《櫻井ジャーナル》

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2013.07.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 強制猥褻事件の被害者になった児童の氏名を検察官が起訴状で伏せたところ、東京地裁は氏名を明記するように補正を命じたという。検察側は「二次被害」を理由として裁判所の命令を拒否する姿勢を見せているため、控訴棄却になる可能性があるという。起訴状に氏名を明記しても外部に出ないようにする方法はあると思うが、検察は頑ななようだ。

 言うまでもないことだが、物事にはいくつもの側面がある。一つの出来事も視点によって見え方は違う。だからこそ、刑事裁判では検察官とは違う視点、被告側の視点から事件を語る弁護人を必要とするわけだ。ある仕組みなり行動なりにしても、いくつかの、場合によっては相反する目的が隠されていることがある。

 猥褻事件で、被害者の「二次被害」を考慮して個人情報を秘密にするべきだという議論に賛同する人は少なくないだろう。確かに、そうしたことは言えるのだが、被害者とされている人が誤解している場合、あるいは悪意のある場合、被告は反論することが難しくなる。無実だとわかっても、被告になった人の人生はめちゃくちゃになるが、冤罪になる可能性も大きい。何しろ、「疑わしきは罰する」が日本流。「一件落着」にするため、誰かを生け贄にする必要があるということだ。

 実際、痴漢の被害が絶えないということで、簡単に容疑者を逮捕、有罪にできる迷惑防止条例が全国に広がり、多くの冤罪を生み出している。支配層にとって都合の悪い人物を社会的に葬り去るためにも利用されていると信じる人も少なくない。が、被害者の匿名性が進めば、冤罪の露見する可能性が小さくなることも確かだ。

 検察は被疑者を有罪にするためなら、調書の書き換えだろうと、証拠の改竄だろうと、証拠の捏造であろうと、手段を選ばない。これは過去の冤罪事件について少しでも興味のある人にとっては常識だろう。そんな検察官が児童の「二次被害」を理由にして氏名を伏せたのである。多くの人が検察の姿勢に納得するような事件を突破口にして、冤罪を自由に作り出せる「暗黒社会」を築こうとしていると思った方が良い。

 どのような体制でも、資金力と情報力が支配者を生み出し、その支配システムが揺らぐと暴力の果たす役割が大きくなる。2001年以降のアメリカを見ても、資金を貯め込んだ富裕層/巨大資本は監視システムを強化し、治安機関はゲシュタポ化し、重武装化も進めてきた。そうした現実を再確認させてくれたのがエドワード・スノーデンの事件である。

 アメリカのファシズム化が急速に進み始めたのはジョージ・W・ブッシュが大統領だった2001年だが、その準備はロナルド・レーガン政権の時代に始まったCOG。核攻撃を受けた場合の超法規的な対応を定めた計画を「国家安全保障上の緊急事態」に拡大したのだが、実際はクーデターの準備だった。

 このプロジェクトが公の席で初めて取り上げられたのは、1987年に開かれた「イラン・コントラ事件」の公聴会において。ノース中佐に対し、下院のジャック・ブルックス議員が「NSCで、一時期、大災害時に政府を継続させる計画に関係した仕事を担当したことはありませんか?」と質問したのである。

 これをダニエル・イノウエ上院議員が「高度の秘密性」を理由にしてさえぎってしまった。「高度の秘密性」を必要とするプロジェクトだということをイノウエ議員は知っていたということだ。その4年後、CNNはCOGについて詳しく報道している。

 そして2001年9月11日の出来事を利用し、アメリカ支配層はCOGを起動させ、「愛国者法」を生み出して憲法を機能停止の状態にした。イノウエ議員が言う「高度の秘密性」で隠された事実は、そうした体制を築くことだった。

 その間、アメリカの属国、日本でもスパイ防止法、盗聴法などの成立を目指す動きがあり、憲法を破壊しようとしている。今回の匿名問題には、そうした背景がある。





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最終更新日  2013.07.13 22:48:42


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