Serendipity

2005-2006

2005年12月16日 『一歩ずつが大切』


最近とてもブルーでした。
理由は、この季節のせいです・・・今って、受験シーズンなんですよね。

いろいろあって、現在塾で講師をしているわたしですが、講師を始めてまだ数ヶ月で、受験シーズンを迎えるのは初めてなんですね~^^;

今教えている塾は個別指導の塾で、いろいろな志望を持っている生徒さんがいますが、最近特に私の頭を悩ませていたのが、とても優秀な中3生のI君でした。

成績は学校でもトップクラスで、学校外の模試では何度も成績優秀者に名前を連ねてきた生徒さんです。

ところがI君は、受験を予定している私立高校の過去問が解けないのです。なにが困ったかというと、長文問題がまったくできない・・・読めないのです。

まあ、問題はその高校の入試問題の内容にもある気がします。
中学生の教科書レベルは通り越し、「コレ、大学受験の問題でもいいのでは^^;?」というレベルの問題なんですね・・・^^;

実際、最近高校3年生に解いてもらった某大学の過去問の方が簡単だと思いました。

というわけで、中学校の教科書レベルでは超優等生でここまで来たI君が、入試問題を前に、ペンを持ったままピクリとも動かさず固まっている姿に、わたしはかなり焦りを感じました。

この1・2週間わたしなりに考えた結果、今日の授業では、結局、内容理解を目標に、じっくり一緒に長文を読むことにしました。

1文読み進むたびに、知らない単語が2・3個ある状況。
中3生用とは思えない長さの英文・・・。
長文問題が、ひたすら長くて険しい山に思えましたが、一歩ずつ一歩ずつ、読み進めました。

でもさすがに優秀なI君。
単語を教え、主語の部分を指示すると、内容を理解して、とてもきれいな日本語に訳すことができていました。(ただ、関係代名詞がイマイチ・・・)

今からどこまで力をつけられるか・・・そう思うと不安な気持ちも大きいのですが、I君の持つ力を信じて、指導していきたいと思います。

何事も、まずは絶対にできるってことを信じて、一歩ずつ一歩ずつ歩んでいくことが大切なはずですよね!







2005年12月20日 『輝ける15歳』


いきなり英語と関係のない話ですが、女子フィギュアスケートの浅田真央ちゃん、すごいですねえ。氷上を軽やかに舞う姿がとても印象的で、軽やかで正確な身のこなしは、素人目にもすばらしい!です。

ところで、真央ちゃんは今15歳とのこと。
わたしが塾で教えている生徒さんの多くも、15歳です。
来月から本格的に入試が始まります。
今までのんびりモードだった生徒さんも、だんだん真剣味が増してきました。

それにしても、15歳のみんなを見ていると、うらやましくなることがあります。彼らの前に広がっている可能性が、うらやましくなるときが。

もちろん、ねたみとかではないんですよ。そうではなくて、なんだかいいなぁ・・・って思うんです^^。
わたしからはとうに過ぎ去ってしまった時を、これから経験することができることが、いいなぁ・・・って思う感じ、でしょうか。

さて、昨夜、塾の帰りに自転車をこいでいました。
寒くて寒くて、はやく家に着きたいよ~、と思ったそのとき。
ふと空を見上げると・・・星が輝いていました。オリオン座がきれいに見えました。

そのとき、ふと思い出しました。
自分が15歳の頃のことを。

15歳の頃、わたしは初めて海外へ行きました。
イギリスで2週間、ホームステイをさせていただきました。

あの頃のわたしは消極的で、英語もぜんぜん使いこなせなくて、それでもホストファミリーはとても親切に根気強くわたしに接してくれました。

ホームステイ中のある日のことでした。
どういうわけか、夜にホストマザーと星を見上げながら語り合ったのです。

"What do you want to be in the future?"

と、聞かれました。

わたしがそのとき答えた職業は・・・今やっていることとはまったく違うものでしたが、でも、今目指しているものと、少しだけ接点がありました。

15歳の頃に考えていたこと・・・その延長線上にいる今の自分。
そういうことを思ったら、なんだかすごく「頑張るぞ!」って、思いました。

わたしの周りにいる生徒さんたちも、頑張って自分の夢をつかんでほしいな。なんといっても、彼らは可能性をたくさん秘めている、いわば《輝ける15歳》なんですから、ね^^







2005年12月28日 『年末のひとコマ』


わたしが講師をしている学習塾では、現在は冬期講習の最中です。

今受け持っている生徒さんは中3生が多いのですが、受験前だというのに生徒さんによっては宿題はやってこないし、もうどうなってるんだ?!という感じです^^;

ある生徒さんの言い訳がスゴかったです。

「家で大掃除をして、宿題をやったノートを捨ててしまいました。」

・・・捨てたって・・・オイ ^^;

これまでにも様々な言い訳を耳にしてきましたが、この言い訳は、今のところナンバーワンです。

その一方で、とてもまじめな生徒さんもいます。

冬期講習に入ってから毎日担当しているN君は、口を開けばすごいタメ口をききます。さらに、間違えを認めたがらず、バツをつけると文句がすごくて、大変^^;でも、目指している高校に入るためにとても頑張っています。

N君のもうひとつの特徴は、英作文の問題にものすごく凝るところ。やたら難しい表現をしようとします。入試は最終的には受かることが目的なので、英作文は、文法も単語もシンプルで簡単な表現を選んでほしいのですが・・・。

ともかく、今日の作文は、「あなたが大事にしているもの」と「将来の夢」を書きなさいというもの。ここで彼が書いていた内容が、すごく良かったのです。

「僕は、家族を大事にしています。
家族は、僕が問題を抱えているとき助けてくれます。」

「僕は教師になりたいです。
なぜなら、教師は生徒に夢を与えられるからです。」

そういう内容でした。

中3で、生意気で、口を開けばタメ口をきくN君。
でもその内面はとてもまじめなんだなあと思いました。

そしてこれからも、そんな気持ちを忘れないで歩んでいってほしいなあ・・・と、なんだかそう思った年末のひとコマでした。







2006年01月20日 『がんばれ受験生』


今日はショックな出来事がありました。

塾の生徒さんのひとりが、志望していた高校からの不合格の知らせを持ってきました。

その生徒さんは、県の模試で成績優秀者に名前が載るほど成績の良い生徒さんです。ある私立の難関校に推薦入試を試みていたそうですが、面接には至らず、書類選考で落とされてしまったそうです。・・・厳しい。

やっぱり自分が接してきた生徒さんの第一志望校不合格の知らせは、かなりショックでした。塾長さんからその知らせを聞いて、わたしは動揺してしまいました。

なんて声をかけたらいいのだろうか、それとも、むしろそのことには触れないほうがいいのだろうか・・・。

実はわたし自身も、高校受験では悔しい経験をしていました。
公立中学校に通っていたわたしは、学校から推薦をいただき、とある公立高校の推薦入試を受けることができました。

みんなが期待していた合格の知らせ・・・でも結果は、あえなく不合格。
その後、あきらめずに一般入試で再チャレンジするも・・・不合格。
周囲も私も必ず入れると思っていた高校に2度も惨敗し、涙したものでした。

非常に自分勝手な解釈ですが、今日はその生徒さんの姿が、昔の自分と重なりました。

とはいうものの、生徒さんは男の子だし、彼のプライドも傷つけたくないし、ずっとそのことには触れずに授業を進めました。でも、授業の終わりに、やっぱり黙っていられなくて、言いました。

「わたしが高校入試を受けたのは、もうずいぶん昔のことなんだけどね・・・」

・・・と言うと、そこでウケて笑う生徒。(オイ、そこ笑うとこじゃないぞ^^;)

「そのときわたしも推薦をもらってね、志望校に推薦で入れると思ったんだけど、不合格でね。
それからいろいろ大変だったけど、でも最後は希望の高校に入れたから。
だから○○くんも頑張って!」

生徒さんは、ハイ、と応えてくれました。

・・・もっとモチベーションのあがるような言葉はなかったものでしょうか。
でも、頭の回転の遅いわたしにはこんな言葉が精一杯でした。

それに、本当はわたしは希望の高校には入れなかったのだから、かけた言葉のうしろ半分はウソなのですが。

けれでも、まだ彼の入試は始まったばかりだから、あきらめたりへこたれたりせずに、最後まで頑張りとおしてほしいから、希望を捨てないでほしいから。

この週末から本格的に入試が始まります。
生徒さんたちが自分の夢をつかめるように、応援していきたいと思います。







2006年02月20日 『いとしの生徒たち』


現在わたしは学習塾で英語を教えていますが、そこで担当している生徒さんの多くは中学生です。今日は塾で教えている何人かの生徒さんについて書きたいと思います。

1)ロッタちゃん

中学2年生のロッタちゃんは、とても真面目な女の子です。
わたしは彼女をロッタちゃんと呼んでいるのですが、その理由は、彼女の一心不乱な感じが映画『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』・『ロッタちゃんはじめてのおつかい』の主人公・ロッタちゃんを思わせるものがあるためです。

ロッタちゃんは真面目です。毎回宿題をきちんとやってきてくれます。そのとき必ず、ノートの最初にページ数をやたらデカイ字で書いてきてくれます。豪快です。

ロッタちゃんは英語があまり得意ではありません。
例えば、ロッタちゃんは現在比較と最上級を勉強中なのですが、goodの比較級と最上級であるbetterとbestを例文を使って教えた直後に、練習問題を解いてもらいました。すると、ためらいなく全部goodと答えてくれました。

比較のヒントとなるthanがあっても、最上級のヒントとなるtheがあっても、ひたすらgoodと解答したロッタちゃん。わたしは大好きです。

頑張れロッタちゃん。


2)サンウ君

中学3年生のサンウ君は、英語が大嫌いな男の子です。
彼をサンウ君と呼ぶ理由は、顔がどことなく韓国スターのクォン・サンウに似ているからです。クォン・サンウを色黒にして幼くした感じです。

サンウ君は、字は汚いし、すぐ寝るし、宿題はやってこないし、講師側としては大変です。

しかし、野生の勘というのでしょうか、勘がいいのです。
というか、勘で問題を解いています。だから、勘が冴えていればいいのですが、勘が冴えていない日のサンウ君は大変です。

サンウ君といえば、必ず発音を間違える単語があります。
彼は、meanという単語を必ず、「ミャーン」と読むのです。
繰り返し、繰り返し、「ミーン」と訂正し、思いました・・・君はネコか、それともおみゃーさんは名古屋出身か。

けれども、そんなサンウ君がなんと、ある時meanを「ミーン」と読んでくれたではないですか!!あの時は本当にうれしかったです。
「サンウ、いつの間にこんなに成長したんだい(涙)・・・?」ってかんじでしょうか^^。


3)ハリネズミ君

ハリネズミ君は中3生。髪型がツンツンしているのでハリネズミっぽいです。

ハリネズミ君はいつもジャージィで塾にやって来ます。
ジャージといえば聞こえはよい(のか?)のですが、どちらかというとパジャマのようなジャージィです。というか、あれはパジャマだと思います。

ハリネズミ君もやっぱり英語は苦手です。
ちょっと目を離すとこっそり解答を見ながら問題を解いたりしているので要注意です。解答をこっそり見ているときのハリネズミ君はどことなくビクビクしています。

ハリネズミ君は、宿題をあまりやってきません。
ある日、「宿題の分は残ってやりましょう!」と居残りを指示すると、彼は苦しそうに顔をゆがめ、お腹のあたりをおさえて、こう言いました。

「ムリっす・・・ハラが限界っす。」

その様子があまりにも苦しそうなので、心配になり、

「なに?今日は具合でも悪かったの?!」

と尋ねると

「・・・ハラがすいて限界っす。」

う~ん、そっちか^^;

というわけで、教えるのってとても面白いです。・・・というか、何だか書いているうちに心配になってきたのですが、わたしは彼らに何を教えているんでしょうか^^;?







2006年02月22日 『受験シーズンも終盤です』


精神的にあわただしかった受験シーズンも、そろそろ終わりのムードが漂ってきています。ピリピリしていた塾長も最近のんびりムードになり、一安心です^^。

とはいうものの、最終的に公立校を受験する中3生は今月末まで受験勉強が続いています。昨日わたしが授業を受け持ったKさんも、私立校は合格したものの、公立受験を控えています。昨日は受験前の最後の授業でした。

Kさんは英語が得意な女の子です。
ただ、英作文の問題では冠詞が抜け落ちたり、時制をミスったり・・・とささやかなミスが目立ちました。

翻訳会社の英訳文のチェッカーをしていたわたしは、冠詞のない文章が異常に気になり、中学生にとってはけっこう厳しい採点をしていたと思います。
(ただ、中学生がした冠詞忘れ、といっても間違えは間違えなので甘くしては本人のためにもならないから致し方ないのですが・・・。)

昨日は総仕上げとして、過去数年分の過去問から英作文の問題を宿題に出していたのですが、Kさんはこの英作文をとても立派にしあげてきてくれました。注意していた冠詞もばっちり☆で、とてもうれしく思いました。

さて、いつもどおり授業が終わりました。受験前の生徒さんには必ず力んで声がけをしてきましたが、彼女への言葉はごく自然に出てきました。

「必ずうまくいくはずだから、自信を持って受験してきてね。」

だってあんなに頑張ってきたんだもの。できるはず・・・受かるはずです。

そうしたらKさんは、深々と頭を下げて

「ありがとうございました^^。」

と、なぜか2回も言ってくれました。・・・そんなふうにお礼を言われたのは初めてで、くすぐったいような、しんみりするような気持ちがこみ上げてきました。

今週号のAsahi Weeklyで目にした記事に、talentという言葉について説明した記事がありました。

talentの意味は「才能」と辞書にあります。

キリスト教文化圏の人々にとっては、talentとは自分のために備えられたものではないのだそうです。talent・・・自分の持っている才能は、「自分のためではなく、人のために使うために与えられたもの」なのだそうです。

わたしはたまたま英語が好きで、好きな英語を使って働いていきたくて、いろいろなことがあった末に、ひょんなことから塾で英語を教えることになりました。わたしの英語はまだまだ未熟なところも多いけれども、それでも、何事にも不器用な自分がずっと取り組んできた、たった一つの分野です。

その英語・・・。

もちろん自分のために使うこともあるけれども、少しずつでも、できる限り他人様のために使っていきたい、と思います。

わたしにたくさんの元気をくれる生徒さんたち。
みんながみんなの夢を手にすることができますように。

受験シーズンも終盤です!


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