なんすかね

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Aug 20, 2019
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カテゴリ: 物申す
ゴミのことって書き出しといてなんですけど、
ゴミってなんでしょうか。不要になったらゴミってことですよね。
物質のみならず、そんなことばっかりだと思うんですよね。
人と人の付き合い方、仕事の種類、趣味、購入意欲、宗教政治に対する考えからみんなあてはまってしまう。
誰かにとってはゴミでしかないもの。不要だからとたやすく処分されてしまうもの。
そんなことの話を一つ。

先日、信号待ちだったか渋滞だったか、止まった車の助手席から視線を投げた先が通りがかかりの町の「ごみ集積所」だった。
自治体の名前が入った透明なゴミ袋がいくつか。
中に入れば『不燃物』として処理ができるタイプなのか、「腰掛椅子と大正琴」の隣に「薬箱と雑誌」それから「本」「本」「本」
紙も木も金属もすべて時間にさらされ続けた、日に焼けたようなすすけたような古びたものばかりで、
あーあの、薬箱、レトロでかっこいいなぁもったいないなぁほしいなぁ がまず一投目の感想だった。
それから本のうち一冊が「井伏鱒二自選集」だったところで「!!?」へ変化した。
「ねぇ、あれ、もったいない。捨てられてるくらいならほしい。でもこれ拾って行ったら「市の物品を泥棒したこと」になるんだよね?」とドライバーの夫へ。
「俺、薬箱いいなって思ってた。泥棒なんだよなー」
おしい。おしい。古いものは新しく作ることができない。ゴミにしたくない。
知っている自治体でも近所でもない、ただ行き掛かりのゴミ捨て場になにか対応できるはずもなく、そのまま所在なく通り過ぎてしまった。
思えば、古めかしいばかり。おじいちゃんかおばあちゃんの部屋をお盆で帰省したついでに片付けたのか。いや、もしかしたら遺品整理かもしれない。
記憶と履歴が結びついた何かなのかもしれない。
もう不要だからとゴミになるもの 忘れ去られてしまう記憶のかけら
何かがゴミになってしまう瞬間が、その何かにとってできるだけ遠い位置にあればいいのに。

こんな感覚の延長線上に「ごみ屋敷」が発生してしまうのかもしれない後ろ暗さを感じつつも、
そのゴミがゴミでなかったころ、まだ「何か」としての意義を持っていたはずのものの尊厳を感じ、
捨ててしまってゴミになる前に、誰かの目に留まって手から手へ移っていけたらいいのにと願わずにいられなかった。





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Last updated  Aug 20, 2019 02:27:24 PM
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