モモ

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2008年03月07日
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テーマ: 訪問看護(45)
カテゴリ: 看護
 ハナ(仮名)さんは、88歳。認知症状があって、薬を飲んだり、食事をしたりしたことを忘れてしまう。お話していると、とても凛とされていて、訪問看護では、血圧を計り、お食事の状態や排せつの状態をきいて、お薬を飲んでおられるのか、確認して、お体の状態を尋ねる。あとは、ハナさんが、一番輝いていたころのお話に耳を傾ける。

「私がね。お勤めしてたころ、出勤簿をつけていたんだけど、遅れてきた人の時計と、私の時計があっていないって、いう人がいるのよ。確かに、人によって、時計は違うことは考えられるわね。それで、電話の時報があるでしょ?その時報を放送で流して、みんなを平等にしたのよ。もう、文句をいう人は、いなくなっちゃたわよ。」
「今では、タイムカードがありますが、そのころは、出勤簿をつけていたのですね。」
「そう。それでね。私はね、とっても厳しい、うるさいオバサンって言われてたのよ。でもね、みんなのことは、ちゃんと考えていたのよ。あるときね。妊婦さんが、大きなおなかで、走ってきたの。私は、走らないでいいから、歩いてきなさいって大声で、言ったのよ。それでね、彼女は、歩いてきて、遅刻したんだけど、どうしたと思う?」
「おまけしてあげたんですか?」
「おまけなんかしないわよ。私は、彼女にこう言ったの。『あと、5分早く来なさい。そしたら、走らなくてもいいでしょ?あなたのあかちゃんのためにあと5分早く起きなさい。』ってね。」
「そうですね。妊婦さんだからって、おまけしてあげるというのではなく、赤ちゃんのために、お母さんがしなくてはならないことを教えてさしあげたんですね。」
「ケチなオバサンって思ったかもしれないけど、その後、彼女の子どもが病気になっっちゃたのよ。レンコンがいいというもんだから、あちこち探して、レンコンを手に入れたから、彼女にあげると、喜んだわよ。今も年賀状が来るわよ。あのときは、ありがとうって。」

 素敵な話は、忘れない。認知症だということを忘れてしまうほどに素敵な話だと思った。人の優しさってなんだろうって、考えさせられるようなハナさんのお話。





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最終更新日  2008年03月07日 23時41分55秒
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