Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2022年03月27日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-361
 スピノザの精神感情の範囲はいわゆる生物学的に下等生物とされるもの及び植物を除いて、生物一般にまで目が注がれています。カブトムシは本性の欲望それなりに蜜を求め喜びを満たすとします。当然に、人類である人間精神の感情とは意を事にしますが、此の精神感情の異相は其れ程には極端ではないにしても人間個々其々にも人間の本質が異なるだけ多彩だと断定します。突き詰めれば、人間とは「個性的生物」だということです。
 定理五七 各個人の各感情は他の個人の感情と、ちょうど一方の人間の本質が他方の人間の本質と異なるだけ異なっている。
 証明 この定理は第二部定理一三の備考につづく補助定理三のあとの公理一から明白である。その公理を見よ。しかしそれにもかかわらず我々はこれを三つの根本的感情の定義から証明するであろう。
 すべての感情は我々の与えたその定義から分かるように欲望、喜び、もしくは悲しみに関係する。ところで欲望は各人の本性ないし本質そのものである(この部の定理九の備考におけるその定義を見よ)。ゆえに各個人の欲望は他の個人の欲望と、ちょうど一方の人間の本性ないし本質が他方の人間の本質と異なるだけ相違している。
 注:スピノザは精神感情を欲望・喜び・悲しみの三基本とするが欲望と喜びは能動性を、喜びは能動・受動性を帯び、悲しみは専ら受動性を帯びる。:記
 次に喜びと悲しみは各人が自己の有に固執しようとする能力ないし努力が増大しあるいは減少し、促進されあるいは阻害される受動である(この部の定理一一およびその備考により)。ところが我々は、自己の有に固執しようとする努力を、それが精神と身体に同時に関係する限り、衝動ないし欲望と解する(この部の定理九の備考を見よ)。ゆえに喜びおよび悲しみは外部の原因によって増大されあるいは減少され、促進されあるいは阻害される限りにおける欲望ないし衝動そのもの、言いかえれば(同じ備考により)各人の本性そのもの、である。したがって各人の喜びあるいは悲しみは他人の喜びあるいは悲しみと、やはりちょうど一方の人間の本性ないし本質が他方の人間の本質と異なるだけ相違する。
 ゆえに各個人の各感情は他の個人の感情とちょうど云々。Q・E・D・此れが証明すべきことであった。
 備考 この帰結として、いわゆる非理性的動物の感情(というのは我々は精神の起源を識った以上は動物が感覚を有することを決して疑いえない)は人間の感情と、ちょうど動物の本性が人間の本性と異なるだけ異なっているということになる。もちろん馬も人間も生殖への情欲に駆られるけれども、馬は馬らしい情欲に駆られ、人間は人間らしい情欲に駆られる。また同様に昆虫、魚、鳥の情欲および衝動はそれぞれ異なったものでなければならぬ。こうしておのおのの個体は自己の具有する本性に満足して生き、そしてそれを楽しんでいるのであるが、各自が満足しているこの生およびこの楽しみはその個体の観念あるいは精神にほかならない。したがってある個体の楽しみは他の個体の楽しみと、ちょうど一方の本質が他方の本質と異なるだけ本性上相違している。
 最後に、前定理からの帰結として、例えば酔漢の捉われている楽しみと、哲学者の享受している楽しみとの間には、同様に少なからぬ相違があることになる。これもここでついでながら注意しておきたい。
 働きを受ける限りにおける人間に関係する感情についてはこれだけにする。残るのは、働きをなす限りにおける人間に関係する感情について若干をつけ加えることだけである。
 追記:中国古史にある竹林の七賢人は酔漢の捉われている楽しみと、哲学者の享受している楽しみをともに味わった賢人なのでしょう。



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最終更新日  2022年03月27日 06時10分04秒
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