《櫻井ジャーナル》

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2013.03.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 イギリス政府に続き、 フランス政府がシリアの反政府軍に武器を供給したいと言い始めた 。勿論、2年前に体制転覆プロジェクトが動き始めた頃から、トルコにある米空軍インシルリク基地では反政府軍の兵士が訓練を受けてきた。教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員だとされている。

 リビアの体制転覆もイギリスとフランスが仕掛けた。2010年10月、リビアで儀典局長を務めていたノウリ・メスマリが内部文書を携えてパリへ渡ったところから「内乱」の幕が開いたのだ。

 パリでメスマリはフランスの情報機関員やニコラ・サルコジ大統領(当時)の側近たちと会談し、11月に「通商代表団」をサルコジはベンガジに派遣した。その中に潜り込んでいた情報機関や軍のスタッフは、メスマリから紹介されたリビア軍の将校と会っている。ちなみに、この頃、フランスとイギリスは相互防衛条約を結んだ。

 この2カ国にアメリカが合流、NATO軍として空爆や電子戦を実行、さらに作戦を立案している。さらにサウジアラビアやカタールが資金や武器を提供、傭兵を雇って送り込んでいる。何度も書いたことだが、地上軍の主力になったLIFGは2007年11月にアル・カイダの加盟組織になった武装集団。アルジェリアやマリで活動しているグループとは緊密な関係にある。リビアの体制が崩壊した後、こうしたグループの戦闘員は武器を携えてシリアへ移動している。

 シリアでもイギリスとフランスは体制転覆を実現しようと必死だが、リビアと違って戦闘が長引いている。ロシアが軍事介入に反対していることもあるが、早い段階で反政府軍の嘘が露見、住民を虐殺しているのは体制転覆を目指しているサラフィ主義者や外国人傭兵(アル・カイダと重なる)だということが明らかになり、シリア人から支持されていないことも大きいだろう。

 反政府軍の残虐行為は 東方カトリックの修道院長 もローマ教皇の通信社と通じて報告、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と語っている。

 つまり、イギリス、フランス、アメリカ、トルコ、サウジアラビア、カタールなどによるシリアの体制を転覆させようという試みにカトリックは批判的な姿勢を見せていた。そうした中、ローマ教皇が退位し、「アメリカの教皇」と呼ばれる人物がカトリックのトップに立ったわけだ。

 反政府軍に武器を提供、傭兵を雇って送り込んでいるのはサウジアラビアとカタール。サウジアラビアはアメリカやイスラエルと1979年頃から手を組み、 2007年より前の段階でシリアやイランに対する秘密工作をスタートさせた と言われているのだが、表面上、欧米は反政府軍に武器は提供していないことになっていた。EUもシリアへの武器提供は禁じている。

 そうした中、1月にはイスラエル軍の戦闘機がシリアの領空を侵犯、ダマスカスを空爆したが、その直後にロシア軍のミグ31がシナイ半島を横断してイスラエルの方向へ飛行して威圧している。イスラエル側からの警告を受けて西に転回、地中海に出たのだが、その地中海には18隻で編成されたロシア軍の艦隊が待機していた。イギリスであろうと、フランスであろうと、アメリカであろうと、直接的な軍事介入が難しいということだ。

 そこでイギリスとフランスは武器を提供したいと言い始めたのだろうが、シリア情勢が彼らにとって厳しくなっていることを示唆している。「平和を願う」と嘘を言う余裕がなくなっている。トルコ側は勿論、イラク、ヨルダン、レバノンとの国境を反政府軍が押さえているとも言われるが、シリア国内では思惑通りに進んでいないのだろう。





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最終更新日  2013.03.16 01:21:08


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