このワシントン・ポスト紙を「言論の自由」の象徴として崇めている人が日本には少なくない。ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだためだろう。その事件を追いかけた記者はボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインだが、実際の調査はバーンスタインが行った。そのバーンスタインは1977年にワシントン/ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」というタイトルの記事をローリング・ストーン誌に載せている。それによると、巨大資本による支配が今ほど進んでいなかった当時でも400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、ニューヨーク・タイムズ紙の場合は1950年から66年にかけて、少なくとも10名のCIAエージェントに架空の肩書きを提供していた。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)