、樹里がこの岩場をくりぬいた中にあったといっていいだろう。樹里の人々はこの岩場を守るべく生きている人々であった。 「石の壁」は高さ20Mでこの樹里をとりかこんでいた。まるで、「石の壁」が樹里の城壁の様だった。長さは1KMもあるだろう。この「石の壁」を構成する成分は、この星のものではなかった。壁の表面には、なにやら文字の様な模様が刻み込まれていた。がこの文字はいまだ解読されていなかった。石はなめらかな肌色をしていた。 この岩場はこの星トゥーンの中心にあり、宇宙の各地から、この「石の壁」を目指して来る巡礼団がくりだされていた。トゥーン星はキルハツ星系の第3惑星である。 「石の男」は総ての人々の救いの象徴であった。石の男はこの壁のちょうど中心部の地上15Mの位置にあり、身長2M。顔ははっきりみえない。時間が、この男の顔を削り落としたかのようだった。この男の真下の地面に神殿が設けられていた。 このトゥーン星のマルツ平原では、この石の壁が巨大な存在であった。 樹里のまわり100KMには他の村落はなかった。樹里はトゥーン星でも外の世界からきりはなされたひとつの世界なのだ。トゥーン星は農耕を中心とする産業形態を持っていた。 多くの人々がこの壁を訪れたが、目的は「石の男」だった。 樹里はいわば、この男に対する宗教の霊場であった。「帰りたい、故郷に」リアノンは言った。 我が僚友リアノン。この時期の生と死をともにしてきた。リアノンは消えかかっている。リアノン、消えないでくれ。我が友。船、船が壊れる 彼の故郷への道がいかなるものであるのか、想像を絶していた。 またか。石の男は、自分が、自分の夢の中にいることはわかっていた。この夢はとてもリアルだ。 石の男のたっている周囲は、累々たる死体の山だった。この戦いで私とともに戦い、滅んで行った男たち。 聖戦。 機械神は我々に、聖砲をつかった。次々消えて行く人々。消え行く町町。機械神の軍隊の姿はみえなかった。この戦いにどんな意味があったのだろう。 石の男は総てを思い起こす。 アルナ。映像記憶が蘇ってくる。ある女性の姿が、そうだ。 石の男は涙していた。仲間の死体を星の世界に返してやりたい。あの青き空間に漂わせてやりたい。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 3, 2007
■イシのヒト(1989年作品)■第1章 詩人 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第3回青い光が満ち溢れている。亜空間だった。星の光はない。旧宇宙はなくなって久しかった。 この亜空間を漂うひとつの飛翔体があった。虚船。この飛翔体がどんな材料で出来上がっているのか誰もしらなかった。数しれぬ意識体がその船の中に詰め込まれていた。眠っていた意識体のうち、幾つかが目覚める。 そのひとつが隣の意識体に尋ねる。意識体同士がふれあっていた。『おい、そこにいるもの、いるのだろう、お前だ。すまん、教えてくれぬか、いったい私はなにものなのだ』 聞かれた相手もそれが、なにかを聞いているは理解できた。しかし、それに対してどう反応していいのか、なかなかわからなかった。いったい、しゃべるという行為を、どう自分の体で処理していいのかわからなかったのだ。やがて、話し方がわかる。その質問に答えることができた。『わからないんだ。俺には、記憶がまったくない。お前こそ、何かしらんのか』 つまりは、ふたりとも何も覚えていなかった。次々と他の意識体が目覚めていた。この虚船の中でたくさんの意識体が、いまだめざめめずにうごめいていた。一定の時間がすぎた。総ての意識体がめざめていた。彼らはそれぞれ、自分が何者であるか考え始める。 ある時、皆が、叫んでいた。『我々はどこにいくのだ。そしてだれなのだ』 いまのところ、だれもわからなかった。だれも答えようがなかった。いまのところ。 虚船のうえで時が流れた。時はこの船のうえでのみ、流れていた。多くの意識体は学習していた。自分達が何であるかを。が仲間割れがおこった。意見をことにする人々がでてきた。彼らはたがいに仲間をつくる。やがて、この船からいくつかの意識体が弾き出されていた。この破棄された者たちは、この亜空間で作業を始める。(続く)SF小説■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 2, 2007
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com■イシのヒト(1989年作品)■第1章 詩人 第2回詩人ひとりの機械神官がのべた。「お前が信じないのもむりはない。我々もいまだに、しんじられんわけだが。我々の予測機械がそれを予言したのだ。我々の滅びの時間をな」我々だと、その中には私たち人間も含まれているのか、それとも。 詩人は思わず尋ねる。「滅びの時間ですと」「そうだ、それで我々は君をこの神殿に招いたのだ」「なぜ私を、私をどうしょうというのです」「君に新世界を作る材料になってもらおうというわけだ」ひっかけて私から情報をとるつもりか、それとも私をパニックに陥れようというのか。 機械神から告げられたおもわぬ言葉に、詩人はたじろいだ。「私がキーマンですと、冗談もやすみやすみに」 が、詩人はあることにきずく。「ははっ、そうか、そういうことか、私をうまくだまして、追放刑にしょうというわけですか」「我々の論理機構は、このような非常時に冗談をいわない」機械神の言葉は、まさに機械的だった。 機械神官のひとりが、あわてていた。機械神をうながす。「神よ、我々は、その男を、はやく処理しなければなりません」「そうだな、我々にそう時間は残されていない」「処理だと」何か手術を私に施すつもりか。「手荒い処理だがゆるせよ」機械神官の一人がいった。もう一人の機械神官が何かを手にして詩人の方にちかずいてきた。「何を 」詩人の体に電撃がはしった。詩人は、機械神殿で倒れている。神殿地下にある研究室から、詩人の上に、処理機械が、飛んで来ていた。 詩人は神殿の地下に連れて行かれた。地下も機械で張り巡らされている。詩人の体はカプセルにいれられていた。「はやく、神の歌を頭に埋め込むのだ」神官がいった。「わかりました」処理機械は答える。「さて、この詩人のユニットが、いつ、どこにあらわれるかだ」神は悩む。「彼の体に種子を埋めておきますか」処理機械がいう。「時間がくれば、発芽します」「彼は、次の世界でのみずからの役割の大きさに、驚くだろう」神がつぶやく。「それこそ、神の慈悲というものでしょう」神官の一人が言った。「これが聖作機械B22です」処理機械はいった。「このように、聖作はすすんでおります。どうぞご覧下さい」 神の前に突然CRTが出現する、そのCRTに、ある種の機械がうつった。「これが」「聖砲です」「これで星々を収めるわけか。で船の移動機構は」「はい、事故にそなえてサブブレインを2つ聖作してあります」「それがいいかもしれん。このごろの移動機構はあてにならんからな」「おそれいります」処理機械がいった。 この機械神の世界で、星々が次々と消滅していた。 詩人を失った反政府組織は、この動きに観察者をおくりこんでいた。ある時、反政府組織のメンバーが一室に集まっていた。観察者が報告していた。「船が作られているらしい」「どんな船だ」「我々のみたこともないような船だ」「その目的は何だろう」「今の段階ではわからん。とてつもないプロジェクトがすすんでいるようだ」 やがて、予告通り、世界は収斂した。この世界の星々は完全に消えた。 この空間は今はない。 この世界を旧宇宙とよぶ。(続く)■イシのヒト(1989年作品)■第1章 詩人 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com
April 1, 2007
■イシのヒト■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■石の民(1989年作品)■第1章 詩人 神殿はこの世界の中心地であった。この世界は光あふるる世界であった。この世界は機械が支配し、生物は機械に従っていた。いつからこうなのか、誰もしらない。機械神が機械の支配者であり、この世界の神であり、創造者であった。彼は自ら作り上げた予測機械で、この世を支配していた。 機械神殿の予測機械はおそるべき予測を記録していた。機械神官の一人がそれを見る。「いったい、これは」晴天の霹靂だった。このデータは早急に機械神に伝えられた。「このデータはまちがいないのだな」「はい」「対策を講じなければならん。この事いっさい他言無用だ」神は絶対者であった。 神は神官に命じた。言葉巧なる者を選べ。その男を安全弁と昭。論理機構は一人の男のデータをはじきだしていた。「神様よ、この男が選ばれたのですが、この男は危険なのです」「どの様に危険なのだ」「反政府分子なのです」「が論理機構が、この世界で言葉巧みなるいものとして選んだ男なのだな」「この世界で一番巧み名のでしょう」神は少し考慮していた。 北の詩人は追いかけられていた。 北の詩人は思う。機械神の支配に対する抵抗運動についての話しあいが終わったところだった。あの仲間の中に裏切り者がいたのか。だれが、私のことを管理機構に告発したのか。詩人を始めとする悲機械人、つまり、生物は機械人の元で苛酷な支配を受けているのだった。 詩人は長い汚れたコートに深くくるまり、帽子をかぶり、コートの奥からしょぼついた目をのぞかしていた。仲間のアボオイのところに逃げ込もう、あそこなら。道をいそぐ。が、この道路はいきどまりだった。 追跡機は直径2Mくらいのシルバーメタリックの球体で飛来してくる。この追跡機Z2タイプは、その追跡物の体臭を手掛かりにおってくる生物体タイプだった。 Z2はその追跡物の匂いをつかまえていた。その獲物は恐怖に囚われているらしい。アドレナリンがにおう。生体の追跡物は必ずにおいを残す。Z2にはその恐怖の度合いが計算できていた。Z2の機械の内部に歓喜の感情がおこっていた。 追跡機は、まぎれもなく北の詩人をめざしていた。Z2は北の詩人の前に回り込み、中央部の胴体部分からデジタルアイを突出させた。デジタルアイはその追跡物を恐怖に陥らせる。「北の詩人だな」そいつは冷たい機械音でいった。「人違いじゃないですか」詩人は無駄な抵抗をしていた。せめての抵抗であった。機械人め。が追跡機Z2の方が一枚上手だった。「君が北の詩人本人であることはわかっている。管理機構に君の画像を電送し、チェックした。我々の主人のところに来てもらおう」「一体私をどこへ」「決まっているだろう。機械神のところだ」 詩人が連れて行かれたのは、機械神殿の中だ。機械神殿、この世界のすべてを支配する所。謁見の間だった。チリひとつおちていないクリーンな雰囲気と外観、この内装はまるで北の詩人がふつりあいであることを示していた。機械神が機械神官を2機つれて、詩人の前に姿をあらわした。 機械神官はヒューマノイドタイプ。背面から後光がさしている。機械神は黒いのめりとした64面体だ。高さは50mはある。その物体が浮遊していた。「詩人よ、顔を上げたまえ、神の前だが今日は特別に許そう」機械神官がいった。 この世界に住む生物体で実際の目で機械神を目の前にできるものは数少ない。詩人もテレビの映像で神の姿を目にはしていたが、実際に目の前にすると、尾ぞけがふるった。この巨大なるものと我々は戦おうとしているのか。詩人は自らの体の矮小さを感じた。ひざががくがく震えた。恐怖心が体じゅうをかけまわっていた。 機械神は突然しゃべりはじめた。「詩人よ、君におおいなる役割を与えよう。君自身、想像もしなかった大きな役割だ」機械神の声は大きく、心にうちこむくいのとうに詩人に響いた。詩人は畏怖に気を失いそうになる。「機械神、私はちいさき者、ただの吟遊詩人にすぎません。ただただ、あなたさまの前ではふるえるだけでございます。私にそんな大役がはたせましょうや」詩人はようやく、これだけの言葉をはきだしていた。自分自身でも声がかすれているのがわかった。詩人は機械神のそんな言葉に驚いていた。ねらいはどこにあるのだ。言葉の裏には何があるのだ。「詩人とやら、隠すでない。君が私達、機械神に対する反政府組織の指導者であることは調べがついている。だからこそ、私は君にある役割をはたしてもらいたいのだ」 なぜ、神が我々の事を知ったのか。管理機構は組織をどの程度まで把握しているのだ。さて、この機械神は何を私に命令しようというのだ。詩人は思う。「考えているな。詩人よ、どうすればこの窮地を脱出できるかをな。しかし詩人よ、誰もおのが運命から逃れる事はできはせぬ」機械神の体のそこここにスポット光があてられている。神秘さが、増していた。「詩人よ、おまえが自らの運命から逃れられないように、我々もまた、自らの運命から逃れることはできぬ」 次の一言が、詩人を驚かせた。「詩人よ、我々の世界は滅びる。収斂するのだ」この神は私を驚かそうとしているのか。「はて、いなことを。機械神の御言葉ともおもえませんが」詩人の心には猜疑心が芽生えている。 ひとりの機械神官がのべた。「お前が信じないのもむりはない。我々もいまだに、しんじられんわけだが。我々の予測機械がそれを予言したのだ。我々の滅びの時間をな」我々だと、その中には私たち人間も含まれているのか、それとも。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
February 1, 2007
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