音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017年08月17日
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テーマ: Jazz(1977)
カテゴリ: ジャズ
忘れ去られた奏者のベツレヘム盤


 ハル・マクーシック(Hal McKusick,ハル・マクシックまたはハル・マキュージックと表記される)は、1924年マサチューセッツ州生まれのアルトサックス、クラリネット、フルート奏者。2012年に87才で亡くなっている。1940年代から活動し、50年代にはジョージ・ラッセル、ビル・エヴァンス、リー・コニッツ、ジョン・コルトレーンなどと共演している。けれども、生涯を第一線の奏者として過ごしたわけではなく、彼のリーダー作は50年代後半の一時期に限られる。聴き手からすれば、“あっという間に消えた幻の奏者”かもしれないが、本人にとってはもっと多様な人生を楽しんだ結果だったのかもしれない。

 今回の盤は彼がベツレヘムに残した吹込みによるもの。『イースト・コースト・ジャズ・シリーズ・8』というタイトルがついているものの、彼の演奏は、“東海岸(イースト・コースト)”と“西海岸(ウェスト・コースト)”という分け型では何ともつかみがたい部分がある。言うならば、本盤は、西の白人系クールジャズのイメージを東に持ってきて演奏したという感じだろうか。

 彼の代表盤としてよく名の挙がる 『トリプル・エクスポージャー』 (1957年録音)は既にこのブログで取り上げているが、そちらとは違って、本盤ではギター(ガリー・バルブレイス)の存在感が大きい。このギタリストは、1955~56年当時、マクーシックと行動を共にしカルテット演奏をしていた。マクーシックによれば、ジェリー・マリガンがトランペットと絡み合う演奏( こちらの過去記事 を参照)を聴いて、それを自身の演奏とギターの組み合わせに置き換えたらどうなるだろうか、と考えていたとのこと。なるほど、ピアノレスのカルテットで、このアルトサックスの演奏の雰囲気(さらには、上から撮影したアングルのジャケット写真)も合点がいくだろう。

 筆者のお気に入りの演奏を少し挙げておきたい。サックスに力点を置いて選ぶと、一押しは7.「バイ・イアン」。ギターのソロや掛け合いもあるけれど、哀愁いっぱいのこのアルトが何とも言えない美しさと抒情性を醸し出す。同じような観点からは、2.「恋の味をご存知ないのね(ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ)」、5.「マイナー・マターズ」など、聴き逃せない曲が並ぶ。同時に、ギターの存在感という観点から気に入っているのは、6.「ブルー・フー」や8.「ホワッツ・ニュー」といったところ。“マリガンの東海岸的展開”とも言える本盤は、二番煎じではなく、サックス(およびクラリネット)とギターに置き換わったことで、その事情が分かると実に楽しめる盤ということになるのではないかという気がしている。


[収録曲]

1. Taylor Made
2. You Don't Know What Love Is
3. They Can't Take That Away from Me
4. Lullaby for Leslie
5. Minor Matters
6. Blue-Who
7. By-Ian
8. What's New
9. Interwoven
10. Give 'Em Hal


[パーソネル、録音]
Hal McKusick (as,cl), Barry Galbraith (g), Osie Johnson (ds), Milt Hinton (b)
1955年2月17日 録音。




 ​
イースト・コースト・ジャズ・シリーズ NO.8 [ ハル・マキュージック ]




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Last updated  2017年08月17日 12時32分08秒
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