Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2024年08月02日
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カテゴリ: 霊魂論


ルドルフ・シュタイナー
「精神科学と医学」(GA312) 第一講(本文・解説付)解説 第4回
第1講・第4回
 スタール医学は、宇宙の作用についてまったく理解していないといえます。パラケルススとファン・ヘルモントにおいては、霊的魂的なものと物質的な生体組織との間のものについて意識的であったのですが、スタール医学においては、意識的・魂的なものが姿を変えて人間の生体組織に働きかけるというような、一種の仮説的な生気論になってしまっているのです。そういう方向性の反動としてでてきたのが、19世紀のヨハネス・ミュラー(Johannes Peter M?ller/1801年7月14日 - 1858年4月28日)です。。彼の指向したのは自然哲学からの脱却と、観察・実験であった。実験生理学よりも形態学研究に傾斜し、比較解剖学、動物分類学に興味を抱いた。また病理学とくに腫瘍(しゅよう)の研究に顕微鏡を応用した先駆者でした。さて、当時もともと意味されていたことが、どんどん理解されなくなっていったと言うことができます。とりわけこのことが明白になってくるのは、私たちが17-18世紀と進んで、スタール医学に出会う時です。ここにいたっては、この、宇宙の地球的なのものへの作用についてはもはやまったく理解されていません。スタール医学は純粋に空気中に漂っているあらゆる可能な概念、生命力、生命霊についての概念を利用します。パラケルススとファン・ヘルモントは、人間の本来の霊的・魂的なものと物質的な生体組織との間にあるものについて、まだある程度意識的に語っていましたが、一方、スタールとその信奉者たちは、あたかも意識的-魂的なものが別の形をとってのみ人間の身体の構造付与に働きかけるかのように語りました。このことによって彼らはむろん強い反動を呼び起こしました。なぜならこのような方法をとって、一種の仮説的な生気論(Vitalismus)を打ち立てると、結局は純粋に恣意的な提示になってしまうからです。このような提示にとりわけ其れに対抗したのは19世紀です。例えば、エルンスト・ヘッケルの師で1858年に亡くなったヨハネス・ミュラーのような偉大な精神のみが、人間の生体組織に関するこういう不明確な言い方に由来するあらゆる害悪を克服してそれを越えて行ったのだと言うことができます。この不明確な言い方というのは、人間の生体組織において作用しているという生命力について、それがどのように作用しているのかはっきりと考えることなしに、もっぱら魂的な力について語るように語ってしまったことなのです。対して、全く別の流れ、つまり唯物論的な流れが出てきます。18世紀のモルガーニの病理学的解剖学です。モルガーニは、死体解剖によって病気の原因を探ろうとし、生体組織の病んだ結果だけに目を向けました。さて、こうしたことすべてが起こっている間に、全く別の流れが現れてきました。私たちは今まで、謂わば、流れ去っていくものをその最後の余波まで追求してきたわけですが、近代とともに、とりわけ19世紀の医学上の概念形成にとって今度は別の仕方で決定的となったものが到来したのです。それは結局、18世紀の、法外に強力な決定的影響を与えた唯一の著作、パドゥアの医師モルガーニの著「解剖所見による病気の所在とその原因について」に遡(さかのぼ)ります。モルガーニとともに、根本において医学における唯物主義的な傾向を導いたものが到来したのです。こういうことは、共感、反感をまじえずにまったく客観的に特徴づけられねばなりません。と申しますのも、この著作とともに到来したものは、人間の生体組織が病んだ結果に目を向けさせるものだからです。決定的なものとなったのは、死体鑑定でした。死体鑑定が決定的なものとなったと言えるのは、実際この時代からなのです。人々は死体から、病名は何であれ、何らかの病気が作用すると、いずれかの器官が何らかの変化を蒙(こうむ)るにちがいないということを知りました。今や、何らかの変化を他ならぬ死体鑑定から研究するということが始まったのです。実際ここではじめて病理学的解剖学が始まります。他方、医学のなかに以前からあったものは、すべて、なおも作用し続けている古代の霊視的な要素に依拠していました。さて、20世紀において大きな転換が起こります。古代的な遺産が打ち捨て去られ、医学は原子論的・唯物論的になってゆきます。古代の体液病理学の最後の遺産は、1842年に出版されたロキタンスキーの「病理学的解剖学」でした。興味深いのは、大きな転換がそれから一挙に最終的に起こったことです。実際直接20世紀を示すことができ得るのです。興味深いことに、20世紀に大きな転換が成し遂げられ、それによって古くからの遺産としてまだ存在していたものがすべて捨て去られ、さらに現代の医学制度における原子論的・唯物論的な見解が基礎付けられたのです。ちょっと努力して、1842年に出版されたロキタンスキーの「病理学的解剖学」を調べてごらんになれば、ロキタンスキーにおいてはまだ、古代の体液病理学の名残(なご)り、つまり病気は体液の正常でない相互作用に基づくという見解の名残りが存在していることがおわかりになるでしょう。このような体液の混合に注目せねばならないとする見解、これができ得るのは、体液の地球外的な特性についての見解の遺産を有している時だけなのですが、この見解はロキタンスキーによって非常に機知に富んだやり方で器官の変化の観察と結びつけて処理されました。つまり、ロキタンスキーの書物はもともと常に器官の変化の死体鑑定による観察を根拠としているのですが、これが、このような特殊な器官変化は体液の異常な混合の影響によって生じてきたのだという指摘に結びついているのです。ですから、古代の体液病理学の遺産から現れた最後のものは1842年にあったと言いたいのです。この古代の体液病理学の没落の中に、例えばハーネマンの試みのような、包括的な病気の表象を考慮に入れるという未来指向的な試みがいかに投入されたか、これについては後日お話していこうとおもいます。これは単に前置きで取りあげるにはあまりに重要なことですから。まずは同様な試みとの関連において、それから個々の場合において議論されねばなりません。 
<註釈>
*小川鼎三「医学の歴史」を主に参考
■スタール(Georg Ernst Stahl/1660-1734)
ホフマン、ブールハーヴェとともに、医学界の三巨匠とされた。彼らは体系学者と呼ばれる。物理派と化学派を合わせながらその上に、ライプニッツの唯心論をのせて、生命や病気の解釈に体系をたてるのが得意。
■ヨハネス・ミュラー(Johanes Mueler/1801-1858)
ドイツ医学の哲学的要素を排し、科学的なものとする。ライン河畔のコブレンツに靴屋の子として生まれた。ボン大学で医学をおさめたが、そのときの解剖学への深い傾倒が、その後実物に即してのみ考える習慣をもつのに大いに役立ったという。ついでベルリンで生理学者のルドルフィに学び、またボンに帰り、1830年正教授になる。3年後にベルリン大学に転じて、解剖学、生理学、病理学を一人で兼ね教えた。生理学では神経系と感覚器に関する研究を多く行い、解剖学ではとくに生殖器の発生などについて業績をあげた。動物学、発生学、比較解剖学、生理学、化学、心理学、病理学など、あらゆる方面で活躍した。病理解剖学では顕微鏡を用いる方向に深く進んだ。その著書「人体生理学全書」は、この世紀の金字塔と言われる。 
■エルンスト・ヘッケル(Ernst Haeckel/1834-1919)
■モルガーニ(Giovanni Battista Morgani/1682-1771)
フォルリに生まれ、ボローニャで医学をおさめ、19歳のとき、解剖学者ヴァルサルヴァの助手になった。29歳の時パドアの解剖学教授となり、90歳の高齢で没するまでその職にあった。地味な学者だったようで、こつこつと多数の人体解剖を生前の病状と照らし合わせながら行い、それをまとめた大著「解剖所見による病気の所在と原因について」を、驚くべきはやっと1761年80歳のときに出して、一挙に病理解剖学を打ち立てた。
■ハーネマン(Christian Friedrich Samuel Hahnemann/1755-1843)
ホメオパシーの創始者。ドイツ生まれ、ライプチヒ大学で医学をおさめ、エルランゲンで学位を得た。キニーネの働きを調べて、これがマラリア類似の熱をひきおこするとなして、そこから考えが飛躍していった。そして、ある病気を治すにはその症状と似たものを健康な人におこすような薬を用いる必要があるととなえた。「似たものが似たものを治す」というのがその主張であった。
参照画:モルガーニ(Giovanni Battista Morgani)



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最終更新日  2024年08月02日 06時14分35秒
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