Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2023年05月18日
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カテゴリ: 霊魂論
アナーキズムから神智学へ *シュタイナーの「本来的自己」
2:ゲーテ著作編集と学術界進出の挫折
 ワイマール時代(1890年から1897年頃)のシュタイナーは、まずは鉄道技師であった父の影響でウィーン工科大学に入学するも、興味はドイツ観念論やゲーテの自然哲学に向かう。彼はゲーテ研究において才能を開かせ、長年住んだウィーンからドイツのワイマールへと居を移し一定の名声を得ています。その後、フィヒテの認識論に関する博士号を経て学術界へと進出する期待を込めて「自由の哲学」を出版するもするもままならず学術界への進出の試みは挫折、自らの哲学が教授陣に高く評価されなかったシュタイナーは,大学の外にいる知識人たちとの交流を育むことになる。そこで大学内の主流の学問に満足せずに反抗するための理想像となったのが1890 年代に彼が熱狂的に支持していたフリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche/1844-1900)です。シュタイナーの「自由の哲学」(1894年)は,ドイツ観念論とシュティルナーおよびニーチェの個人主義を融合させた思想を軸にしている。彼はそこでカント以来の哲学が前提としている主観と客観という分裂や、主観が認識しえない「物自体」という概念を批判し、人間は「思惟」によって現実世界を真に再構築できるのだと主張します。彼によれば、人間は本来、自然と同一の存在であるがゆえに、現象としては無秩序に現れる客体を秩序だった現実の自然として再生するという力「思惟」をもつ。彼のこの認識論哲学が前提としている核は、自分自身の力への絶対的確信である。この確信のもとでは、人間が自然に授かった「思惟」を発揮すれば,自然そのものを再構築することができるだけではなく、あらゆる固定観念および因習的制度から解放された自己に基づけば人間は倫理的に行動することができるというのです。このような自己への楽観主義的な信頼及びすべての倫理的・世界観的理念を自己の責任のもとに置く考え方、この態度を彼は「倫理的個人主義(Ethischer Individualismus)」を、彼はニーチェの哲学と同一視する。シュタイナーは1889年からニーチェの著作を読み始め、彼の哲学に共感を抱くようになり、1895 年には「フリードリヒ・ニーチェ 同時代に対する闘争者」というニーチェ論を執筆する。シュタイナーはこの著作において,自らの思想的核としての「自己」への絶対的信頼をニーチェの「超人」思想とを結びつける。彼にとってニーチェは、「完全な個人主義者」で、「時代に合わない人物の信念、反時代的闘士の信念」をもった人物であり、学術界とは別の世界で前衛、先駆け、革新的アバンギャルドとして生きるシュタイナーにとっての模範となったと考えられるます。ワイマール時代のシュタイナーは、骨が折れる仕事に追われながらも、それまでのゲーテ的、あるいは観念論的な思想とは異なった思想圏、つまりニーチェの思想に接することになります。シュタイナーは,人間と自然の本来的一体性というロマン主義的・観念論的同一哲学に依拠しながらも、既存の倫理観や学知に固執するのを否定し、准ずるべき理念を自らの内から導き出して行動する人間を目指していました。この態度こそが、ニーチェの思想に影響を受けながら築き上げた「倫理的個人主義」だった。「倫理的個人主義」は、其ののちワイマールを去ってベルリンへと赴くシュタイナーにおいての基本的な態度となります。それどころか、アナーキズムやニヒリズムなど無神論といった言葉で形容されうるような主義と結びついて彼の「倫理的個人主義」はいっそう先鋭化されたのです。



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最終更新日  2023年05月18日 06時10分06秒
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