《櫻井ジャーナル》

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2013.03.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 日本でも「戒厳令」を導入しようという動きがある。自民党の石破茂幹事長は10日、仙台市内で開かれた党宮城県連大会で、「緊急事態」には政府が国民の権利を一時的に制限できるようにするべきだと発言したというが、これもそうした動きのひとつ。石破の主張は、国民の権利を制限する、つまり憲法の機能を停止させる、要するにクーデターのために「緊急事態」を引き起こせば良いという考え方にもつながる。

 そもそも「緊急時に国民の権利を制限する」ことによって「国民の生命、財産を守る」という意味がわからない。戦闘で私有財産を破壊しても賠償責任を負わないというようにも聞こえる。法律について詳しく検討したわけではないが、現在の自衛隊の場合、賠償責任が生じる可能性がある。

 アメリカでは、1980年代にCOGというプロジェクトが動き始めた。大災害などの緊急時に憲法の機能を停止させることが目的だとされ、2001年9月11日に始動している。

 このプロジェクトには「前史」がある。それまでにも「核戦争」で政府機能が失われた場合の「バックアップ政府」の仕組みはあったのだが、ロナルド・レーガン政権では核戦争以外の「緊急事態」に拡大したのだ。

 アメリカでは1945年5月7日に放射性物質を爆破する原爆予備実験を実施、原子爆弾の製造に目処がたった。その翌日にドイツは降伏する。これを受け、イギリスのウィンストン・チャーチル首相は数十万人の米英軍と再武装したドイツ軍約10万人が連合し、ソ連を奇襲攻撃しようと考えたが、軍の反対で実行されなかった。当時、日本政府がこうした動きを知っていたなら、降服を遅らせようと考えただろう。

 アメリカでは日本がポツダム宣言の受諾を連合国側へ伝えた直後、ソ連に対する核攻撃の研究が始まる。1957年になると攻撃の準備がはじまり、1963年に実行しようとするグループが情報機関や軍の内部にいたとされている。ドワイト・アイゼンハワー政権では、核戦争後の「秘密政府」で中心的な役割を果たす8名が選ばれていたという。

 1963年の後半になれば先制攻撃に必要なICBMが準備できる見通しで、ソ連が追いつく前に戦争を始めたかったとも言われている。(これは本ブログでも書いたことがある。)この計画を阻止したのが1963年11月に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領。ジミー・カーター政権時代の1979年に設立されたFEMAは、こうしたプロジェクトの延長線上にある。

 その間、1959年に国防総省はアメリカ東海岸にあるアレゲーニー山脈(アパラチア山系の一部)のグリーンブライアという場所に「地下司令部」をつくる工事を始めている。そこには大統領や有力議員が生活することになっていた。1962年には完成している。

 秘密政府の計画は1980年代に入っても続けられ、1987年にジャック・ブルックス下院議員がこの問題を「イラン・コントラ事件」に登場するオリバー・ノース中佐に質問している。ただ、このときはダニエル・イノウエ上院議員が「高度の秘密性」を理由にしてさえぎってしまった。イノウエ議員は、それが「高度の秘密性」を持つことを知っていたわけだ。(後にCNNがこのプロジェクトについての番組を放送するが、日本でCNNと提携していた放送局は否定的なコメントをつけて流していた。)

 そして1988年、ロナルド・レーガン大統領はプロジェクトの対象を「核戦争」だけでなく、あらゆる「国家安全保障上の緊急事態」に対応するように改めた。つまり、政府が主観的に緊急事態だと判断すれば、憲法を停止できるという仕組みに作り替えられたということである。そして2001年9月11日を迎え、登場したのが「愛国者法」。この法律は1980年代から準備されていたのである。

 石破幹事長がどの程度認識しているのかは不明だが、彼の発言はアメリカの「戒厳令プロジェクト」に酷似、ファシズム体制へ移行するための仕組みに見える。アメリカの好戦派/ネオコンから耳打ちされている可能性もある。





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最終更新日  2013.03.11 23:24:48


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