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2026年06月03日
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テーマ: 時短生活(83)
カテゴリ: 時短

「料理は愛情だから時間をかけるべきだ」と言い張った僕が、妻にキッチン家電を買ってあげるまでの情けない話


娘たちがまだ小学生だった頃のことです。


妻が「電気圧力鍋がほしい」と言い出しました。


当時の僕の返答は、今思い返すと本当に情けないものでした。


「料理は時間をかけて作るから美味しいんじゃないか。機械に任せたら愛情がなくなる気がする」


妻はその言葉を聞いて、何も言いませんでした。ただ静かに「そうね」と言って、話題を変えました。


その表情を、僕は今でも覚えています。


諦めた顔でした。


■ 妻が毎晩台所に立っていた、本当の意味


その頃の妻は、仕事から帰宅後すぐに夕食の準備を始めていました。


18時に帰って、19時には夕食を出す。その1時間で、主菜・副菜・味噌汁を作っていました。


僕はソファでくつろぎながら、台所から聞こえる包丁の音と換気扇の音を「当たり前の音」として聞いていました。


ある夜、長女が台所に立つ妻に「ママ、今日学校でね——」と話しかけました。


妻は「うん、うん」と相槌を打ちながらも、手を止めることができませんでした。鍋をかき混ぜながら、野菜を切りながら、長女の話を「ながら聞き」していました。


長女はしばらく話していましたが、やがて「……まあいいや」と言ってリビングに戻っていきました。


その背中を見たとき、僕は初めて気がつきました。


妻が台所に立っている1時間は、娘の話を「ちゃんと聞けない」1時間でもあったのだと。


■ 翌週末、僕は家電量販店に行った


その日の夜、僕は妻に言いました。


「電気圧力鍋、一緒に見に行こう」


妻は一瞬きょとんとした顔をして、それから少し笑いました。


「急にどうしたの?」と聞かれて、正直に言いました。「長女がまあいいやって言って戻っていったのを見て、これはまずいと思った」と。


妻はしばらく黙っていましたが、「ありがとう」と言いました。その声が少し潤んでいたのを、僕は気づかないふりをしました。


■ 電気圧力鍋が変えた、夕食の風景


電気圧力鍋を使い始めて、最初に変わったのは夕食準備の時間でした。


以前は1時間かかっていた準備が、40分ほどになりました。材料を切ってセットすれば、あとは鍋が仕上げてくれる。その20分が、妻にとっての「台所から出られる時間」になりました。


その20分で、妻は娘たちの話を聞けるようになりました。


「ママ、今日学校でね——」という言葉に、手を止めて「どうしたの?」と返せるようになりました。娘たちの「まあいいや」が、少しずつ減っていきました。


■ その後、我が家に増えたキッチン家電


電気圧力鍋の効果を実感してから、僕は家電への考え方が変わりました。


「機械に任せると愛情がなくなる」という思い込みが、いかに的外れだったかを思い知りました。


愛情は、料理にかける時間の長さではなく、家族と向き合う時間の豊かさに宿るものだったのです。


その後、我が家には食洗機が加わりました。夕食後の片付けを食洗機に任せることで、食後に家族全員でテーブルを囲む時間が生まれました。


ホームベーカリーも買いました。週末の朝、焼きたてのパンの香りで娘たちが起きてくる朝が、我が家の定番になりました。それは妻が早起きして作るのではなく、前夜にセットしておくだけで実現する朝の幸せです。


■ 今の僕が、あの頃の自分に言いたいこと


「料理は愛情だから時間をかけるべきだ」と言い張っていたあの頃の自分に、今の僕が言えることは一つです。


「その時間をかけているのは、お前じゃなくて妻だ」


自分が手を動かしていないのに「愛情のある料理」を語っていた。その矛盾に気づくのに、長女の「まあいいや」という言葉が必要でした。


キッチン家電は、手を抜くための道具ではありません。家族が向き合う時間を作るための道具です。


妻の台所仕事が少し軽くなった分だけ、娘たちとの会話が増えました。その会話の積み重ねが、今の娘たちを作ってくれたと、僕は思っています。


あの夜、長女の背中を見てよかった。そして翌週、家電量販店に行ってよかった。


本当に、よかったと思っています。





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最終更新日  2026年06月03日 21時17分50秒
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