モスクワに近いクラスノゴルスクにあるクロッカス・シティ・ホールが襲撃され、約140名が殺されたテロ事件で、銃撃犯の4名を含む11名がウクライナに近いブリャンスクで拘束されたと発表され、その際の映像も公開されているが、本ブログでもすでに触れたように、自動小銃を乱射した襲撃犯のひとりは現場で観客に拘束されている。 この点をCIAの元分析官であるラリー・ジョンソンは指摘していた 。当初、11人の中に含まれていると考えていたのだが、全員、ブリャンスクで逮捕されたとされている。そうなると計算が合わない。
実行グループはダーイッシュ-ホラサン(IS-KP、ISIS-K)に所属、ウクライナ政府は無関係だと宣伝されている。9/11の時と同じように、事件の詳細が不明な段階でアメリカ政府はISIS-Kの犯行だと断定、ISIS-Kは犯行声明を出しているのだが、それを裏付ける証拠はない。これだけ短時間に事件の内容を把握できるはずはないのだ。事前にシナリオができていたのでない限り、こうした発表をできるはずはない。
拘束された襲撃の「容疑者」はテレグラムを通じ、50万ルーブル(約80万円)で雇われたと証言している。本ブログでは繰り返し書いてきたように、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュはアメリカなどが使っている傭兵だ。この武装集団がイスラエルを攻撃しない理由はそこにある。
襲撃グループを雇った人物はサーモン・クラサニ。この人物はCIAとダーイッシュ双方と緊密な関係にあるという。また襲撃犯の一部はラーナモ・バ・フローソンというチャットルームでインターネットを利用した「洗脳」を受けているとも報道されている。
イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している 。この仕組みが作られたのはアメリカがアフガニスタンで工作に利用するため。アラビア語でアル・カイダはベースを意味し、データベースの訳語としても使われる。西側ではシティ・ホールを襲撃したのはISIS-Kだと宣伝しているが、これは傭兵集団なのであり、雇い主を特定しなければ意味がない。
このテロ事件ではアメリカ側に奇妙な言動が見られる。例えば、統合参謀本部議長を辞めて間もないマーク・ミリーの昨年12月4日における発言。ロシア人は夜中に喉を切り裂かれるのではないかという心配で眠れなくなると語っている。
国務副長官代理を務めていたビクトリア・ヌランドは1月31日と2月22日、ウラジミル・プーチン露大統領はウクライナの戦場で驚きに直面するだろうと発言、ブリンケン国務長官は3月5日に彼女の「退任」を発表した。
3月7日から8日にかけてアメリカとイギリスの駐露大使館がモスクワでテロの可能性があるとすると警告、18日にはバラク・オバマ元米大統領が突如ロンドンを訪問し、リシ・スナク首相やキア・スターマー労働党党首と会談、そして3月22日の襲撃だ。
事件後、日本の某大手放送局のキャスターは「自作自演仮説」を口にしていたが、ウクライナの情報機関GURも同じことを主張していた。状況から考えて可能性はゼロに等しいのだが、もし容疑者が逃亡に成功していたなら、西側でそうしたプロパガンダが大々的に展開されていた可能性がある。
SBU(ウクライナ安全保障庁)は2014年2月のクーデター以来、CIAの下部機関として個人に対する破壊工作を担当している。3月25日から26日にかけてロシア軍はドローンやミサイルでキエフ、オデッサ、ミコライフ、ケルソン、ザポロジエの軍事施設、主要インフラ、飛行場が攻撃されたと伝えられている。その中にはキエフにあるSBUの本部も含まれているという。
キエフの場合、極超音速のジルコン・ミサイルも使われ、防空サイレンが鳴ったのは攻撃の後だったという。言うまでもなく、ウクライナだけでなく西側にはこのミサイルを迎撃する能力はない。