「霊魂論」エチカ詳解44 ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel/1770年-1831年)はドイツの哲学者であり、ドイツ観念論を代表する思想家。片やスピノザ(Baruch De Spinoza/1632年-1677年)は17世紀のオランダの哲学者ですあり、合理主義的汎神論の代表的な思想家と云われ、思想史上ではスピノザが「神概念」ではヘーゲルに先行しており、後世に生まれたヘーゲルの弁証法的歴史観のスピノザの評価には興味津々たるものがあり、事実スピノザの「神存在」の理解には欠かせない論評を残しています。ヘーゲルはスピノザを「スピノザ哲学か、それとも哲学じゃないかだ」と極めてスピノザを厳しく見つめています。ヘーゲルにとってはスピノザの哲学は、ある意味合いでは哲学中の哲学であるが、しかし足りないところがあると評します。ヘーゲルの弁証法の方法論理は命題を二重に構成し真理を究(き)わめんとすることだからです。彼の哲学の思考論理は「A乃至B」の中から次の証明が暫時(ざんじ)に漸次 (ぜんじ)して、次第次第に生じるものであり、連綿と其れを追求し真理に迫ろうとするものなのです。其の原点からして数学の演繹法でスピノザの自己原因の概念を提示している論理、それが絶対的な始まりを告げているところにヘーゲルは絶対精神を肯んずも批判します。ヘーゲルは言います。「スピノザ哲学の良いところは、それが絶対的な始まりを告げているところだ。即ち、スピノザの自己原因の概念である。スピノザの主著「エチカ」の冒頭に掲げられた自己原因の定義こそ、スピノザ哲学の根本であるとヘーゲルは捉えたのです。然し乍ら、自己原因という概念そのものはスピノザ以前にもあり、思想史を紐解けば幾らもあります。しかし其のことを当然承知のヘーゲルにとってスピノザが重要なのは、自己原因が存在と思惟の同一性を表していることに尽きます。このことは弁証法を掲げるヘーゲルにとっては、思う壷でしょう。何故なら、同一性が始めっから提出されているということは、弁証法の行き着く先の解であるからです。そこからは議論は何も始まらない原因であり結果としてある。詰まる処、ヘーゲルは、スピノザに哲学の始まりを見ると同時に、それは実は終わりだったのだと捉え、スピノ哲学を誤謬を犯してない論理法としては正当と一応は受け入れてます。