イヌやネコの検査や治療に関する最新情報(社長の独り言)

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2009.05.28
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カテゴリ: FIP
 新型インフルエンザで始まった5月も、後数日で終わり。衣替え、入梅、と徐々に夏本番に向かってますね。何となく新型インフルエンザも収束に向かっている感がありますが、とかく日本人は熱しやすく冷めやすいようで、大騒ぎしたと思ったら、あの騒ぎは何だったんだろう、という今日この頃、です。でも、毎日の手洗い、ウガイの励行は続けましょう。いろいろな予防に役立ちます。

 さて、またまたまた、三度FIPについて書きたいと思います。
 2月と4月に、FIPとFIPV、さらにはコロナウィルスについて書きました。
 FIP(ネコ伝染性腹膜炎)という症状を起こす原因となるコロナウィルスが慣例的にFIPウィルス(FIPV)と呼ばれていること、ただし学術的にはネココロナウィルスとFIPVの遺伝子レベルでの区別が正確には出来ていないこと、血液や胸水、腹水から検出されることで、FIPVとネコ腸コロナウィルスが鑑別されること、などを話しました。
 御読み頂いた方々には、コロナウィルス、FIP、FIPVの関係について整理してもらえたと思います。

 ところで、今回改めてFIPについて書こうと思ったのは、「ネココロナウィルス遺伝子検査はFIPの確定診断に使えるのですか?」という質問をいくつか頂いたからです。
 前の2回では、検査自体についての説明が少し足りなかったのかもしれないな、と思った次第です。

 まず、再度繰り返しになりますが、この検査の考え方です。
 「腸コロナウィルスとFIPV(FIP発症の起因となるコロナウィルス)の鑑別のポイントは、血液、胸水、腹水などマクロファージを含む検体からウィルス遺伝子が検出されることです。」
 FIPVの遺伝子配列が明らかになっていれば「FIPV」として検出することは可能ですが、現在FIPVはコロナウィルスが変異したのもであろう、というレベルで遺伝子上識別できません。従って、逆にコロナウィルス遺伝子を正確に検出する事によって、感染の有無を明らかにすること、がこの遺伝子検査の考え方です。(それで、検査の名称を変更しました)

 では、検体から「ネココロナウィルス遺伝子が検出されたら、FIPと確定できるか」ということですが、いくつか条件があります。
 簡単に分けて考えたいと思います。

1)FIPを疑う臨床症状があり、コロナウィルス陽性:FIPと確定して間違いない!(弊社HPに掲載の臨床研究データでは、FIPを疑う症例のうちコロナウィルス陽性は約25%)
2)FIPを疑う臨床症状があり、コロナウィルス陰性:ウィルス感染以外の要因で発症している可能性が高い。(FIPを疑う症例のうちコロナウィルス陰性は約75%、つまり、多くはこのタイプ)
3)FIPを疑う臨床症状が無く、コロナウィルス陽性:FIPとはあくまで症状の名称ですので、コロナウィルスが陽性でも「FIP」とは言えないと思います。ただし、ウィルスが感染していることは間違いのない事実ですので、将来FIPが発症する可能性を考えて注意深く経過を観察する必要があるでしょう。
4)FIPを疑う臨床症状が無く、コロナウィルス陰性:とりあえず安心!

 一番解釈が難しく、逆に一番知りたいところが3)でしょう。
「感染がわかっても確定できないのなら、コロナ抗体価と同じじゃないか、」と言われるかも知れません。
 でも、FIPに関心のある皆さんなら、「抗体検査」と「ウィルス遺伝子検査」の明らかな違いはお分かりだと思います。
 「抗体検査」はあくまで感染の履歴(現在感染しているかどうかは不明)を示すものです。 一方「遺伝子検査」は、現在の感染しているか否か、がはっきりします。

 つまり、「コロナウィルス遺伝子検査」は、検体を採取した時点でコロナウィルスが感染しているか否かを確定できます。
 ウィルスが陽性だった場合、検体を採取した時点でFIPを「疑う」症状があればFIPと「確定」できるでしょう。一方、FIPを疑う症状が無くても「ウィルス感染」という事実は明確ですので、将来FIPを発症する可能性がある、と考えて経過を注意深く観察することになるでしょう。

 臨床的に健常のネコたちについてこの検査を集中的に実施したことが無いので、正確なことはいえませんが、少ないながら健常(と思われる)ネコでもウィルスが検出された例があります。ただしその場合はウィルス数は大変低い値に出るのがほとんどです。
 このような症例で、この先FIPが発症するのか、また身体の抵抗力(免疫力など)でウィルスが大暴れしないように押さえ込まれてしまうのか、それはわかりません。
 でも、再三繰り返しになりますが、「コロナウィルスが血液中に存在する」ことは事実です。

 また、難しい話になって申し訳ありません。
 余計にわからなくなった、という方もいるでしょうか。

 でも、ここまで理解して頂ければ、この「コロナウィルス遺伝子検査」の有用性がわかっていただけるかと思います。
 整理します。
*FIPを疑う症状があって血液、胸水、腹水からコロナウィルスが検出されたら、FIP!
*健常でコロナウィルスが検出されたら、「ウィルス感染」は事実!将来FIP発症のリスクが高い!要経過観察!定期的な検査をお勧めします。

 でも、健常ネコでウィルスが検出されてたとしても、「早期発見できた」と考え早めに対処してあげることができれば、可愛いネコたちも一緒に元気に暮らせるのではないでしょうか。

 このように考えて頂ければ、この検査の有用性も理解して頂けるのではないでしょうか。
 と、勝手に考えていますが、皆さん如何でしょうか。
 ぜひ、率直なご意見をお寄せ下さい。

 また、これをご覧頂いている獣医師の先生方、これはあくまで私個人の考えとして延々と書いております。
 本来、一検査会社の者が診断まで口を出すことはご法度、というのは重々承知しています。
 ただ、検査をして何がわかるか、ということは常々考えています。
 機械的に「ウィルスが検出された、されない」では、仕事は簡単ですが、その結果をどう解釈するか考えなければ、進歩も無いし、獣医療に貢献できないと思っています。
 すいません、そんな偉そうな事をいえる輩ではないのですが・・・。

 先生方からのご批判お叱りは、私個人に御願いします。

 なんか、またまた長い文章になってしまいました。
 読んでいただく方も疲れてしまいますよね。
 でも書き出すと止まらない、性分です、ご理解下さい。

 我が家のメタボナナちゃん、今月26日で満7歳になりました(先に8歳と書きましたが、間違いでした)。暑いせいか、メタボのせいか、はたまた年のせいか、ここのところ一気に落ち着いてしまったようで、やや心配、やや寂しい・・・。一度健康診断でもしてみようかな、と考えたりしています。
 でも、イヌの健康診断ってどうなんでしょう。人間だってやっても意味が無いという項目もあるし、難しいですよね。結局は飼主がよく勉強しないといけないということでしょうね。

 さて、今日もビールとチーズを分け合って・・・。
















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Last updated  2009.05.28 21:08:15
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