音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2024年05月01日
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テーマ: 洋楽(3407)
カントリーに傾倒したコステロ盤 


 デビュー以来、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は年に1枚のペースでアルバムを発表していったが、1981年は年頭に 『トラスト』 を発表し、さらに秋になってもう1枚、この『オールモスト・ブルー(Almost Blue)』というアルバムを発表した。コステロ自身としては通算6枚目、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)名義としては5枚目のオリジナル作となった。

 表題の“オールモスト・ブルー(ほぼブルー)”というのを耳にすれば、なんだかブルージーな演奏を想像する人が多いかもしれない。けれども実際に聴いてみればすぐさまわかるように、見事なまでのカントリー曲集である。事のいきさつはと言うと、コステロ自身によれば、メランコリーを主題とした様々な曲からなるアルバムを作ろうと考え、このタイトルにしたのだという。ところが実際にアルバムを制作する段になると、カントリーに魅かれていってこのような内容の作品になったのだという。

 そのようなわけで、デビュー当時の作風とはかなり雰囲気の異なる楽曲・演奏が繰り広げられている。実際、当初のLPジャケには“警告:このアルバムにはカントリー&ウエスタンが含まれており、了見の狭い人はラディカルな反応を起こすかもしれません”と記されたシールが貼られていたという。確かに、ニュー・ウェーヴや“怒れる若者”を求めるファンは面食らうことになるが、コステロのキャリア、作風の幅を考えたとき、このアルバムはきっと大きな意味を持つものだったんじゃないかと思う。さらに、後世の作品も聴いてから再びこの盤に戻った筆者は、最初に聴いた印象よりもはるかにすんなりとこれらの楽曲を楽しめた。

 本盤からは都合3曲がシングル・リリースされた。本盤全体を通して見られるコステロの歌心が存分に発揮された7.「グッド・イヤー・フォー・ザ・ローゼズ」は、英チャートで6位(さらにアイルランドでは5位)となった。残る2曲のシングルは、2.「スウィート・ドリームス」、4.「アイム・ユア・トイ」だった。

 なお、蛇足ながら、1994年のリイシュー時には、元の収録曲数がほぼ倍増するほどのボーナス・トラックが加えられた。アバディーンでのライヴ、アウトテイク曲、さらにはシングル発売されたロイヤル・アルバート・ホールでの4. (これがなかなかの名バラードだったりする)のライヴ・テイク、あわせて11曲が追加収録されている。


[収録曲]

1. Why Don't You Love Me (Like You Used to Do)?
2. Sweet Dreams
3. Success
4. I'm Your Toy
5. Tonight the Bottle Let Me Down
6. Brown to Blue
7. Good Year for the Roses
8. Sittin' and Thinkin
9. Colour of the Blues
10. Too Far Gone
11. Honey Hush
12. How Much I Lied

1981年リリース。




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Last updated  2024年05月01日 05時31分46秒
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