《櫻井ジャーナル》

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2011.08.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 今頃になって福島県の学校などで放射性物質に汚染された土を取り除いたり、「ホールボディーカウンター」で内部被爆線量を測定したりしているという。いわゆる「アリバイ工作」である。

 土の除去などは事故の直後、汚染の状況を調査した上ですみやかに行うべきことであったし、ホールボディカウンターでは最も人体に大きな影響を与えるアルファ線を検出できない、つまり体内被曝の実態を知ることができないことも有名な話である。原発近くの子どもたちにヨウ素剤を配ることすら行政は拒否していたわけで、行政や東電の犯罪的な行為をこの程度のことで軽減することはできない。

 政府も東電も事故直後、空中、地中、海中、食材などの汚染状況をきちんと調べようとしていない。少なくとも一般には公表していない。しかも、民間の調査を妨害していた。

 こうした行為は世界的に批判されたが、それでも詳細なデータは現在でも公表されていない。線量の測定は勿論、核種については口をつぐんだままだ。今でも情報を隠蔽しているということである。こうした姿勢の集団がホールボディカウンターでの検査を始めた理由は、自分たちのウソをもっともらしく見せるための演出にすぎない。

 欧州放射線リスク委員会(ECRR)の技術議長を務め、日本でも広く知られている クリストファー・バズビー博士 によると、福島県を走っていた4台の自動車のエアフィルターを調べた結果、1台からはアルファ線の核種を検出、空気中のセシウム137の濃度は核実験のピークだった1963年の1000倍だったという。千葉県でも300倍に達していたと語っている。

 しかも、博士によると、核実験による放射能汚染によって乳児死亡率が上昇、20年後にはガンが増えたというのだ。日本では核実験の影響はなかったという宣伝も流されているが、この件については東京大学の 児玉龍彦教授 も厳しく批判している。

 原発の状況も改善されたとは言い難い。燃料棒がメルトダウンして圧力容器の底を抜けて圧力容器に流れ落ちたことは経産省も否定できなくなっている。現在はコンクリートの中にあるかもしれないが、いつ地中に入り込んでも不思議ではない。すでに放射性物質は地中を汚染し、海中へ流れ出ている。8月11日に福島県の放射線量が上昇したという話も伝わっている。

 何も手を打たなければ、今後、何十年もの間、土地と海を汚染し続けることになり、農作物や海産物へのダメージだけでなく、本州の北半分に人が住めなくなる可能性もある。数十兆円で事故の影響を押さえ込めると考えるのは楽観的すぎるだろう。

 これだけの事故を起こした東京電力だが、政府が救いの手をさしのべ、その大株主や金融機関も救済し、原発利権に群がってきた企業群や官僚、政治家、学者、マスコミの責任も問われそうにない。全てのツケは庶民に回される。

 今後、状況が悪化しても原発で大儲けした政官財学報のエリートたちはいつでも日本から脱出できる。安全な食材を高値で扱う業者が出てくるほか、留学ビジネスが繁盛するかもしれない。





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最終更新日  2011.08.12 03:15:41


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