ザ・ブランド

ブランド

ザ・ブランド 世紀を越えた起業家たちのブランド戦略
ナンシー・ケーン 著



感想:
ビジネス書としては、ボリュームのある500ページを超える本書だが、非常に読みやすく、その厚さに臆することはない。実際、私などはその面白さに3日で読み終えてしまったくらいだ。
内容としては、18世紀のウェッジウッド(陶磁器)、19世紀のヘンリー・ハインツ(加工食品)とマーシャル・フィールド(百貨店)、そして、20世紀のエスティ・ローダー(化粧品)、ハワード・シュルツ(スターバックス)、そしてマイケル・デル(デルコンピュータ)といった6人の起業家たちと彼らが起こした企業、ブランドを、歴史的に振り返りながら、変化する時代の中で、起業家がいかにチャンスをつかみ、つかんだチャンスを持続しようとしたかに着目している。彼ら6人に共通するのは、経済的、社会的変化が顧客のニーズにどんな意味をもつかを本能的にとらえ、常に顧客に目を向け、顧客に耳を傾けることで、彼らが期待する以上の商品、サービスを提供するブランドを築き上げ、それを維持する組織をつくりあげたことだ。時代背景が変わっても、成功する起業家は、需要サイドに目を向け、顧客との相互コミュニケーション、相互学習によって成功を勝ち得ている。
18世紀のウェッジウッドが、自社の製品を買ってもらいやすくするために、マーケティングな視点で、ターゲットセグメントを行ない、クチコミを誘発したり、それまで存在しなかったショールームをつくったりしたなどの話は非常に興味深かった。ずっと昔にドラッカーがマネジメントの概念を発見したことを今まで先見的だと感じていたが、実際の歴史の中では、それをマネジメント、マーケティングだとも意識することなく、実行していた起業家たちが存在していたのだ。このことは大いに驚きであると同時に、それを可能にした「顧客志向」のビジネスにおける可能性を再認識させてもらった本だ。文句なしにいい本です!


点数:
おすすめ度   ★★★★★
わかりやすさ  ★★★★★
役立ち度    ★★★★★



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