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前回の記事を書いてから、なにか妙にThin Lizzyが聴きたくなって、何を聴こうかしばし迷った結果、4枚組BOX SETにすることにした。

VAGABONDS KINGS WARRIORS ANGELS/THIN LIZZY
彼らのアルバムの中で一番好きなのはBAD REPUTATIONだけど、久しぶりに聴くので彼らの歴史を詳細に網羅したこのBOX SETをチョイス。早速i-podに入れて毎日聴いている。そんなことを思いついたのが1月4日のことだ。後日、1月4日がThin Lizzyの中心人物フィル・ライノットの命日だったことを思い出した。思い出したというよりは、フェイスブックのお友達がそんな情報をアップしていたのを目にして、「ああ、そういえばそうだった」と思ったわけ。翌1月5日は私の母の命日だし、フィルとは一日違いなので、何かしら通じるものがあるのかな。しかし偶然というか何というか・・フィル・ライノットが自分を呼んだのか、いやあんな有名人が極東の島国の一ファンに目をかけることはないだろう。母が私に声をかけたのかもしれない。「ほら、私明日は私の命日だけど、あなたの好きなThin Lizzyとやらのリーダーは今日が命日だったんじゃない?」って。
「最後にこのアルバムが、今年1月4日、ロンドンで心臓衰弱と肺炎の為に35歳で他界したアイルランドはダブリン生まれの、ミュージシャン仲間からこの上もなく愛された元シン・リジィのフィル・リノットに対しても捧げられていることを付け加えておきたい。」
中3だった私にとって、この1文はとても印象深く心に残っていた。初めて買ったレコードだし、何度も何度も家でレコードを聴いて、このライナーノーツを読んで、ジャケットを眺めていた。もちろん今でも大事にとってある。

Thin Lizzyはもともと地元アイルランドのフォークやトラッドを下地に音楽を作り上げる要素の強いバンドだった。それが70年代中盤になって2人のリードギタリストを加入させ、ツインリードを売りにするようになってからハードロックバンドとしての地位を確立していった。でもやはりその音楽性には常にアイルランド・ケルト音楽に根ざしたものだったし、フィル・ライノットの書く詞の世界は深く、Vagabond(無頼漢)、Cowboy、Warrior(戦士)といった男がよく登場する。そしてツインリードの美しさ、ギュッと心を鷲掴みにする哀愁あるメロディ、しかもキャッチー。フィルの声質はよくあるハードロックバンドのハイトーンではない。ジミヘンにもにた低音の、ちょっと鼻にかかった独特な声。大体においてルックスがもう有色人種だし、アフロヘアだし。ベースはストラップを極端に短くして胸の上で弾く。どう見てもハードロックの人じゃないよね。でもそれが良い。ちょっと良いどころではなく、すごく良い!
前述のBOX-SETを聴きながら、彼らの歴史をたどっていくと、やっぱり黄金期は70年代中盤から後半だったと感じる。ギタリストはスコット・ゴーハムは替わらず。もう一人がブライアン・ロバートソン~ゲイリー・ムーア~スノーウィ・ホワイト~ジョン・サイクスと変遷していく。やはり80年代に入り、スノーウィあたりから、なにか「おや?」という雰囲気になっていく。時代のせいもあるだろう。はっきりいって今冷静に考えても、80年代の音楽シーンのダサさ、音づくりのチープさには辟易させられる。60’Sや70’Sはその文化的スタイルが今も見直され、リバイバルするけれど、80年代は本当に恥ずかしい時代で、これは自分の中では一生リバイバルすることはないだろう。そんな影響がリジィにもじわじわと迫る。でもスノーウィの時代は、まだまだ「これぞリジィ」と思わせるものだった。アルバムRenegade(邦題:反逆者)は過小評価されすぎている。いいアルバムだよこれ。
83年、リジィは解散を決意し、最後にもう一枚アルバムを作ろうと、若きジョン・サイクスを迎えて、ラストアルバムThunder and Lightningをつくる。ハードロック・ファンには評価が高いのだろうけど、自分としてはちょっと無理しているように感じるアルバムだ。確かにジョン・サイクスはすごいギタリストで、フラッシーなプレイをする。ガツンとしたハードナンバーも収録されているけど、もともとリジィはそういうバンドではないはずだ。
どうしてもハードロック・ヘヴィメタルの系譜で括られがちなバンドだけど、本来はそうではなかったし、もっと幅広い音楽性を持つバンドだった。
まさにミュージシャンズミュージシャン。アイルランドの英雄。フィルは多くの若手ミュージシャンに手をさしのべ、慕われていたようだ。同郷のU2もそう発言している。デビュー間もない若きU2をフィルは支えたのだろう。いまだもってダブリンではフィルを顕彰するライブが開かれ続けている。本当に魅力的なバンドだよ。
しばらくは自分の中でThin Lizzyブームが続きそうな気配だ。
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