Buena Suerte

2018.04.15
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カテゴリ: サッカー
トラッキングデータをずっと分析しています。

データそのものは存在しているだけでは何の価値もなく、それをうまく情報として整理し、適切な解釈ができてはじめて有効なものとなります。
「明日の大阪の天気は、最高で22度、最低で8度でしょう」というのは、データとしては整理されていますが、「明日は日中は暖かそうだが、朝晩は冷え込むんだな」という適切な解釈があって、はじめて「明日の服装」を決めることができます。

そういった意味では、トラッキングデータを整理するところまではある程度できて、ある程度の発見はあったものの、ではこれからガンバはどうしたら良いのか…というところまでは、正直私には分かっていません。
しかし、チームがおかしくなり始めた傾向ははっきりと出ています。

まず、運動量を集めてみました。

これだけでは、単なるデータの羅列で、案外ヤットの運動量が多いんだなという程度のことしかわかりません。
※赤文字は途中出場や途中交代の選手です。

次にスプリントのデータを集めました。

これもあんまり特徴的なことはわからないです。
運動量のわりにヤットはスプリントが少ないということが分かるのですが、それは2015年からずっとこんな感じなんです。

相手チームとの運動量やスプリントの差を統計的に分析してみました。
ただ、第1節から第8節までのデータなので、サンプル数が少なく、誤差も大きいと思います。

ガンバの場合、「スプリント数で勝てないと、負け試合の確率が高い」というのは、トラッキングデータが出始めた2015年からずっとその傾向が続いています。
意外にも、運動量は年間勝ち点63を稼いで、例年であれば優勝ラインに到達していた2015年でも、運動量は負けている試合もけっこうありました。藤春、オ、阿部や大森、倉田がいたにもかかわらず。でも、スプリント数は勝っている試合は多かった。

ところで、宇佐美とパトって、運動量もスプリントも少なそうなイメージがなかったですか?
2015年シーズンでは、パトは90分で計算すればほとんど毎試合20~30回はスプリントをしていました。宇佐美も、15~20回くらい。
1試合で20~30回というと、オジェソクや倉田とそんなに変わらず、15~20回というと、2017年の井手口より少し少ない程度のスプリント数。
ターゲットマンの二人がそんだけスプリントをしていたことが驚きです。
前線全体と考えれば、さらに、倉田、阿部、大森、リンスが絡むわけですから、相手チームは相当てこずったと思います。

そして、2015年のガンバのCBのスプリントは、すごく少なかったのです。
岩下、丹羽、キムジョンヤ、どの組み合わせでも、一人当たりの1試合のスプリント数は10以下というのがほとんど。

2015年においては、平均的にみると、
①チーム全体のスプリント数に占める前線のスプリント数は50%に迫る。
②チーム全体のスプリント数に占めるCBのスプリント数は10%以下の試合が多い。
③ターゲットとなる、宇佐美とパトリックのスプリント数も40~50というのも珍しくない(片方が途中交代などが多いので、試合によっては誤差がある)。


それに対して、2018年の場合、下の写真では右側。
ウサパトの代わりに、長沢とファンを想定しつつ、前線の選手としては井出、泉澤、中村…と当てはめてみました。
①前線のスプリント数の割合が50%を超えたのは、勝利した磐田戦と選手たち自身では内容に手ごたえを感じていた(?)神戸戦のみ。あとは前線の選手のスプリント数の割合が30%台。
②CBのスプリント数が2015年に比べてかなり増えた(回数も、チーム全体に占める割合も)。
③2018年のFW二人のスプリントが2015年の二人の半分ということも珍しくない。


それで、この傾向は2017年の後半から既に出ていました。上の写真の左側。
サポーターが大ブーイングで締めくくったホーム最終節(札幌戦)の前線のスプリント数の割合は34.6%ですが、2018年、神戸戦と磐田戦以外はその程度かそれ以下です。
ちなみに、2017年に、劇的な勝利で楽しい思い出となったセレッソ戦は、前線のスプリント数の割合は39.6%です。全般的に2017年は低調でしたが、しっかりと勝ち切った試合ではやはり前線のスプリント数が多かったのです。

今回は、公表されているトラッキングデータから、分析をしてみました。

サッカー界では驚く速度でIOTが進んでおり、運動量とスプリント数だけではなくて、もっと複雑なデータを投入し、人工知能なども一部使いながら分析が進められています。
実際に、一度だけ海外で見せてもらって、「名将の勘みたいなのは、データで丸裸の時代だな」と驚嘆するとともに、「Jリーグの各チームもこれくらいのことをやっているのかなぁ~」と不安に思ってみたりしましたが。
もっと質の良いデータがそろえば、もっと発見事実があると思います。

ただし、冒頭に言ったように、最後はその情報をどう解釈して実践につなげるのかが重要です。





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最終更新日  2018.04.16 21:45:00
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