《櫻井ジャーナル》

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2013.04.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
TPP(環太平洋経済連携協定) への道を突っ走る安倍晋三首相。交渉へすでに参加している11カ国は4月20日、日本の交渉参加を承認する共同声明を発表したという。「鴨が葱を背負ってきた」といったところだろう。

 政府やマスコミはいろいろ言っているが、交渉の内容は秘密にされている。交渉がどの方向へ進んでいるのかを熟知しているのは大企業が送り込んでいる約600名の顧問。一般に知られているのはリーク情報で、各国の議会もメディアも「公式な情報」は得ていないはずだ。TPPは「1%」が世界を支配する道具であり、この協定を受け入れることは独立を放棄することにほかならない

 TPP推進の旗振り役を演じている日本のマスコミも中身を知らないだろう。知っていて報道しないなら犯罪的だが、知らないで報道するのは無責任。

 マスコミはカネ儲けが目的の営利企業にすぎないわけで、「権力の監視」とか「社会の木鐸」といった歯が浮くようなことを言う気は更々ないが、営利企業であっても「不良商品」を売るべきではない。利益は広告/CMから得ているかもしれないが、読者や視聴者に見放されたなら、営利活動は難しくなる。

 よく指摘されるように、TPPで最大の問題はISDS条項。「自由や企業活動」を実現するために参加国の政府、議会、裁判所の手足は縛られる。つまり三権は機能を停止、各国はアメリカの巨大資本に支配されることになり、社会がどのように変化するかは巨大企業の思惑次第だ。

 TPPが導く方向は、アメリカで何が起こっているかを見れば見当がつく。例えば、 本ブログでも書いた ことだが、3月に成立したアメリカの 包括予算割当法案(H.R.933) の第735条は、消費者の健康を害する懸念がある遺伝子組み換え作物の種子でも法的に植え付けを差し止めることができないと定めている。遺伝子組み換え作物で大儲けしているモンサントを守る条項だと批判され、「モンサント保護法」と皮肉られているは当然だ。

 食べ物の安全性では、日本も安全基準を下げ始めている。象徴的な出来事は、BSE(牛海綿状脳症/狂牛病)に関する全頭検査の中止決定。勿論、アメリカ政府から圧力を受けた結果だ。厚生労働省と農林水産省は4月19日に都道府県などへ出した通知で、7月1日から全頭検査を一斉に中止するように求めたという。

 全頭検査の中止は、アメリカ産牛肉の安全性について「誤ったメッセージ」を出すものである。アメリカではBSEが蔓延している可能性があり、日本人の健康に重大な結果をもたらす恐れがあるのだ。

 本ブログでは何度か書いたことだが、1989年に発表されたエール大学の調査では、アルツハイマー病と診断された患者46名のうち6名がCJD(つまりBSEの可能性が高い)、同じ年に発表されたピッツバーグ大学の調査によると、54名のうち3名だったという。

 一般の人が自腹を切って親族の遺体を解剖することはほとんどなく、正確な数字は不明だが、アルツハイマー病と診断された人の一部はBSEだった可能性が高い。症状が激しいケースは怪しいと考える人もいる。

 TPP交渉に参加している国は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、メキシコ、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム。アメリカ企業は低賃金で劣悪な労働条件が許されている国を探し、そこに工場を建てるわけだが、アジア諸国はその対象。そうした国々で労働者の声が高まり、労働者の権利を認め、働く環境を改善すべきだという動きが出てきたなら、TPPは抑えつけることになるだろう。

 4月18日にアメリカ下院を通過したCISPA(サイバー情報共有保護法)は愛国者法からさらに一歩、ファシズム化を進めるための法案。インターネットの監視を強化、事実上、あらゆる情報をアメリカのDHS(国土安全保障省)が入手できるようにすることが目的だ。昨年4月26日にも下院で可決されているのだが、上院を通過しなかった。今年、再び持ち出されたわけだ。TPPはインターネットに対する規制/監視を強化するように求めてくるだろう。

 このほか、環境汚染に対する規制を「大企業好み」に緩和し、金融規制も緩め、あるいは撤廃させたいのだろう。最近、オフショア市場のネットワークを利用した資産隠し、課税回避が問題になっているが、そうした分野の規制を「1%」は望んでいない。

 漏れ出た情報によると、アメリカのUSTR(通商代表)は各国政府に対し、巨大医薬品メーカーに対する保護を強化するように圧力を加えている。ジェネリック薬品(後発医薬品)が規制され、医療や健康保険のアメリカ化と相まって、低所得者は医療を受ける権利が奪われるかもしれない。TPPに賛成するとは、そういうことである。





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最終更新日  2013.04.22 04:33:21


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