時間の陥穽215 通常生活に置いては、社会生活を送る現代人は、都会暮らしで星の運行で時間を表象する人は稀でしょう。一般には時計やカレンダーを見て過去から現在そして未来、流れ去ったものの想起や今の現状そして予測をしています。英国の天文学者アーサー・エディントン(Sir Arthur Stanley Eddington/1882年-1944年)は其の著書「物的世界の本質(The Nature of the Physical World)」の中で、「さあ、任意に矢を描いてみよう。我々が矢印の方向に従うにつれて、世界の様子に乱雑な要素がますます見つかるようであれば、矢印は未来を指している。乱雑な要素が減って行くならば、矢印は過去に向いている。これが物理学で知られている唯一の区別である。乱雑化の導入が取り消せない唯一の事実であるという根本的な主張が認められれば、これはすぐに続く。私は、宇宙で類似物をもたないこの時間の一方向性を表現するために、「時間の矢」の語を用いる」と述べています。更にエディントンはこの矢印について注意を払うべきものとして、それ(時間)は意識によって鮮明に認識される。それ(時間)は矢印の逆転が外界を無意味にしてくれるということを我々に教えてくれる、我々の推論能力によって同様に主張されている。それ(時間)は多くの個人の組織化の研究を除いて、物理学では現れない。と述べ、熱力学の性質についての長い議論の末に矢印は乱雑な要素の漸進的な増加の方向を示す。物理学に関する限り、時間の矢印はエントロピーのみの性質であると結論づけ、時間の理解は他の基本的な疑問を解くうえで極めて重要だと述べます。例えば,特異点としての密度が無限大になるところで何が起こるか,宇宙膨張がいずれ反転して宇宙が崩壊に向かう可能性があるのかどうか、時間の性状を問います。