Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

2012年06月21日
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カテゴリ: 夢有無有
「怪異」声色
 日本中を巡っているサーカス団の一員のピエロの一人に、獣の声色で他のピエロを怖がらして脅かす役の団員が居ましたが、近頃は観客が「ウー」としらけて一向に盛り上がりませんでした。興行師が言います「猛獣の声なら声で、それらしく哭け」と、日々サーカス団の獣と哭き合い研究に勤しんでいる彼としては、此の言は許せません。彼は一晩中悶々としたあげく、自分の技を認めてくれない世間に向かい、ある一つの方法を考えます。
 明くる朝、彼は今までこつこつ貯めた、なけなしの預金を引き出し、新聞に「北海道ヒグマと話す、ドリトル先生の上を行く神秘の人云々」の広告とヒグマ牧場の真っただ中に降りることまで書きましたから、反響はあったものの、勿論ヒグマ牧場の許可を取れる筈もなく話はお流れに。しかし、この話に飛びついたのがテレビ局とネットの世界、話題は盛り上がり北海道の某チャンチャン小屋に観光シーズン外れにはヒグマが必ず出没するという話を局もちの経費で行ってみないかと、彼に話をもち掛けます。彼も渡りに船とその話に乗りました。
 局の手配で、万一の為、彼の反対するのを押し切って、「マタギ」のベテラン猟師に数人に麻酔銃を持たせて小屋に着くと、成る程「ヒグマ出没危険、注意」と書かれています。彼はサーカス団から、予め衣服として縫製した熊の敷物を持ってきて着込み、危険回避のために無人カメラを回すテレビ局のスタッフと別れ、遠目に見えるマタギを確認します。此処の小屋に出没するヒグマは前年に子グマを失ったらしく気が荒く、環境保護団体は此の事がヒグマ射殺に繋がらないか非常に心配しておりました。
 夜が来て、彼は一つの哭き声にも二百の意味があると云う彼の持論通りのなき真似を発します。其の時ドア横の板を破る音がメリメリ、マタギも圧倒される中、ヒグマが彼を口に咥え運び去って行きました。其の騒ぎにテレビ局は捜索隊を要請して彼を探しますが見つかりません。やがてヒグマの冬眠時期ですが、マタギがそのヒグマを穴のなかに発見、その腹には彼が眠って居りました。暗視カメラと脈拍・体温をはかる機器を穴の中に入れて観測、何と彼の脈拍・体温は普通人の三分の一です。彼は冷温仮死状態におかれ冬眠に入っていたのです。明くる年の鮭が河を遡ってくる頃、其のヒグマと彼が楽しそうに鮭を追っている姿が見受けられ、人が遠くから呼びかけても「人語」を解せないが如く反応しません。やがて親子して森の中に姿を消しました。
 次の年には、彼はヒグマと共には姿を見せませんでした。地元の町では「彼は喰われたのだろう」「いや、あの御仁は熊の神様だ」と意見続出、遂には、某チャンチャン小屋が熊神様を祀る神社となり、「母子手帳」に神社の御札を張り付ければ、母子共に健やかにとの噂が流れ、今は過疎の町が観光の町として見事に蘇えっております。

ヒグマ1
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最終更新日  2012年06月21日 08時11分48秒
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