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今夜の特別ディナー代の6000円は男が払ってくれた。
本当に申し訳ないと女は思っている。
無理を言って逢ってもらってすぐに帰ればいいものを
女も払いますからと言ったが、男はいいですよ”と言った。
Bさんにすいません””と言って甘えることにした。
女にとってはバレンタインの日のBさんへの
ひとつの負い目となってしまった。
「今日ははいいよ!!心配しないで。。遠いところ
来てくれたんだからこれぐらいのご馳走は僕がします。」
「何をおっしゃいますか。・大丈夫ですよAさん!!」
Bさんはそう言って女の差し出す手をさえぎった。
女は2300頃に帰る予定だからあと2時間である。
最初は2100頃に帰る予定だったのに
バレンタインの女になって弾けちゃうなんて女が言う
もんだからとうとう4時間の逢瀬になってしまった。
外に出てせかせかとした大阪の混雑な人ごみの中に
わが身を置くと女の心は落ち着かなかった。
二人で一緒に歩いているとやはり私はBさんが
好きだという思いがあふれ幸せな気持ちになった。
Bさんはどんな思いで歩いているのだろう?
逢いたかったのよぅ。。そう思うとBさんの
胸に少し顔を寄せたくなってしまった。
ちょっぴり弾けちゃうんだよ。
今日だけのバレンタインの女だから逢瀬を楽しむの
女は男のたくましい左腕にそっと右手を差し入れた。
腕と腕とがひっぱられ二人の命がつながった気がした。
男と女は大阪の夜の街で歩調がひとつになった。
人生もこの人と一緒に歩調をあわせて歩めたら
幸せなんだけどと女は思っていた。
「Bさん私は2300までBさんといて2330分
発のJRで帰りますからあと約2時間、よろしくね」
「ああ~遅くなったけどかまわんのだね~」
「ここのCAFEに入ろうか? いいだろう””」
「はい!!ここにしましょうか。・。・」
その店はJR大阪駅に近いコヒー専門の店だった。
[BさんBさん!!こちらの席にしましょう。」
Bさんと向かい合って座るより横の方が私は好きなの」
「向かいあうと話せないからこちらへ座って!!」
「あぁどこでもいいよ””僕は。・。・」
男は右に座り女は左に座った。
窓際だから通行人の往来の見える場所であった。
窓際といってもカウンターだから前後50センチ
ほどの幅の長いテーブルの上に飲み物を置くのである。
肘をついても充分なスペースがあった。
周囲はみな若いカップルで埋まっている。
どうも中年の男女は少ないようだ。
軽い音楽が流れていて心なし、気持ちが和らいだ。
時計をみると時刻は2110を指している。
「私の人生が変わるかも知れないなんて
思って大阪まで来たんだからね」
「バレンタインの女になって弾けちゃうから
Bさん覚悟はいいですかぁ~」
これは女の独り言だから男には聞こえない””
「お待たせしました””ご注文決まりましたか?」
「ハイ”ホット二つ下さいますか。」
「Aさんケーキなんかはどうなんか?」
「いえっ”もうとても。コーヒーだけで十分!!」
「コーヒーだけでいいですね。かしこまりました。」
店員は水の入ったコップを「どうぞ”」と言って
カウンターに置いた。
(つづく)
第45回 「 バレンタインの女 」 … 2005年04月07日
第44回 「 バレンタインの女 」 4/3 2005年04月03日
第43回 「 バ レ ン タ イ ン の 女 」… 2005年03月29日
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