《櫻井ジャーナル》

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2013.03.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカ軍はイラクに 秘密の拘束/拷問施設 を設けていた/いる。その施設にドナルド・ラムズフェルド国防長官が責任者として送り込んできた人物がジェームズ・スティール大佐。その軍人には、中米のエル・サルバドルへ特殊軍事顧問として派遣されていた過去があるという。

 イラクでスティールに次ぐ位置にいたのがジェームズ・コフマン大佐。彼はデービッド・ペトレアス前CIA長官の「目と耳」と言われていた。ペトレイアスもスティールと同じ時期にエル・サルバドルへ行った経験がある

 エル・サルバドルは「14家族」に支配され、その背後にはアメリカの巨大企業が存在している。軍事訓練をしていたということは、この親米独裁体制に抵抗していた人たち、つまりアメリカの巨大資本にとって都合の悪い勢力を殲滅するため、「死の部隊」を操っていたということだ。

 1979年7月にニカラグアではサンディニスタの革命政権が誕生しているが、エル・サルバドルでも独裁体制は揺らいでいた。その前から拷問が問題になり、宗教関係者の犠牲も後を絶たなかったのである。1979年5月には警察隊が首都にある首座大聖堂の正面玄関に向かって銃撃、23名を射殺している。その様子はアメリカのネットワーク局CBSのカメラマンも目撃していた。

 この当時、ORDENと呼ばれる武装集団が虐殺を繰り返していた。1960年代の末に軍が結成した組織。大統領官邸の内部から指揮されていたと言われている。

 その流れの中から出てきたひとりがロベルト・ダビッソン陸軍少佐。アメリカの国際警察学校や台湾の政治工作幹部学校で訓練を受けている。アメリカのマイアミで生活してる寡頭制の支持者たちが彼のスポンサーで、台湾から帰国した後、国家治安局の副長官に就任、FAN(後のARENA)を設立した。

 1980年1月には人口約630万人と言われたエル・サルバドルで約20万人が参加したデモが首都のサン・サルバドルで行われている。デモは平和的に進んでいたのだが、その集団が狙撃され、少なくとも21名が殺されたという。国家警備隊が宮殿の内部から銃撃したとオスカル・ロメロ大司教は断言し、非難している。そのエル・サルバドル政府に570万ドル軍事援助を計画したアメリカ政府に対し、大司教は抗議する手紙を送っている。

 その後もロメロ大司教は軍事政権による虐殺を批判し続け、首都サンサルバドルの大聖堂で行われたミサの最中、暗殺されることになる。アメリカの大手メディアはこの暗殺を「極右と極左の闘争」が原因だというストーリーで描こうとしたが、当時のエル・サルバドル駐在アメリカ大使、ロバート・ホワイトはこれを否定している。1984年2月、ホワイト大使は下院の西半球問題小委員会で証言、暗殺はダビッソンが計画したと断定的に語っているのである。

 ホワイトによると、ダビッソンは約12名を隠れ家に呼び出し、大司教暗殺の実行者をくじ引きで決めた。当たったのはフランシスコ・アマヤ・ロサ中尉だが、実際に引き金を引いたのは射撃の名手、ウォルテル・アントニオ・アルバレスだった。そのアルバレスはサッカー場で口封じのために殺されている。

 1980年12月にエル・サルバドル軍はカトリックの女性聖職者4名を殺害している。ニカラグアで開かれた会議に出席していた人と出迎えた人、合計4名はミニバンでサン・サルバドル近くの国際空港から市街の戻ろうとしたところ、兵士に車を止められ拘束された。全員がレイプされたうえで射殺されているのだが、これは司令部からの命令だったと言われている。この虐殺を当時のアメリカ政府高官、例えばジーン・カークパトリックやアレキサンダー・ヘイグ国務長官は擁護していた。

 1980年代にアメリカ政府は秘密裏にニカラグアの反革命ゲリラを支援、エル・サルバドルでは独裁体制の弾圧が続いた。スティールはニカラグアでの秘密工作にも参加している。

 こうした凄惨な状況を中米で作り出していたのが「民主主義国家」を自称するアメリカの政府だ。「民主制は独裁制、独裁制は民主制」とアメリカや日本の支配層、あるいはその取り巻きは主張している。

 そのアメリカ政府が自国民を法手続なしに無人機で殺すことができるとする 司法省の覚書 が存在すると伝えられている。アル・カイダ、あるいはその関連グループの幹部だと判断されたなら可能だということらしいが、その判断基準は曖昧。アメリカ国内でも殺害できるとも解釈されているようで、アメリカがエル・サルバドル化しつつあるようにも見える。





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最終更新日  2013.03.08 04:43:17


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