《櫻井ジャーナル》

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2013.05.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアを空爆したい勢力にとって、ロシア製の地対空ミサイル、S-300は厄介な存在だと考えられている。昨年、スロバキアで実施されたNATOの軍事演習でテストした結果、「西側」の航空機や巡航ミサイルにとって脅威になることが確認されたというのだ。

 そのS-300をすでに受け取ったとシリアのバシャール・アル・アサド大統領はレバノンのアル・マナーTVのインタビューで語っている。これは最初の荷で、次もすぐに届くという。EUの外相理事会が反シリア政府軍への武器禁輸を解除すると決定したことを受けての供給だとも言われている。

 S-300をシリアへ提供しないように働きかけていたイスラエル政府はEUの決定に不快感を感じているとも伝えられているのだが、ヨシェ・ヤーロン国防相は 力尽くで輸送を阻止する用意 があると警告していた。ミサイル搬入の情報を受け、イスラエル政府内には システムが稼働することを防ぐ と発言する人もいるようだ。

 ただ、アサド大統領の発言と合わない話も伝えられている。すでにシリアへ運び込まれていたという情報と、まだシリアに供給されていないという情報だ。搬入説の内容もひとつではなく、2006年に配備が計画されたという話があるほか、一昨年の11月にはS-300が運び込まれたとも報道されている。

 その一方、まだS-300はシリアへ提供されていないという情報もイスラエルの情報機関から流れている。これまでにイスラエルの国防相らの口から出た発言の通りに動くならば、シリアを攻撃してシステムを破壊しなければならない。シリアとの戦争を避けるため、イスラエルの情報機関はミサイルの搬入を否定している可能性もある。

 S-300はまだ実戦で使われたことはないようだが、スロバキアでのテストの情報が正しいならば、イスラエル軍としても動きにくい。NATOも飛行禁止空域の設定、つまりシリア空爆を決断するには相当の覚悟が必要。リビアとは状況が違うと言うことだ。

 リビアとの違いはもうひとつある。強い反政府感情の有無だ。リビアの場合、ベンガジなどを拠点とする反政府軍が存在していた。もうひとつ、無視できないのは人種差別の感情。ムアンマル・アル・カダフィの親アフリカ政策もあり、リビアにはサハラ砂漠以南からの移民が多かったのだが、そうした人びとに対する差別意識がアラブ系住民の中に根強く、暴力事件も起こるほど国内に不満が高まっていた。

 カダフィ体制が崩壊した後、リビアではサハラ砂漠以南からの移民が襲われ、多くの犠牲者が出ているが、その原因は人種差別にある。そうした殺戮を「西側」は「民主化」や「人権」の名の下に後押ししたわけである。 シリアでも反政府軍はシーア派、アラウィー派、キリスト教徒(多くは正教徒)など少数派を殲滅すると公言 しているが、スンニ派にも支持されていない。





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最終更新日  2013.05.31 13:13:21


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