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窓に右肩と右頬をよせたまま眠っている。
呼吸をしているのかしていないのか
わからないほどの安らかな眠りだ。
愛する人へ贈ったチョコレートの
メッセージが気になるところであるが
女は目を覚ましてくれない。
女から男への愛のメッセージカードが
これからの二人の仲を大きく変えて
いくかも知れない。
いや何も変わらないかも知れない。
女の愛のメッセージに対する感受性と
女を愛する素直な気持ちがどれほど
この男の心の中にあるかということだ。
女が今付き合っている人はいるの?
と聞いた時、男は今付き合っている
女性はいないとはっきり答えているのだ。
その時、女はとても嬉しかったに違いない。
列車のレールの音だけがカタカタと
ゆれて耳朶に響いているだけである。
起きて窓の外を見ても単調な
冬の闇が流れていくだけだ。
眠るという行為を意識的にしなくても
自然と眠くなるのが夜行列車である。
男も仕事の帰りに女に逢ってから
1時間ほど通勤電車に乗って帰って行く。
同じ帰りの男と女の心中にはいかほど
の愛の気持ちがあるのだろうか。
女の愛する気持ちは痛いほどわかるのだ。
だが男の女に対しての気持ちは今の
ところよくわからないところがある。
そしてこの男の身の上についても
今のところよくわからない。・。・
いずれ筆者はこの男について詳しく
書かねばならないであろう。
2ヶ月のメールで簡単に愛が生まれるのか。
今はこの男の心のうちに女の愛が叶えられるか
叶えられないかが、かかっているのである。
夜行列車の座席に眠る女の心の中には
男へのたったひとつの愛だけが秘め事
のように眠っているだけであった。
つづく
第45回 「 バレンタインの女 」 … 2005年04月07日
第44回 「 バレンタインの女 」 4/3 2005年04月03日
第43回 「 バ レ ン タ イ ン の 女 」… 2005年03月29日
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