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転生する時は、結婚20周年を迎えた年でした。
妻は都内ど真ん中の海外運輸関係の大会社に通う総務係長。18歳から実直に地道に給与計算や社員さんの困り事に寄り添って、ズル休みや遅刻も一切せずに勤め、転勤や転属もなく、勤続30年表彰を迎える少し前から、課長昇進の話があがっていました。2人の子供出産の時には、後輩たちに立場を抜かれ、悔しくて泣いた夜もあっただけに、昇進の話は縁の下のお仕事が陽の目をみた気分で、この年を逃したらもう年齢上限で足切りとなり、以降昇進の話はなくなってしまう最後の年だけに嬉しくて…しかし大きな不安を抱え、4月を迎えて課長となっての出社でした。
不安とは、形式だからと受けさせられた昇進試験。過去最低点を大きく塗り替える最低点となり、本社の一部では少しざわめいくような小さな出来事であったが、本人にとっては不安を大きくさせ、恥ずかしくて会社にいけなくなるような大きな事件として受け止めていました。
本来、総務課長になるには、有名大学を卒業して、何倍もの就職戦線を勝ち抜き、配属後も目立つ成績と上司のお気に入りになれたもののみが、海外事業所で5年前後の赴任をして無事減点されずに帰国した者のみが昇進し、晴れて課長として組合員から離れ、会社側の人間となる、つまり試験が得意な者が受ける昇進試験である。
顔の知らない同期にあたる少ない高卒者男子での課長昇進試験で、3度点が足りずに落ちて、資格を失った者を去年見ていただけに、自分が課長の価値がある人間と思えず、新しく増える職務に不安しか感じられなかった。
多分だか、政府は女性管理職を増やすよう、各大企業へ要請しており、そんなちょうど良いタイミングに妻はあたってしまったのだと思われる。
また、都内でも、ど真ん中のビルにお引越しとなり、部下は知る者たちばかりだが、事業所長や次長、冷徹で感情がなくて苦手だった経理課長や違う事業部の次長昇進を見送られ癖が更に強くなった総務課長など、付き合っていく管理職メンバーは知らなくはないが、いつもは課長の下に隠れていたのが、直接対話する緊張の連続となっていた。
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