《櫻井ジャーナル》

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2016.01.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 朝鮮中央テレビは1月6日、朝鮮が初の水爆実験に成功したと発表した。その直前、豊溪里の核実験場の近くを震央とするマグニチュード5.1の地震が観測されている。人工的な原因で発生したと見られ、核実験が疑われていた。

 ただ、水爆としては規模が小さい。水爆の爆破実験を成功させたという朝鮮政府の発表が正しいならば、小型水爆ということになり、製造に必要とされる技術水準はきわめて高いということになる。これまでの流れから考えるならば、国外、つまりアメリカ、ロシア、あるいはイスラエルから技術を持ち込んだとしか考えられない。そこで、水爆ではない可能性があるという判断につながるわけだ。韓国の国家情報院もそう考えているという。

 朝鮮半島に石油/天然ガスのパイプラインを建設したいロシア、隣国で戦争が始まることを阻止したい中国、この両国にとって朝鮮の攻撃的な言動は迷惑だろうが、アメリカや韓国の好戦派から圧力を受けている朝鮮としては虚勢を張りたくもなるのだろう。

 ちなみに、ロシア政府はエネルギーを外交戦略に使っている。そのエネルギー源である石油や天然ガスを東アジアへ運ぶパイプラインの建設を計画、4年ほど前から朝鮮に接近していた。計画を実現するため、 ロシアは朝鮮に持っている債権の90%(約100億ドル)を帳消しにし、新たに10億ドルの投資をすると提案 している。朝鮮にしても経済発展の起爆剤になりえる提案で、戦争をしたい状況ではない。

 朝鮮戦争の記憶を朝鮮の国民も覚えているはずで、恐らく、戦争はしたくないはずだ。1950年6月25日に戦争は勃発したことになっているが、それより前から38度線の付近では1日に何度も軍事衝突が起こっていて、緊張は極度に高まっていた。「開戦」の2日前から、韓国空軍は北側を空爆、地上軍は海州を占領、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだった。日本では「右」も「左」も「保守」も「革新」も朝鮮が攻撃を始めたことにしているのだが、それはアメリカやその周辺国が主張しているだけのことだ。

 その辺の経緯はともかく、日本の都市で住民を焼夷弾や原爆で虐殺したカーチス・ルメイが朝鮮戦争にも登場、大規模な空爆を実施している。アメリカ軍の空爆で朝鮮の78都市と数千の村が破壊され、ルメイ自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。文句なしの大虐殺であり戦争犯罪だが、「国際世論」は意に介していない。この「国際世論」の正体はアメリカ支配層の意向であり、その支配層が君臨しているアメリカを日本の政府やマスコミは「自由と民主主義」の国であるかのように宣伝してきた。その日本の政府もマスコミも、必然的に国民も朝鮮人に対する虐殺を気にしていない。

 かつて朝鮮はソ連と友好的な関係にあったが、そのソ連が1991年12月に消滅してしまう。それにタイミングを合わせるようにして統一教会が朝鮮へ接近している。アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)によると、1991年11月末から翌月上旬にかけて統一教会の文鮮明教祖が朝鮮を訪問、その際に「4500億円」を寄付、93年にはアメリカのペンシルベニア州に保有していた不動産を売却して得た資金300万ドルを香港の韓国系企業を介して朝鮮へ送っている。買収工作だろうが、少なくとも一時期は成功している。

 21世紀に入るとロシアは再独立に成功するが、 朝鮮では2004年4月に金正日総書記が危うく龍川の大爆発に巻き込まれるところだったと噂されている 。爆発の2週間前にインターネットのイスラエル系サイトで北京訪問の際の金正日暗殺が話題になり、総書記を乗せた列車が龍川を通過した数時間後に爆発が起こったと言われ、暗殺未遂の疑いがあるとされたのである。

 アメリカや日本には朝鮮や中国と戦争をしたがっている人びとがいる。例えば、アシュトン・カーター国防長官は2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張していた。この人物を国防長官へ据えたバラク・オバマ大統領も平和的な人物とは言えない。

 そのアメリカでは1998年に金正日体制を倒して朝鮮を消滅させようという計画が作成されている。韓国が主導する新たな国を建設しようというのだ。これがOPLAN 5027-98だ。この計画を知ったのか、朝鮮はこの年の8月に太平洋へ向かって「ロケット」を発射した。海上自衛隊が能登半島の沖で「不審船」に対し、規定に違反して「海上警備行動」を実行したのは翌年の3月。

 日本で「周辺事態法」が成立した1999年になると金体制が崩壊したり第2次朝鮮戦争が勃発した場合に備える目的でCONPLAN 5029が検討され始め、2005年にOPLAN(作戦計画)へ格上げされた。このほか、朝鮮への核攻撃を想定したCONPLAN 8022も存在している。

 その間、2003年3月、アメリカ海軍の空母カール・ビンソンを含む艦隊が朝鮮半島の近くに派遣され、また6機のF117が韓国に移動し、グアムには24機のB1爆撃機とB52爆撃機が待機するという緊迫した状況になった。こうした動きにブレーキをかけたのが韓国の盧武鉉やアメリカ支配層の一部。

 ところが、好戦派にとって好都合なことに、盧大統領は2004年3月から5月にかけて大統領としての権限が奪われ、08年の2月には収賄容疑で辞任に追い込まれてしまう。次の政権はアメリカの戦争ビジネスと関係の深い李明博だ。

 2010年3月には韓国と朝鮮で境界線の確定していない海域で韓国の哨戒艦「天安」が爆発して沈没、5月頃から韓国政府は朝鮮軍の攻撃で沈没したと主張し始める。11月になると韓国軍は領海問題で揉めている地域において軍事演習を実施、朝鮮軍の大延坪島砲撃につながった。

 日本の「エリート」が服従しているアメリカの好戦派は全世界に戦乱を広げているが、朝鮮に対しても軍事的な圧力を加えている。その威嚇に対抗する道具として使っているのが核兵器。この問題を解決したいなら、威嚇している勢力を押さえ込まねばならないのだが、日本はその勢力にカネを貢ぎ、これからは日本の若者の血も贈呈するつもりだ。





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最終更新日  2016.01.08 11:55:24


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