Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2012年07月12日
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カテゴリ: 夢有無有
「中国故事」寿(いのちなが)ければ則ち辱(はじ)多し
 前5~3世紀に諸子百家という並び立った諸学派中に「道家」という学派があります。老子がその祖で、列子、荘子らが発展させていくわけですが、その一人、荘子は先秦(戦国時代)における最も特異な思想家と云えます。彼は孔子を祖とする「儒家」の人々が強調する仁義道徳を小賢しい作為として排斥し、「天性に従い自然を尊び無為にして外物に侵されぬことを主とすれば天下はおのずから治まる」と説いたいわゆる無為自然の思想を説きます。あるがままにあること「自然」を愛し、何ものにもとらわれない精神的自由の境地「道」の世界を理想として、「儒家」が理想とする代表的聖人、帝・堯を彼一流の風刺や皮肉や寓言に託して、孔子たちの教義と対極にある「道家」の思想を展開します。
 中国古代の伝説上の五帝(五聖君)の一人、史記に「その仁徳は天の如く万物を覆い、その知は神の如く微妙な点までゆきわたる。」と記された理想的な帝王その堯があるとき華という地方へ巡幸されたときのことである。その地の関守役人が恭しく堯の前にまかりいでて、ご挨拶を申し上げた。「おお、聖人よ、どうか私に聖人であるあなたを祝福させてください。聖人の長寿を祈りましょう」すると堯は言います。「いやいや」堯は思慮深げに微笑みをたたえながら答えます。「わしは寿命を望もうなどとは思わぬものじゃ。」、「ならばあなた様の御富のますます豊かにあられますように。」に対しては「いいえけっこうです。儂は富を増やそうなどとは夢々考えてはおりません。」ならばと、「それでは聖人に男の子が多く恵まれるように祈りましょう」と申し上げると、すると堯は「いやいや、それもわしの望まぬことじゃ。」関守役人はいぶかしげに堯の顔をみやりながら、「はてさて、寿命と富と男子の多いことは、誰でもの望むことで御座いましょうに、貴方様だけがそれをお望みなさらぬとは、何としたことでしょう。」と問います。堯の返答は「男の子が多ければそれだけ心配の種も増え、富が増えればそれだけ面倒なことも多くなり、長寿を保てばそれだけ恥を残すことも多くなります。この3つのものは徳を養うにはなんの役にも立たないものです。だからお断りしたのですよ。」(子多ければ則ち懼れ多く、富めば則ち事多く、寿ければ則ち辱多し。是の三者は徳を養う所以に非ざるなり。故に辞す)その堯の言葉から「寿(いのちなが)ければすなわち辱(はじ)多し」はここから出た言葉でますが、ああ、さすが理想的君主帝堯、言うことが違う。と関心するのは、いわゆる「儒家」であり、「道家」の荘子は話を続けます。関守の役人の目にありありと失望・軽侮のいろが現れ、彼は堯に聞こえよがしにこう呟きます。「ちぇっ、やくたいもない。堯は聖人と聞き及んでいたのに、今の言い草じゃ、たかだか君子くらいの値打ちしかない男と知れた。子供が多くともそれぞれに分相応の仕事を授けてやれば、何の心配もあるまいし、富が殖えたら殖えたで人に分け与えてやるならば、何の面倒もあるまいに。本当の聖人というものは、鶉のように棲み処を選ばず、雛鳥のように無心で食らい、鳥の飛んで跡なきがごとく自由自在であるべきもの、世間がまともであれば、皆人と共にその昌えを楽しむがよし、まともでなければ、我が身の徳を修めて隠遁するもよし、千年もの長生きをして世間が厭になったその時は、仙人となってかの白雲にうちのり上帝の郷に遊ぶもよい。病・老・死の三患に煩わされることなく、身は常に殃なしとすれば、寿くともなんで辱の多いことがあろうものか。」こう言い捨てて関守は踵をかえした。見事に虚をつかれた形の堯は、気を取りなおして後を追いけますが「さっさとお帰りなさるがよい」といって去ってしまいます。「寿ければ則ち辱多し」に対し、「三患至る莫く、身常に殃無ければ、則ち何の辱か之有らん」と、「道家」の荘子はきっぱり否定しています。
 荘子はこの寓言によって、「儒家」的聖人である堯と対比しつつ「道」の世界に生きる自由自在人「道家」的聖人の姿を示唆し、理想的な生き方を「道」(タオ)に求めています。

荘子1
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最終更新日  2012年07月12日 10時00分59秒
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