《櫻井ジャーナル》

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2011.08.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 北海道の長万部町は町を宣伝するため、「まんべくん」なる「ゆるキャラ」を使っていたが、その「まんべくん」が8月14日にツイッターへ書き込んだ内容が問題になり、そのツイッターを中止することにしたという。

 長万部町の 白井捷一町長名で出された文書 は、次のような意味不明の一文で始まっている。

 『このたびの「まんべくん」の戦争についてのツイッター発言については、皆様に大変ご心配ご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫び申し上げます。』

 「ご心配ご迷惑」って何?

 「日本の犠牲者310万人、日本がアジア諸国民に与えた被害者数2000万人」、「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」とツイッターに書かれたことに腹を立てた人がいたらしいのだが、基本的にこの発言は正しい。

 被害者数については議論があるだろうが、侵略した側とされた側で被害者数が食い違うことは普通。一桁違うことも珍しくない。侵略した側は「確認」された数字に限定しようとし、侵略された側は戦闘に付随した死傷者もカウントするからである。日本がアジアを侵略した事実は否定できない。それとも、白井町長は「侵略戦争」でなかったと言いたいのだろうか?

 日本が第2次世界大戦に負けたのは1945年、それから66年がすぎた現在、戦争を目撃/体験した日本人の多くは亡くなり、妄想を口にしやすい環境にはなっているが、多くの調査研究がなされてきたことを忘れるべきではない。

 福島第一原発の事故でも政府や東電の発表を無批判に信じ、外国での厳しい見方を「大げさ」だとか「デマ」だと言い張っていた人はマスコミ社員を含め、少なくなかった。この反応と「侵略戦争」への反応はよく似ている。

 ジャーナリストのむのたけじさんは『戦争絶滅へ、人間復活へ』の中で、「ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場ではやっているんですよ」と言っている。勿論、「全ての男」ではない。そうしたことをしなかった人もいる。

 しかし、そうした人も戦場の真実を語ることは難しかった。戦場での出来事を隠したい「戦友」が周囲にたくさんいたからである。

 1960年代、まだ小学生だった頃、そんな少数派の大人がする戦争の話を耳にしたことを覚えている。むのさんの本で書かれていた話と重なるところが少なくなかった。

 また、戦争中、特務機関員として中国人の中に潜入していた人から「南京虐殺」の様子を具体的に聞いたこともある。1980年代のことだった。「大東亜共栄圏」なる看板は原発の「安全神話」と同じで幻想にすぎない。

 日本の直接的な侵略は1872年の琉球藩設置(琉球処分)、74年の台湾への派兵あたりから始まると言えるだろうが、その背景を考えるとアヘン戦争までさかのぼる必要がある。中国(清)を侵略しようとするイギリスを後ろ盾として政権を奪取した薩長両藩がイギリス的な侵略を始めるのは必然だったと言えるだろう。

 1875年には朝鮮の首都を守る要衝、江華島の近くに軍艦「雲揚号」を派遣、挑発して軍事衝突に発展、「日朝修好条規」を結ばせることに成功した。その後、1894年に半島南部で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こると日本政府は「邦人保護」を名目にして軍を派遣、朝鮮政府の依頼で出兵した清国の軍隊と軍事衝突、日清戦争へとつながる。

 1902年に「日英同盟」を締結した日本は04年に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃して「日露戦争」を引き起こした。1905年は第1次ロシア革命の年。ロシア政府にしてみると、日本との戦争どころではない。

 日本海海戦で日本が勝利すると、「棍棒外交」で有名なアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領が講和勧告を出し、日本とロシアは講和条約を結んだ。この際、日本は長南と旅順口との間の鉄道(1906年に発足する南満州鉄道の路線)の経営権を獲得しているのだが、条約締結の2カ月後に桂太郎首相はアメリカの富豪、エドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意している。

 アメリカが日露戦争に介入した理由のひとつはこの辺にあったのだろうが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に猛反対し、覚書は破棄された。日露戦争で獲得した利権をアメリカに取られると考えたのだ。この判断はおそらく正しい。

 このときはアメリカの要求を拒んだ日本だが、1923年の関東大震災を切っ掛けにして日本の支配層はアメリカの巨大金融資本、JPモルガンの支配下に入った。その後、この銀行は日本へ多額の資金を投入する。1931年に板垣征四郎、石原莞爾、土肥原賢二らが柳条湖近くで満鉄の線路を爆破、「張学良軍の陰謀」だとして攻撃を開始、中国での戦争を本格化させていく。

 ちなみに、1933年にアメリカでフランクリン・ルーズベルトが大統領に就任するとJPモルガンの人脈はファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画している。この計画はスメドレー・バトラー中将らの議会証言で発覚して実行には移されなかったが、アメリカを知る上で忘れてはならない出来事だ。(詳しくは『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)この政権交代を見通せず、新政権に対する対応を間違ったことが真珠湾攻撃へと日本を導いた一因である。

 ところで、第2次世界大戦でナチスはヨーロッパの中央銀行から金塊を奪っている(ナチ・ゴールド)が、日本も財宝の略奪を組織的に行っている。宮廷や富豪から莫大な財宝を奪ったのだが、その一部は戦後、JPモルガンなどへの支払いに充てられたと言われている。





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最終更新日  2011.08.17 22:16:30


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