北の浪漫人

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真面目であることは「免罪符」でない


違和感だらけの自治体異邦人日記(58) (14)
[ 自治体異邦人日記 ]
●真面目であることは「免罪符」でない

ある職場であったことを聞いた話です。

その職場では今春、職員の異動があり、「究極の怠け者職員」から「究極の頓珍漢職員」に交代したことは、以前お話しました。恥ずべきことに、今の地方公務員制度では、怠け者であっても、頓珍漢であっても、クビにはなりません。きわめて身分が手厚く保証されているのです。途中でクビになるとすれば、禁固刑以上の犯罪を犯し、自動的に失職するぐらいなのです。本人たちにとっては「パラダイス」そのものですが、同僚や上司、そして市民の方々にとっては、たまったものではありません。高いコスとをかけてまともな仕事もできず、むしろ足を引っ張ることが多々あり、事実上「マイナス配置」になることが多いのです。

先日、「マイナス配置」を証明する事件が起きたそうです。その職場では、外部の有識者にコメントをもらい、そのことをまとめて冊子にする業務があるそうです。有識者とその職場のコメントのやり取りは、主としてEメールで行われるそうです。頓珍漢職員(以下、Aと呼ぶ)は、ある有識者からいつまでたってもコメントが寄せられないことを嘆いていました。それで前任者の怠け者職員(以下、Bと呼ぶ)に連絡をしたところ、「担当者が代わったことを先方に伝えたのか」と切り返され、「伝えていない」と答えると、まるで他人事のように、「相手のほうが困っているのではないか」と電話を切られたようです。B→Aへのまともな引継ぎはほとんどなく、普段の仕事もほとんど別の職員に聞いていたAは、困り果てて同僚に相談をしました。同僚はたまたまその有識者のことを知っていたので、連絡方法を伝授しました。ここまでは完全に怠け者Bの責任です。

さて、有識者の組織に連絡し、電話をしてもらうよう伝言をし、実際に電話をもらったそうです。その際、有識者は「既に前任者であるBのメールアドレスに送ったので、AとBでちゃんと引き継いでコメントを受け取ってほしい」と答えました。それに対して頓珍漢Aは、あくまでもBに引継ぎを行ってもらう自信がないため、この有識者に再送してもらうよう食い下がりました。また、「量はどの程度か」など聞いても意味のないような質問を連発し、分きざみで多忙な有識者を完全に怒らせてしまいました。内部の引継ぎの悪さを外部に転嫁しようとし、さらに相手の立場も考えず、つまらない質問を連発する。怒らせたことは完全にAの責任です。

また、別の大変多忙な有識者には、かなり「サバ」をよんでいるコメント締切日を厳守するよう、再三にわたって催促の電話をし、その有識者が徹夜でコメントを書き上げ送ってもらうこととなりました。ただ問題だったのは、せっかく大変な無理をして締め切りに間に合うようにコメントを送ってきてくれたのに、頓珍漢Aは返信のお礼を一切しなかったのです。その非礼に相手が大変怒り、本人と上司が一緒に謝りに行くという事態に発展しました。

両者ともAに対して大変怒っているのですが、未だに「何故自分が悪いのか」がさっぱり分かっていないようです。Aは大変な「お坊ちゃ育ち」で、自分は何かしてもらうという立場に常にあり「感謝の気持ち」を持ちにくいことと、自分のことを悪く思えない性格で、いつも「相手が悪い」と思ってしまうようです。

自分が怒られることは「自己責任」ですが、組織で仕事をする場合、そのような無責任で自己中心的な態度をとられると、周囲に迷惑がかかります。現に、その問題で上司は組織から監督不行き届きと睨まれ、さらに双方の有識者と知人であった同僚も、一緒に謝罪したり、なだめたりする仕事が増えてしまいます。大変不愉快だったそうです。

こうした「事件」を聞くにつけ、Aのように勤務態度は真面目であるけれども、頓珍漢で周囲に迷惑をかける職員が、そのまま放置されることに強い違和感を感じます。その職員も40代です。これまで豊富なキャリアがあるはずなのに、基本的な業務もできず大切なビジネスパートナーを怒らせてしまうという失態を繰り返す様子を見ていると、「民間企業であればクビだろうな!」と強く感じてしまいます。今の地方公務員制度でも、能力の低い職員を給料を下げたり、免職にしたりする制度があるのですが、現在はほとんど運用されていないため、クビになったり給料が下がる職員はほとんどいません。
でも、公務員であっても、身分で給料をもらうのではなく、あくまでも職務に応じて給料をもらうのであれば、今回のようなつまらないミスを犯しても何らペナルティがなく、むしろ周囲の方が迷惑を被るということにフォローの制度が全くないのです。ようやく鳥取県が「レッドカード」方式により、2年連続勤務評定が最低の場合、自主退職させるという制度を運用し始めたところですが、他の自治体ではそのような温情的な対策も取れていません。

一見、真面目であることは、プロとして仕事をしている者として、全く「免罪符」とは成りえません。(当然Bのような怠け者も許されません。)
このような職員が在籍し続けることに対し、強く違和感を感じるとともに、一刻も早く、無用な身分保障ははずすべきだと思っています。

最終更新日時 2005年5月29日 21時35分25秒
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