《櫻井ジャーナル》

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2013.04.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 安倍晋三首相はTPP交渉に参加すると発言していた。そのための 事前協議で日米両政府は大筋で合意し、日本は7月にも交渉に正式参加すると報道 されている。アメリカを拠点とする多国籍企業のカネ儲けに協力することがTPPの目的であり、ISDS条項によって参加国政府の手足は縛られ、主権国家はアメリカの巨大資本によって支配される。TPPは「関税交渉」でも「通商交渉」でもなく、実態は「独立放棄交渉」。安倍首相は日本に住む人々、その人々が生活する社会、自然、そういったものをカネ儲け集団に売り渡そうとしているのだ。少々古い表現をすると、安倍首相は「買弁政治家」である。

 健康、労働、環境などに関する法律によってアメリカの巨大企業が「 将来に期待された利益 」を企業が実現できなかった場合、各国政府に対して賠償を請求することがTPPでは許される。低賃金で劣悪な労働条件が許される国へ安心して工場を建て、自由に資本を移動させることを可能にする。「国産品を買おう」や「地産地消」という運動は規制の対象になりかねない。

 最近、アメリカでは遺伝子操作作物の作付けを規制、あるいはブレーキをかけることを禁止する「 モンサント保護条項 」入りの包括予算割当法案が成立、日本ではBSE(狂牛病)の全頭検査を廃止するのだという。アメリカ資本の命令に従っているのか、その意向を忖度しているのだろう。

 以前から、アメリカでBSEの蔓延している可能性があると指摘する研究者もいる。前にも書いたことだが、1989年に発表されたエール大学の調査では、アルツハイマー病と診断された患者46名のうち6名がCJD、同じ年に発表されたピッツバーグ大学の調査によると、54名のうち3名だったという。

 TPP成立後は、BSEとアルツハイマー病の関係を調べること自体が規制対象になりかねないが、それだけでなく、企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護、社会保障制度などを各国の政府や議会で決定することは事実上、不可能になる。生存権が奪われると言っても過言ではない。

 議会も裁判所もアメリカの巨大資本の利益が絡んだ瞬間、「無用の長物」になる。巨大資本にとって不都合な情報が飛び交うインターネットの監視強化も計画されているようなので、庶民は言論の自由を奪われることになるだろう。

 国家とは支配システムであり、庶民を抑圧するという側面もあるが、「民主主義」を掲げる国なら、庶民の意見を反映させる仕組みもある。そうした権利を獲得するために多くの血が流されたのだが、アメリカや日本の支配層はTPPによって、そうした仕組みを破壊しようとしている。社会主義革命は勿論、市民革命以前の状態へ戻そうとしている。

 つまり、巨大な多国籍企業や金融機関を主権国家の上に置き、絶対君主のような存在にしようとしているのだ。民主主義を破壊し、「近代的封建制」を実現するつもりだと表現する人もいるが、間違いとは言えないだろう。人間社会は徐々に進歩していくという「予定説」を信じる人もいるようだが、それほど単純ではない。

 菅直人にしろ、野田佳彦にしろ、安倍晋三にしろ、こうしたTPPの実態は理解しているだろう。彼らを馬鹿にしてはいけない。たとえ彼らが愚かだったとしても、そばには「優秀な官僚」がついている。マスコミの社員も状況を理解する程度には「優秀」であるに違いない。彼らはアメリカの巨大多国籍企業に協力し、主権国家を企業が支配する「国際秩序」を作り上げようとしているのである。庶民が骨までしゃぶられ、野垂れ死にする様子を左団扇で見物するつもりだ。

 人口が多すぎると思っている支配層にしてみれば、庶民が何十億人死のうと、何も感じないだろう。殺戮と破壊の戦争も彼らにとってはカネ儲けの手段にすぎず、国の財政破綻は願ってもないチャンスであるに違いない。





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最終更新日  2013.04.04 14:56:24


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