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2007.09.12
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本日(12日)は出張に出ていた、昼頃、メールで安部首相辞意の報が入る。

しっかりとした (安部首相の二番煎じ、大笑)方策を立てるのが先決だろう。もっとも都市部しか見てない官僚、経済音痴の議員先生方が実態を認識しているかが問題だが。

以下は転載

かんべえの不規則発言

<9月10日>(月)

〇今日、国会前を通過したら、大きな日の丸が2本翻っていた。あれ?もう敬老の日だっけ、と思ったが、それはまだ1週間先のことである。今日は臨時国会の召集日。そうだった、そうだった。

〇APECから帰って、施政方針演説を行った安倍首相。テロ特の延長、もしくは海上自衛隊によるインド洋上の給油活動に、政治生命を賭けるという発言を行っている。「首相を辞めない」ことであれだけ頑張った割りには、結構、確率の低い賭けをするものであるな、というのが率直な印象である。このタイミングでそれを言い出すと、国民の中には「なんだ、安倍さんを辞めさせるためには、テロ特をつぶせばいいのか」的な発想をする人もいるだろうから、逆効果になり兼ねない。それでも愚直に言い出すところが、安倍さん流か。

〇多少勘ぐった見方をすると、参院選直後にはとことん頑張るぞと張り切っていた安倍さんも、最近は憑き物が落ちたというか、妙に淡白に見えて仕方がない。なんとなれば、かつて「KY」(空気読め)と呼ばれた自前の政権も、組閣後の今では実質「AY」(麻生と与謝野)が仕切っている。「官邸崩壊」後の永田町では、「党政奉還」などという言葉もチラホラ。「麻生さんにお任せ」も悪くないと思うのですが、安倍カラーのない安倍政権がこのままズルズル続いていくとなると、首相としては嫌気がさすのかもしれない。

〇ところが、安倍さんが自分であれだけ頑張り通した後では、辞めたいと思っても辞める理由が見当たらない。もちろん「朝日新聞に言われたから辞める」などということがあっては沽券にかかわる。そういう意味では、現時点で「テロ特に命を賭ける」と言っておくのは、将来の行動の自由を確保する布石になり得るかもしれない。「首相は自分で辞めると言い出さない限り、辞める必要がない」というのは、まことにその通りなのですが、「いざ辞めると言い出すときには、本人が満足できるような理由が必要」なのです。

〇もちろんテロ特は延長が望ましい。ただし、何が何でも引いちゃいけないかといえば、海上自衛隊は幸いなことに船であるから、そこは一定の自由度がある。「国内政治事情に基づいて、いったんインド洋から引き上げますけど、半年後にまた出直してきますからゴメンネ」と言えばいい。(これが陸上自衛隊であると、そうはいかない)。そもそもインド洋での活動において、最初からずっと頑張り通している国はアメリカと日本程度であると聞く。ほかの国は、結構、手抜きをしているのだ。そもそもこれは同盟関係ではなく、Coalition of the Willingでやっている活動であるから、日本が「藤川の10連投」みたいに思いつめることもないのである。

〇あらためて考えてみると、テロ特延長以上に望ましいのは、恒久法を通して堂々と活動を継続することである。簡単な補助線を引いてみるならば、(1)日本は中東にエネルギーを依存しており、この地域は死活的に重要である。(2)ゆえに従来のテロ特、イラク特を包括するような範囲で域内の安定化に貢献する。(3)そこでは国会の事前承認や出口戦略の明記など、野党の言い分を取り入れる。(4)自衛隊の負担が過重にならないような配慮も入れる、という枠組みで考えてはどうか。野党が反対することは、結構、難しいと思いますぞ。

〇にもかかわらず、「国連の御墨付きがないとダメだ」と言ってくる人は、何が何でも政権をつぶそうとするテロリストみたいなものである。ああ、そうか、だからテロ特措法というのか、というギャグは、実はさる人の受け売りなのだけれど、小沢さん対策は難しいだろうなあ。


<9月12日>(水)

〇いかなる偶然か今日のお昼、冨山和彦氏の『指一本の執念が勝負を決める』(ファーストプレス)を開き、P22のところで眼が止った。持っていたラインマーカーで、そこだけ線を引いた。

「・・・・・だから、本当の意味でのストレス耐性がすごく弱くなってしまった。それが、リーダーの最も重要な資質であるにも関わらずです。」

リーダーにとって、最も重要な資質はストレス耐性 。はからずもその直後に、実例を示すニュースが飛び込んできた。

〇はっきり言って、こんな異常なタイミングで辞めるというからには、政策がどうだとか、スキャンダルが出るらしいとか、家庭内がどうのこうのといったことが理由なのではないのでしょう。参院選の大敗後も、安倍さんの続投への意欲は失われなかった。外遊から組閣までの間もファイティングポーズをとっていたし、意気軒昂としているように見えた。ところが遠藤農相のスキャンダルが噴出し、素早く更迭が決まったあたりから、心ここにあらずといった姿をテレビなどで見かけるようになった。あー、朝青龍みたいだなあ、という感じがした。

〇要するに心身症というか、プチうつというか、安倍さんがストレスに負けてしまったように見えた。それにしても、なぜタイミングが今日の午前だったのか。おそらく安倍さんは、今日の午後が来るのが嫌だったのではないか。それでは今日の午後に何が予定されていたかというと、「代表質問」であった。「施政方針演説」をやったのだから、代表質問は受けるのが当たり前である。が、安倍さんはそれを1日延ばしにし、今日もとうとうできなかった。そして質問をする相手は、与党幹事長である麻生太郎さんだった。

〇麻生さんは、安倍さんのよき相談相手だった。今からほぼ1年前の2006年9月17日、サンデープロジェクトで行われた自民党総裁選の3候補対決において、田原さんが歴史問題で執拗に安倍さんを追及する間に、麻生さんは何度も助け舟を出していた。この二人、考え方が似ているし、麻生さんは無条件で安倍さんが好きなみたいだし、安倍さんは麻生さんを頼りにしているように見えた。その後、安倍さんが「麻生幹事長」を模索したと聞いて、やっぱりね、という気がしたものだ。

〇その後も麻生さんの献身は続く。要所で官邸を訪れていた、という話は、今月の文芸春秋で「赤坂太郎」が書いている。(あれだけ麻生さんのことに詳しいというからには、やはり正体は歳川隆雄さんでありますな?) そして参院選当日には、「どんなに負けても、あなたは辞めなくていい」と進言した。森-青木-中川の思惑よりも、そっちの方が優先されて安倍続投の流れができた。仄聞するところによれば、「自分はベテランだからヒネている。変化球投手だ。ところが安倍さんは直球しか投げられない。それが魅力なのだ」と麻生さんは語っていたという。

〇そして改造内閣で幹事長ポストを射止めてからは、麻生さんは「ポスト安倍」を目指す布石を着々と打っていった。みずからが小派閥を率いる身であるから、総務会長は同じ小派閥の領袖、政調会長は無派閥という三役体制を組んだ。計算のできる与謝野さんを官房長官に推薦し、主要な派閥の長を閣内に閉じ込め、当面の敵となりそうな谷垣派はとことん人事で干し、さらには半分身内の鳩山邦夫を法務大臣に送り込むなど、安倍改造内閣はほとんど「プレ麻生政権」という顔ぶれとなった。トップを目指す政治家なんだから、これは責められるような話ではない。

〇ところが一昨日の不規則発言でも書いた通り、これが「AY内閣」(麻生-与謝野内閣)となり、「党政奉還」となってくると、安倍さんは内心穏やかでいられなくなったようだ。しかもプレ麻生内閣はすごい切れ味を発揮する。抜く手も見せずに遠藤農相をぶった切ったのが手始め。今までの安倍政権には、こういうダメージコントロールができなかった。閣僚に温情をかけては、仇になってきた。要は「任命責任」ではなく、「免職責任」が果たせなかった。ところがAYラインは「見切り千両」ができる。これで政権は一気に安定度が増した。

〇さらにAYラインは、政策でも鋭いところを見せる。懸案の「テロ特」について、「新法」構想を打ち出したのがそれだ。「国会の事後承認は不要」(町村外相)という点がミソでありまして、これを10月中旬に衆院で強行採決し、参院に送る。参院はこれを否決することなく、法案放置に処す。そこでテロ特は11月1日の期限切れを迎えるのですが、その直前に国会の会期を12月下旬まで延長すればいい。そうすれば憲法59条の「60日ルール」がキッチリ間に合うので、衆院で再可決が成立するのである。民主党が何を叫ぼうが、「事後承認は不要」なんだから手の打ちようがない。困るのはインド洋上のガソリンスタンド活動が中断することだが、そこは「音楽でもワンテンポ休んでまた音楽が続くということもあるので、それでも一曲だということです」(与謝野官房長官)。

〇AYラインが見せた、もうひとつ鋭い一手は平沼赳夫議員の復党である。これは別に改革の逆行でも何でもなくて、単に国民新党の足を止めるためであると見る。平沼さんが復党できるのなら、綿貫さんや亀井さんだって不思議はないよね。ということで、国民新党は民主党との統一会派を断る。実は民主党は参院の過半数を制したわけではなく、過半数の122議席にちょっと足りない115議席なのである。社民党5議席と国民新党4議席を足して、やっと過半数。で、国民新党の協力が得られないとなれば、共産党の7議席を借りなければならない。つまり左に引っ張られなければならなくなる。この差は大きい。

〇こんな風に、AYラインによるプロの技を見せ付けられ、内閣支持率がそこそこの線で動き始めたところを見て、安倍さんはすっかり落ち込んでしまったんじゃないだろうか。 少なくともこれは、「私の内閣」ではない。 私の意向はどこにも反映されていないではないか。「麻生に騙された」・・・・・安倍さんはそんな風に思ってしまったんじゃないだろうか。あまりにも性格が直球過ぎたために・・・・。

〇こんな風に考えていくと、今日の唐突な辞意表明の辻褄が合ってくる。まあ、当たっているかどうかは分かりません。しかしほんの1ヶ月前までは既定の路線だった「安倍続投→麻生へ禅譲」という路線は一気に危うくなった。だって麻生さんは、安倍続投をそそのかした張本人であるし、それがなければ7月30日から9月11日までの無駄な時間は省けたはずなのだ。

〇かといって、次の衆議院選挙までどんなに長くても2年未満、ひょっとすると年内にもやって来るかもしれないというこの時期に、「この人を先頭に立たせれば選挙を戦える」という人材が、党内にはほかに見当たらない。谷垣?福田?額賀?与謝野?・・・・まさか。まだしも河野太郎の方が面白いくらいである。来週の総裁選は、まったく見当がつかない戦いといえましょう。

〇それでは、この件が日本経済や外交にどういう意味を持つか・・・というのは疲れたから明日に延ばしますが、あとひとつだけ。昨年暮れのサンプロ忘年会の席上で、薬師寺「論座」編集長がこんなことを言っていたんです。

「政治記者のドタ勘で申し上げますが、2007年は永田町大荒れの1年になるでしょう」

〇畏れ入りましたああああ、と申し上げておきます。






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Last updated  2007.09.13 23:22:21


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