《櫻井ジャーナル》

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2013.01.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アフリカのマリでフランス軍が空爆を始めた。アメリカ政府を後ろ盾としての軍事行動だが、この地域の戦乱は東電福島第一原発の事故と「アレバ」で結びついている。マリの北はアルジェリア、西はモーリタニア、東はニジェール、そのニジェールの南はナイジェリア、東にはチャドがある。この地域の地下にはウラニウムが眠っているのだ。

 アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを攻撃する口実として、ニジェールからイエローケーキ(ウラン精鉱)をイラクが購入しようとしていると宣伝していた。CIAの依頼を受け、この情報をジョセフ・ウィルソン元駐ガボン大使が調査したところ、正しくないことを確認、そのように報告している。

 ブッシュ政権はこの報告を無視してイラクを先制攻撃するわけだが、それはともかく、ニジェールは世界で第3位のウラニウム産出国。この地域では、ウラニウム以外にも石油やさまざまな鉱物がとれる。

 今回、マリでの空爆を始めたフランスは、言うまでもなく、原子力発電所を乱立させている国。日本よりも強力な核利権が存在している国だということだが、その中心に位置している会社が、福島第一原発の事故でも登場したアレバだ。

 事故の前年、2010年の9月に同原発の3号機にMOX燃料を装填し、事故後に日本政府は放射性物質の除去や廃炉についての技術協力を同社に依頼している。アレバは40年にわたり、ニジェールでウラニウムを掘り続けてきた会社でもある。

 欧米は「南」の国々を略奪することで「豊かさ」を維持してきた。最近では金融システムと独裁体制を融合させた仕組みで搾り取っているのだが、勿論、資源の支配も重要な意味を持っている。サハラ砂漠の南側の地域の場合、最も利権を持っている国はフランスだ。

 しかし、この地域でもBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)などの国々が影響力を強めていた。特に中国が存在感を増している。しかも、リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権はサハラ以南の国々を自立させ、貿易の決済に使う通貨として「金貨ディナール」を導入、ドルやユーロから離脱しようとしていたという。これはアメリカの支配層にとっても懸念すべき動きだった。

 ところで、マリの反政府勢力にはトゥアレグ(遊牧民)系のMNLAとサラフィ派のAQIMがある。MNLAの創設は2011年だが、トゥアレグの抵抗運動は1916年から始まったという。

 AQIMはアル・カイダと連携している武装勢力。1991年から2002年にかけてアルジェリアで戦い、敗れたサラフィ派勢力の流れ。同じアル・カイダ系武装集団ということで、リビアの体制転覆でNATO軍と組んだLIFGとも結びついている。

 リビアの体制転覆プロジェクトはフランスが先陣を切っている。2010年10月にリビアの儀典局長が機密文書を携えてパリへ渡り、コンコルド・ラファイエット・ホテルでフランスの情報機関員やニコラ・サルコジ大統領の側近たちと会談したのが始まりだ。

 2011年3月にはイギリスの特殊部隊SASの隊員6名と情報機関MI6のメンバー2名がヘリコプターでベンガジへの潜入を試み、反政府派の戦闘員に拘束されている。それから程なくして8名はベンガジの港からフリゲート艦で帰路についている。

 AQIMという名称の組織が誕生した2007年、アメリカ政府はAFRICOM(アフリカ統合軍)の創設を発表、翌年から活動を始めている。この統合軍をアフリカ諸国が拒否、本部をドイツのシュツットガルトに置かざるをえなくなったことは、本ブログでもすでに書いた通り。

 中東やアフリカはかつて、欧米諸国に植民地化されていた。その当時は勿論、現在でも略奪は続いている。そうした地域へ欧米の軍隊が侵攻するための「魔法の杖」として使われているのが「アル・カイダ」。狂信的なイスラム至上主義者だと宣伝されているが、実態はアメリカ、イギリス、フランス、イスラエル、サウジアラビアといった国々の傭兵にしか見えない。

 リビアにしろシリアにしろ、アル・カイダと同盟関係にあるのはNATO。この機構は米英両国が西ヨーロッパを支配するために組織、破壊工作(テロ活動)を目的とする秘密部隊のネットワークが存在することは本ブログで何度か指摘した通り。この秘密部隊に関しては、1990年にイタリア政府が公式にその存在を認めている。

 このNATOの事務総長に対し、日本政府は「安全保障上の連携強化を呼びかける首相親書」を渡すのだという。国の内外で戦争を始める覚悟を決めたと理解されても仕方がない。13日に習志野で実施された陸上自衛隊第1空挺団の訓練もそうした目で見られているはずだ。

 今後、日本で「緊張戦略」が始動する可能性もある。そういえば、イタリアで「爆弾テロ」に参加した容疑のかけられていた人物を日本政府は速やかに帰化させたこともあった。





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最終更新日  2013.01.15 02:33:03


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