《櫻井ジャーナル》

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2011.08.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 言うまでもなく、マスコミは原子力以外の問題でも「大本営発表」を続けてきた。福島第一原発の事故でそうしたプロパガンダ機関的な体質が露呈して批判され、少しは慌てたようだが、体質が変わったわけではない。国外情勢の場合、読者/視聴者の目が厳しくないこともあり、露骨なプロパガンダを続けている。事実を隠し、怪しげな情報を流しているということだ。

 リビア内乱のきっかけを作ったのはフランスであり、トリポリ陥落の直前からはイギリスの動きが目立っていた。そうした動きを支えていたのがアメリカである。そうした国々に支援の手を差し伸べてきたのが湾岸の独裁産油国やヨルダンといった国々だった。本ブログで再三書いてきたことである。そうした内乱支援国にトルコも加わっていたと ウォール・ストリート・ジャーナル紙 が報じている。シリアの内乱でもリビアと似た構図がある。

 NATOの一員ではあるものの、トルコはリビアと友好的な関係を結んでいた国。そのトルコがリビアの反政府勢力に資金を提供していたことがわかった。暫定国民評議会に対して現金で1億ドル、「贈り物」として1億ドル、つまり合計2億ドルをすでに提供しているほか、1億ドル相当の人道的プロジェクトを実行するというのだ。リビア東部のベンガジを訪問中のアーメト・ダウトオール外相は8月23日、そのように語っている。

 早くもリビアでは 石油利権の争奪戦 が始まっているようで、反政府派のアブデルジャリル・マヨーフは「西側」と友好的な関係を結ぶとする一方、ロシア、中国、ブラジルとは「政治的な問題」があるとしている。つまりBRIC諸国からイタリア、フランス、イギリスなどへシフトすると示唆している。内戦の実態がフランス、イギリス、アメリカの侵略戦争だったことを考えれば、必然的な流れであろう。

 こうした対立の構図はアフリカの中南部でも見られ、キープレーヤーはリビアだった。そのリビアでムアンマル・アル・カダフィ政権が倒れた影響はこの地域にも及ぶ可能性が高い。

 カダフィ後、LIFG(リビア・イスラム戦闘団)がリビアの軍事部門に大きな影響力を持ちそうなことも懸念されている。何しろ、 この組織はアル・カイダとの関係を公然と認めている 。アル・カイダ系の軍隊が北アフリカの産油国リビアに出現するということになれば、中東全域、いや全世界で彼らの活動が激しくなる可能性がある。

 もっとも、アル・カイダの過去をさかのぼるとムスリム同胞団に行き着き、ムスリム同胞団の創設にはイギリスが関わっていた。1980年代と同じかどうかは不明だが、今でもアル・カイダと「西側」との関係が続いている疑いは残っている。中東の内乱を見ていると、欧米の巨大資本とムスリム同胞団の同盟関係が見えてくるからだ。

 ムスリム同胞団をキーワードにして眺めるとサウジアラビアも仲間ということになる。イランのアヤトラ・ホメイニも若い頃、ムスリム同胞団と関係していたとする話が伝わっている。「西側」がイランのマフムード・アフマディネジャド大統領を嫌っている最大の理由は、彼のナショナリスト的な側面にあるのだろう。

 イランのムハマド・モサデク政権をクーデターで潰し、パレスチナのヤセル・アラファトを攻撃するためにハマスを育て、エジプトのガマール・ナセルを暗殺しようと試みたのが「西側」である。その延長線上にサダム・フセインやカダフィの排除、バシャール・アル・アサドやアフマディネジャドに対する攻撃はある。決して「民主化」や「人道」が理由なわけではない。

 そういえば、1980年代、ロナルド・レーガン政権は東ヨーロッパの体制を揺るがすために「プロジェクト・デモクラシー(民主主義計画)」なる心理戦を展開していた。その当時、ラテン・アメリカでは「死の部隊」が猛威を振るっていた。アメリカで訓練を受けた独裁体制の軍人たちが誘拐、拷問、虐殺を繰り返していたのである。手口は似ている。





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最終更新日  2011.08.25 15:20:31


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