時間の陥穽339 宇宙世界の創世記にまで遡り、物理科学の観測天文学を踏まえた理論から導き出された宇宙創生のシナリオでは、インフレーション理論の登場までは、実態的時間が在る無しに関わらず、物理科学は時間スケールから捉えて、全ての今、現上の世界はビッグ・バンから始まるとしました。ビッグ・バン理論に従えば、いまから138億年前の大爆発によって宇宙は誕生し、急激な膨張を始めると同時に急激に冷え始めるという現象を見せます。時間的数値では10から44秒後には、第1回目の真空の相転移(phase transition of vacuum)が起こったとされます。まず、素粒子物理学における真空とは、エネルギー零の状態というよりは、物質場の励起していない基底状態という意味で、何らかの原因によって真空の基底状態自体が変化することが真空の相転移であり、2012年7月にCERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突加速器によって発見され素粒子の標準理論が検証された。ヒッグス場の励起状態であるヒッグス粒子の自発的対称性の破れを起こしてゼロでない期待値を持つことによって、結合している他の場であるフェルミ粒子・ゲージ場に質量を与える役割を果たすスカラー場によりクォーク・レプトン・ゲージボソン(Wボソン、Zボソン)に質量が与えられる事により「無」から人類の現在の通常思考からは「夢想」だにしない質量を生み出します。現代物理科学は「無」は何処を探しても見付からない「空虚」ではなく、今現在に「有なるもの」が在る限りに於いては「無」として在ったことになります。我々通常一般常識で思考する者にとっては「無」は「有」の対極にあり「何ものもなし」で空間そのものもあり得ません。物理科学上の「無」からの「有」の創造を認識することは甚だ困難であり、我々が捉える「無存在」とは、現実線上の点とは接点のないゼロ点さえ持たない「虚」を「無」と捉え直すのが賢明かもしれません。