PR
Keyword Search
Calendar
Category
Comments
Freepage List
中学生のころ、レコード屋へ行けば、売っているソフトはほとんどアナログだった。中学3年生のとき、友達の1人が「CDを買った」と自慢していた。高校生になったら、あっという間にCDが普及して、高校3年生になると、レコード屋はもうCDを主力に販売していて、レコードなんぞどこかへ行ってしまっていた。そういう意味で、私の世代は、「アナログ最後の体験者」と言ってもいいだろう。
しかしその後、不思議なことに、いくら技術が進んでも、CDは廃れない。でも売り上げはどんどん落ちているようだけど。そうはいっても、ショップへ行けば売っているソフトはほとんどCDだ。そりゃそうだ。もうCD以上の性能をもつソフトを作る意義が薄れているから。だって売れないんだもの。売り上げが落ちている理由はネットを通じてのダウンロード販売が普及しているからだ。ソフトを購入して音楽を聴く時代は既に終わっているのかもしれない。だからCD以上の規格は生まれないし、もちろん売り上げは落ちていく。
CDの良さは、操作性が格段に向上したということ。アナログは車の中ではダイレクトに聴けない。必ずカセットテープに落としてからカーステレオで聴いていた。家で聴くのだって、アナログは擦り切れるため、普段はテープに落としたものを聴いていたものだ。そして時々、真剣に聴こうという時だけ、レコードプレーヤーを回した。
結果的に、アナログレコードを聴くという行為は本気になって音楽と対峙する行為だった。正座して微動だにせず、じっくりと聴いたものだ。そしてだいたい片面は全部で20分ちょっと。集中して聴くのにはちょうど良い時間だ。A面が終わって、レコードをひっくりがえし、今度はB面に針を落とす。またも集中した20分ちょっとを過ごす・・・
CD時代になると、AB面の概念はもうないし、レコードより収録時間が長く、全部で70分強という収録時間などざらにある。そのため、アルバム1枚を集中して聴くことができなくなった。かつ頭出しが簡単。必然的に、真剣にアルバムを聴かなくなったし、気に入らない曲は簡単に飛ばしてしまうようになった。
デジタル時代の現在、ついにアルバムを買わずに、好きな曲だけをダウンロードして楽しむ時代が来た。アルバムの存在意義は廃れるばかりだ。好きな曲(その多くがヒットシングル)だけを何度も聴いて、気に入らない曲は一生聴くことはない・・・そういう時代になった。
人間の趣味趣向は歳によって変わる。環境によって変わる。10年経って、アルバムを聴き直したときに、当時は何の印象も持たなかった曲が、とても魅力的に聞こえることがある。忘れていた曲に気づかされることがある。アナログの時代は、好きな曲も嫌いな曲も、ぜんぶ含めて一つの作品だった。嫌いな曲も次の好きな曲が来るまで我慢して聴いていた。それが現在はそんなことする必要が全く無くなった。
これって実は人間の感性という面で、ものすごい影響があるんじゃないだろうか。すぐキレる。喜怒哀楽をうまく表現できない。人付き合いがうまくできない。好きなものだけを体内に採り入れて、嫌いなものは全く受け付けず、興味ももたない。アルバムを通して聴かないということは、もしかして人間にとって、そして芸術にとって、音楽にとって、とってもとっても大事なことを失ってしまうことなんじゃないだろうか・・・私の考えすぎだろうかね。
皆さん、今更アナログレコードとは言いませんから、アルバムを隅から隅まで楽しむという行為にもう一度取り組んでみてはいかがでしょう?新たな発見があるかもしれません。そして発見が無くても、10年後にもう一度聴いてみたときに、新たな発見ができるかもしれない。このくらい長期的スパンで音楽を楽しむ懐の深さを持っていたいものだ。
相次ぐ訃報、CDまとめ買い 2023.01.15
嬉しいThe Black Crowes来日決定 2022.07.03