《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2013.01.30
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカをはじめとするNATO諸国はイスラム武装勢力を戦闘員として使い、軍事的に支援、サウジアラビアやカタールなどペルシャ湾岸の諸国が資金や武器を提供するという構図は1980年代からのもの。リビアやシリアの体制を転覆させるための軍事介入でもこの仕組みは生きている。

 マリで活動している反政府勢力には、AQIM、MUJAO、アンサール・ア・ディーンといったアル・カイダ系武装集団、そしてトゥアレグ(遊牧民)系のMNLAがあると言われている。 こうした武装勢力にカタールから資金が流れ込んでいる という情報があることはすでに書いた通りだ。

 アル・カイダに資金を提供するカタールは許せない、と言うことはできない。アル・カイダの脅威を叫ぶ「西側」も似たようなことをしているからだ。

 AQIMは2006年までGSPCと名乗り、アルジェリアを主な活動の舞台にしてきた。2007年1月にアル・カイダの正式加盟団体となり、AQIMへ名称を変更している。同じ年の11月にはリビアのLIFGもアル・カイダに正式加盟した。

 言うまでもなくリビアとアルジェリアは隣同士。そうしたこともあり、AQIMとLIFGは緊密な関係にあると言われている。そのLIFGをNATOや湾岸諸国はリビアの体制を転覆させる、つまり国を乗っ取るための地上軍として使っていた。リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制が倒れた後、戦闘員や武器がシリアへ移動したと伝えられているが、アルジェリアへも流れた可能性は高い。

 アルジェリアの天然ガス関連施設が襲撃され、多くの死傷者が出る事件があった。この襲撃を命令したとのは「覆面旅団」のモクタール・ベルモフタールで、実行部隊を率いたのはアブドゥル・ラーマン・アル・ニジェリだと言われている。ベルモフタールは2005年にGSPCに参加した人物で、アル・ニジェリはニジェール出身の戦闘員だという。襲われた施設がリビアとの国境近くにあることから、LIFGが協力していると推測する人もいるが、真相は不明である。

 しかし、LIFGが協力したとしても不思議ではない。それほどAQIMとは関係が深いのだ。「西側」のメディアは両者の関係を誤魔化しているようだが、ここにリビアやシリアにおける戦闘の本質が示されている。アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタールといった国々の支配層はアル・カイダを敵だとは見なしていない。そうとしか思えないのだ。

 ソ連軍と戦う「自由の戦士」としてアメリカはイスラム武装勢力を作り上げ、そうした勢力の中から誕生したアル・カイダを「テロリスト」の象徴として使い、愛国者法というファシズム化法を作り上げた。この法律によってアメリカの憲法は機能不全の状態になっている。この法律の犠牲になっているのは、戦争や環境破壊に反対しするような人たち。支配層が考える「テロリスト」とは、こうした人びとである。

 カタールはアル・カイダだけにカネを出しているわけではない。ここにきて、カタールからイスラエルの政界へもカネが渡っているという話が出てきた。イスラエルで閣僚経験のあるカディマのツィッピー・リブニによると、 カタールからベンヤミン・ネタニヤフへ300万ドル、イスラエル我が家へ150万ドルが流れた というのである。その代償としてハマスに会うとネタニヤフは約束したのだという。

 また、ここにきて シリアの体制転覆を目指しているカタールが政府軍とロシアの仕業だと見せかけて化学兵器を使う話 を電子メールでしていることも明らかにされている。カネを出している以上、何が何でも見返りを得たいということかもしれない。

 ここで思い出すのは、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年に書いた記事。 アメリカはイスラエルやサウジアラビアと手を組んでいる というのである。もっとも、ロナルド・レーガン政権時代にこの3国は結びついていた。アフガニスタンでソ連軍と戦う武装勢力を作り、イランに武器を密輸、ニカラグアの反革命ゲリラを秘密裏に支援していたのである。この段階で「ユダヤ対イスラム」は幻影だと気がつかなければならなかった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013.01.31 02:13:40


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: