Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2012年07月18日
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カテゴリ: 夢有無有
「中国故事」有無相い生ず
 「中論」では有無、断常等の両極端の見を嫌い、「縁起」を仲介として中道を行くことを論じていますが、此れと対照的に「有無相い生ず」として、この世は全て関係において存在する存在は相対的であり、その価値の存在その物もまた相対的なものであると断言しています。この考え方は老子の認識論の基本をなすものであり、宇宙構成の原理でもあるとしています。
「天下、みな美の美たるを知ればこれ悪なるのみ、みな善の善たるを知ればこれ不善のみ。ゆえに、有無相い生じ、難易は相い成し長短は相い較し」(これが美だと認知するのは、同時に、他面に悪のあることを認知することだ。善と不善の関係もまたしかり。このように、一つの存在はそれと対立する存在を認めることによって存在する。有は無があることによって、難は易により、長は短によって存在する)と説きます。この世はすべて関係において存在するのであり、常識の世界において無という存在はない。存在するものは有である。だがしかし老子流に言うならば無なしに有は存在しえない。無と有のこの関係を、部屋や窓は、空間つまり無のあることで屋や窓として存在するという比喩で説きます。しかしながら、空間を無とすることに少々無理強いの感があります。また「天地の間はそれなおフイゴのごときか、虚にしてつきず、動いていよいよ出ず。フイゴは無があることによって始めてフイゴとして存在する。この比喩にはもう一つ別の意味が感じとれます。フイゴは存在するが、活動することによって時々刻々に形を変える。形として存在するものは従って変化するものである。生成消滅の状態において続くのである。存在が活動するとはそのようなものであり、その活動を可能にするのが無なのである。無は無限の力をもて有を生ずる。鞴はあくまでも比喩であるから、無と有の関係を完全に説明する事はできないにしても、なかなか適切な比喩であるとは云えましょう。
 更には「無名は天地の始めにして、有名は万物の母というのも、有無の関係をと説いた観点の基礎として、無が有なる天地を生み、さらに発展して万物を生む。無があって次に有があるというのは時間的に無が先に存在するというのではない。有とともに無が、無とともに有が存在していると見るべし。従って有名の母も無名なるものも実は一つといってよい。絶対の世界に立てば有も無も一つ。この一を体得することを老子は「一を抱く」とか「朴を抱く」とかいう言葉で表します。一を抱いた人間は調和のと玄のまた玄なる道であり、自然であり、実在であるとしています。しかしながら老子は、無を強調し過ぎるきらいがあり、無がはじき出した有とその活動とを価値のないものの如く取り扱って、人間の有の世界を軽視し、無をより本源的なものと考え、「有は無より生ず」と言っている様にも聞こえます。
 さらには、宇宙の根本的な運動・時間にしても「反(カエル)は道の動にして、弱は道の用なり。天下の物は有より生じ、有は無より生ずと言っています。道(真理)から見るならば、動くという運動は帰るという運動で、どこかへ進んでいるということは帰りつつあるというのです。物がなにかの形をとりつつるということは崩壊への第一歩だと聞こえます。また強い状態、何ごとかをなさんとする状態は運動のとまった弱い状態、意志のなくなった静の状態へかえりつつあることで、それが道の作用と説きます。有は無から生まれて無にかえる。存在することは無くなることと結論づけています。「その根に復帰する」とか「無極に復帰する」とか老子が言うのはエントロピーを云わんとしているのかも知れません。

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最終更新日  2012年07月18日 07時45分45秒
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