ドイツのクリスティーネ・ランブレヒト国防相が辞表を提出した。ウクライナに対する軍事支援に積極的でないとして不満を抱く勢力からの圧力によるものだろう。辞任騒動の中、ドイツでは主力戦車の「レオパルト2」をウクライナへ供給する方向で動き始めた。
ウクライナへの戦車提供で最も積極的だったのはイギリスで、自国の主力戦車である「チャレンジャー2」を引き渡すとしているが、アメリカはキエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権が求めている「M1エイブラムス」の提供を渋っている。かわりに提示しているのは「M2ブラッドレー歩兵戦闘車」だ。
外交的な解決は不可能だと判断したロシア政府は軍事的に解決するしかないと決断している。ロシアが戦っている相手はウクライナでなく、同国へ入り込んでいるアメリカやイギリスをはじめとするNATOだとロシアのニコライ・パトロシェフ国家安全保障会議議長は語っているが、この発言もそれを示していると言えるだろう。
2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権がネオ・ナチのクーデターで倒される直前、国務次官補だったビクトリア・ヌランドはウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットと電話でクーデター政権の閣僚人事について話し合っているが、その中で話し合いによる解決を目指していた「EUなんかくそくらえ」と口にしている。
これが彼女を含むネオコンの考え方だが、ロシアとの戦いで血を流すのはアングロ・サクソン以外、例えばヨーロッパや東アジア諸国だと考えている。ユーラシア大陸と太平洋や大西洋で隔てられている自分たちは安全な場所にいると考えている。
ネオコンが始めた対ロシア戦争は現在、対中露戦争へと変貌しているが、その中で経済戦争も仕掛けている。ソ連に対して有効だった方法を繰り返しているようだが、ロシアは対策を練っていた。ロシア国内の生活に変化はない。統計数字を見ても経済は安定している。
こうしたことはモスクワに特派員を派遣していなくても簡単に確認できることなのだが、西側の有力メディアはそうした事実を伝えようとしていないようだ。ネオコンの計画に従って作成した予定稿を出しているのかもしれない。
ロシアから天然ガスを大量に購入している事実が判明した 。インドのリライアンス・インフラストラクチャーやナヤラ・エネルギーをはじめとするエネルギー会社で精製されたロシア産天然ガスをアメリカは買っているというのだ。