Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2023年05月17日
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カテゴリ: 霊魂論
アナーキズムから神智学へ *シュタイナーの「本来的自己」
1:問題の所在
 「人智学(Anthroposophie)」という思想運動を展開したルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner/1861-1925)の生涯を記述する上でもっとも議論を呼んできたのが、ゲーテ研究者であり哲学者であったシュタイナーが、何故に、神智学という「オカルト(occult)と呼称される秘学・神秘・超自然的なもの」へと没入したのかという謎でしょう。1890年代からのシュタイナーは、ニーチェの無神論的な思想を受容しながら反宗教的傾向を強めており神智学を否定していたと思われていたにもかかわらず、1902年に神智学協会に入会し、同じ年にそのドイツ支部の事務総長という重要なポストに就いたのです。 この回心転意についてはシュタイナー自身が、最晩年に書いた自伝の中で1897年から1902年までに宗教的回心があったことを仄めかしています。彼は1890年代の後半には唯一者(タダヒトリ)の自由を求めたシュティルナーやニーチェの唯物論的・無神論的哲学に没頭していたのだが、この「厳しい試練」の時期を宗教的回心によって克服したというのです。換言すれば,シュタイナーは極端に唯物論的で無神論的な思想に傾倒していた時期を、神智学へと参入する前に受けるべき「試練」として意味づけるとともに、この「試練」を突破するための契機として宗教的回心体験、彼に言によれば「ゴルゴダの秘儀の前に立つこと」と位置づけたのです。かくして、彼の生涯は霊的に洗練されるための諸段階として、最晩年の彼自身によって体系づけられます。然し乍ら、このような自伝における記述は、晩年の「人智学者」シュタイナーが描く「物語」でもあるため,学術的分析のためにはこの「物語」に対して慎重な態度をとるべきとの論評もあります。此のシュタイナー「転身」問題は、彼の教育学の先行研究においては、1890 年代の彼の「自由の哲学」と晩年の「人智学」に通じる思想的一貫性が強調されることにより、問題視されなくなっています。然し乍ら、この視点からは転身前後の思想、特に神智学に対するに対する分析が等閑(なおざり)となります。教育学の視点を離れて歴史学的視点からは、「転身」の時期の思想的な断絶が指摘されると同時に職と金銭を得るための「転身」が仄めかされることにもなります。然し乍ら、1890年代の哲学と1902年以降の神智学的世界観の差異ある思想を経済的理由でのみ説明するには限界があります。なぜ彼が神智学へと参入していったのか、それには大学の学問に対する挫折と失望という状況とアナーキズムへの傾倒とオカルティズムや神智学への接触がある。アナーキズムとオカルティズムは、それぞれ異なった思想形態ではあるのだが、近代社会内での位置づけとしては併せて論じるに値するほどの共通点をもっている。アナーキズムからオカルティズムへと渡り歩くシュタイナーにおいては意義深い要素でしょう。彼はそこに自らの思想的核心を有意義に主張する場所と戦略を見出したのです。



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最終更新日  2023年05月17日 06時04分29秒
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