《櫻井ジャーナル》

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2013.01.22
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルジェリアの東部にある天然ガス関連施設に立てこもっていた武装勢力は政府軍に制圧されたが、その際に複数の日本人も犠牲になったという。日本国内では自衛隊の外国への派遣、さらに「一定の武器使用」も認めようという発言も出ているようだ。

 ストレートに表現すると反発があると予想される場合に使われるのが「一定の」という曖昧な語句。ほとんど意味はなく、今回の出来事を利用し、自衛隊を海外へ派兵する方向へ前進しようとしているとしか思えない。

 今回の事件で多くの死傷者が出たことに関し、「関係国との事前協議や通告」がなかったとアルジェリア政府を批判、さらにアルジェリアが「警察国家」だと攻撃する声が聞こえてくる。奴隷国家のサウジアラビアについては沈黙しても、アル・カイダの攻撃を受けているアルジェリアは批判するのが「西側」だ。

 本ブログでも何度か書いたことだが、今回の襲撃を命令したのはAQIMの「元幹部」で現在はMUJAOに参加しているモクタール・ベルモフタールだと言われている。MUJAOはAQIMから分離、両グループは対立しているかのような主張もあるが、いずれもカタールの支援を受けていると報道されている。

 フランスの軍情報機関DRMから流れてくる情報によると、 AQIMやMUJAOだけではなく、AQIMで司令官を務めるハマダ・アグ・ハマの甥、イヤド・アグ・ガリーが率いるアンサール・ア・ディーン、またトゥアレグ(遊牧民)系のMNLAにもカタールから資金が流れ込んでいる 。アンサール・ア・ディーンのトップはサウジアラビアに近いとも言われている。

 リビアやシリアで体制転覆を目指してゲリラ戦を展開している武装勢力もサウジアラビアやカタールから資金や武器を提供されている。こうした 湾岸産油国と手を組んでいるのがアメリカやイスラエル 。アメリカはNATOをカモフラージュに使い、イギリス、フランス、トルコも同盟に加わっている。

 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制はNATO軍の空爆とLIFGの地上での攻撃で倒された。このLIFGがアル・カイダのメンバーだということは自他共に認めるところ。本ブログでも書いたことだが、LIFGがアル・カイダの正式加盟グループになった2007年にAQIMもアル・カイダに正式加盟している。この加盟に際し、名称をGSPCからAQIMへ変えたのである。

 もっとも、AQIMの幹部は大半がアフガニスタンでソ連軍と戦った、つまりアメリカの情報機関や軍から訓練を受けた「同志」。「正式加盟」の前からAQIMはアル・カイダとつながっていた。

 カダフィ体制が倒れた後、LIFGに参加していた相当数の戦闘員がシリアへ移動、一部はアルジェリアやマリへ流れた。その際、当然、武器も持ち込まれている。こうした展開はカダフィ体制が崩壊する前から予想されたことで、 アルジェリア政府も次は自分たちがターゲットになると警戒 していた。アル・カイダの背後にNATOや湾岸産油国がいることをアルジェリア政府は承知していたはずで、今回の襲撃でも「西側」の国を信頼していなかっただろう。

 金、ダイヤモンド、希少金属、石油、ウラニウムなどの資源が眠る地域の真ん中にマリはある。このマリを不安定化させたのが昨年3月のクーデター。指揮したアマドゥ・サノゴがアメリカで訓練を受けた軍人だということは広く知られている。このクーデターを利用してMNLAは独立を宣言、アル・カイダ系のグループも動きを活発化させた。

 マリをアフガニスタン化させ、武装集団を育成し、出撃拠点にすることができれば、周辺の資源国を破壊して利権を奪うことが容易になる。とりあえず北のアルジェリアがターゲットになりそうだ。今はフランスの動きは目立つが、今後、アメリカのAFRICOM(アフリカ統合軍)が前面に出てくるかもしれない。BRICS、特に中国を排除することも重要な課題になるだろう。





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最終更新日  2013.01.22 21:03:56


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